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地元の資源を有効活用し、SDGsな商品開発で魅力を発信! ~ (株)アシストエリア
<令和3年度 いしかわ中小企業チャレンジ支援ファンド採択事業>
◇事業名
地元の能登ヒバ、塩、ゆず、ラベンダーなどの間伐材・廃棄(ロス)を活用した新商品「バス(入浴剤)商品」の開発・販路開拓事業
◇商品名
ATTE KATARU (バスソルト)
◇開発の経緯
金沢で生まれ、東京の大学に進学した野村英史さんは、学生時代に雑誌編集プロダクションでのアルバイトを経て、有名雑誌の編集・営業、広告代理店でのプランナー、コピーライター、クリエイティブ全般など、マスコミの世界で活躍。金沢に戻ると、それまで自身が最も仕組みが難しいと感じていたFPと損害保険のビジネスモデルを学ぶべく、外資系金融機関で働き、2008年には独立。
2014年には奥さんが自宅の一角でアロマ&ネイルサロンを営み始めたことをきっかけに、能登ヒバを使った消臭・除菌効果があるアロマウォーター「ATTEブランド」が誕生し、SDGsにつながる商品開発を目指すことに。
◇こだわり
能登森林組合、製材会社等と協力し、廃棄される間伐材のモルダーチップから能登ヒバウォーターを開発したのに続き、捨てられる資源をリユースするとのコンセプトに基づき、独自の技術で能登ヒバのモルダーチップを配合した再生紙製品を開発。能登ヒバに備わる抗菌・消臭機能に着目した靴用の消臭キット「ATTE chou chou(アッテシュシュ)」が2018年に商品化される。これは靴用の消臭だけでなく、インテリアの一部として飾って置けるよう、山と歩くシリーズ、古都の美シリーズのデザイン展開で差別化を図っている。
SDGsな発想とデザインパッケージも高く評価され、これまで2023年の石川県優良観光土産品コンクールにて石川県知事賞受賞をはじめ、5つの賞を受賞。野村さんの商品企画力ならびにプレゼンテーション力の高さが世に知らしめられる。
◇自然由来のバスソルト商品の開発
地元産素材の廃棄ロスを少しでも減らし、リユースする取り組みを進めていく中で、地元石川の資源である珠洲の塩、能登ヒバ、金沢の湯涌地区で栽培されているゆず、加賀市で栽培されている加賀棒茶とのコラボ商品の開発に取り組む。「能登ひば+珠洲の塩」、「金沢ゆず+珠洲の塩」、「加賀棒茶+珠洲の塩」ATTE KATARU(バスソルトシリーズ)を商品化する。バスソルトの試作段階では、能登ヒバの端材がお風呂の中で流れ出る問題があり、アロマオイルだけにすると香りがあまり出なかった。そのため、合成香料や着色料を入れて試作したものの、これでは生産者の思いが伝わらないことから、自然な能登ヒバを細かく裁断したもの、金沢ゆずのフリーズドライ、規格外の加賀棒茶をそのままメッシュバッグに入れることで、自然本来の香りを楽しめるようなアイデア商品が誕生する。
「人工的なものを加えたのでは、SDGsな商品開発から外れてしまい、何とか商品化すべく、東京でのイベント視察の際、当社の考え方に沿ったモノづくりができる企業と偶然にも出会い、試行錯誤しながら商品化に辿り着けました。」と力説する。製造は県外の医薬品メーカーに依頼しているものの、様々な実験や数値的な検証はもとより、困ったことがあると石川県工業試験場に相談に行き、解決している。
◇課題と方向性
珠洲の塩、能登ひば(モルダーシート)、金沢ゆず、加賀棒茶も、その中で発生する規格外品の量はわずかなことから、製造を委託するメーカーに出せる原材料の量も限られ、大量ロットで製造する市販品と異なり、製造コストが割高になる。そのため、日々の入浴で使うには高価な商品となり、観光土産品か自分へのご褒美として使ってもらう需要開拓が鍵。
2023年3月から発売を開始し、東京のLoft渋谷本店をはじめ北陸3県の道の駅、ホテル、旅館、高速道路のPA ・SAなど約40店舗(能登半島地震のため、能登方面は休業中)で販売し、当初パイロット版では各1000箱ずつ製造し、特に「珠洲の塩+能登ひば」は8割近くが売れ、観光土産品としてじわじわと浸透中。
・販売価格(税込) 各25g×2回分入り
珠洲の塩と能登ひばの入浴剤 1100円
珠洲の塩と金沢のゆずの入浴剤 1320円
珠洲の塩と加賀棒茶の入浴剤 1100円
◇堅実な商いでSDGsな商品開発に邁進
コロナ禍がようやく明け、これからというタイミングで能登半島地震が発生し、これからどんな商品が必要とされ求められるのか、被災地の復興に何らかの力になれるようなモノづくりができないか、思いを巡らせている。若い時から地球環境に優しい取り組みにつながる仕事がしたいと思い続けてきている野村さん。ようやく北陸3県で40か所あまりの店頭に自社商品が並ぶようになり、先般の商談会でも、「ATTEを見かけたよ」、「商品を知ってるよ」と来場者に声をかけてもらえる機会も増え手応えを感じ始めている。
地道な取り組みを数年余り続けてきて、ようやく方向性も見え始めてきているようで、地元の資源にこだわり、現代の生活に潤いとやすらぎを提案するSDGsにつながる商品を、持ち前のチャレンジ精神をもって発揮し、世に発信してもらいたい。
野村 代表取締役
◇会社概要
・商 号 株式会社アシストエリア
・住 所 金沢市泉本町1-201-1
・TEL 076-255-7799
・URL https://atte.jp/