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木が人を育む、成長に合わせリフォームできる新発想の木製食器 ~ 四十沢木材工芸

印刷ページ表示 更新日:2021年11月19日更新

木が人を育む、成長に合わせリフォームできる新発想の木製食器

 

     <平成30年度いしかわ中小企業チャレンジファンド採択事業>

事業名

 輪島塗木地製造技術を活用した、子供向け木製食器「ara!」の開発と販路開拓事業

商品開発の経緯

輪島漆器産地において、1947年の創業以来、お椀、お盆など様々な漆器の土台となる木地を製造してきている四十沢木材工芸。平成20年頃までは、同社売上の9割強を漆器の木地が占めていたが、バブル崩壊以降、全国的に伝統産業が低迷していた中で、リーマンショックがダメ押しとなり、売上が伸び悩み始める。

かねてより木地屋として、せっかくの美しい木目が漆器として完成すると全く見えなくなり、木の手触りや木目の優しい風合いが消えてしまうことに残念な思いを抱き、自問自答の日々を送っていた。そこで一念発起し、拭き漆の技法を用いた木目の見える商品を作ったところ好評を得る。ただ、拭き漆に満足していたわけではなく、もっと生活に溶け込む自然な仕上がりを求めて胡桃オイルを塗って仕上げた商品を世に送り出したところ、七尾市の雑貨店「歩らり」が販売してくれたのをきっかけに、地元のECショップ「on la CRU(オンラクル)」の販売商品にも加わり、同社の木目の見える商品が売れ始める。現在では、木目の見えるオリジナル商品が売上の7割近くを占め、しかもその半分はOEM商品とのこと。

四十沢木材工芸の木製食器

手工業デザイナー大治将典氏との出逢い

同社の商品を購入した人が、自ら料理を盛りつけ器を並べた写真をSNSで発信してくれ、相乗効果で売上が伸びていく。そんなタイミングでいしかわ中小企業チャレンジファンドの補助金制度を知り、これを活用してデザイナーを見つけ、本格的に子供用食器の開発に取り組むべく同ファンドに応募する。

しかしながら、肝心のデザイナーを見つけることが容易ではなく、いろんな人に聞いて回るも、時間ばかりが過ぎ一向に見つからない。困り果てていた時、1年あまり前に、手工業デザイナーの大治将典氏が輪島に来た際に名刺交換していたことを思い出す。ただ、大治氏は、一産地一業種のみとのコラボを明言していることから、輪島では同業他社と既に契約しているため、大治氏に誰か適任のデザイナーを紹介してもらおうと思い相談したところ、驚くことに大治氏が快諾してくれ、同社の新たなページが始まることに。

四十沢木材工芸の子供向け木製食器 四十沢木材工芸の木製食器

リフォームできる食器という発想

早速、大治氏に幼児向けの木製食器のデザインを依頼したところ、「幼児期に使用した木製食器を大人になっても使えるように、器の形をリフォームすることはできますか。」と尋ねられる。四十沢代表は、内心何のことかと思いつつも、「できます」と答える。

大治氏の頭の中では、幼児期に使って終わりではなく、大人になってからも器の形状をリフォームすることで、長く使い続けられる食器にするというコンセプトを温めていたようで、まさにSDGsの発想そのもの。そこからトントン拍子に物事が運び、幼児用木製食器シリーズ「ara!」が誕生する。

モノづくりにかける思い入れの深さと確立されたコンセプトを、商品という形にできるモノづくり工房を探していた大治氏と、四十沢木材工芸の高い木工技術が見事に合致した瞬間である。

リフォームできる食器

日本初のストーリーある食器

「ara!」シリーズの食器を購入すると、パッケージの中にユーザー登録の案内が入っている。そのQRコードから購入者情報を同社に登録すると、数年後に顧客にリフォームの案内メールが届く。そのタイミングで顧客がリフォームしたいと思った時は、送料発払いで現物を送り、リフォーム代3,000円(税別)を支払うことで、後日同社からリフォームされた食器が送料無料で返送される。

ネーミングの「ara!」には、リフォームして形が変わる驚きの「アラ!」と、輪島漆器の工程で、荒取した木地の「荒型(あらかた)」に似ていることの二つの意味が込められている。耳のある子供用のカップの場合、耳は水平に付いているものが多いが、「ara!」のカップは持ち手の耳が縦に付けられていて使いやすくなっている。この耳を縦に付けるのは、ロクロ技術だけでは不可能で、同社のNCルーターの加工技術との組み合わせの妙でもある。食器の分野で、一旦販売したものを回収し、形を変えて再度届けるという仕組みは、恐らく日本初の試みであり、ストーリーのある食器として販売できるのは大きな魅力。

四十沢木材工芸の子供向け木製食器 四十沢木材工芸の木製食器

森で成長した愛おしい木を、人の成長に寄り添う心地よい商品に

発売開始から3年半が経過しているが、昨春からのコロナ禍で展示会等の機会が一切なかったため、これから展示会、見本市などに積極的に出展すると同時に、情報発信するホームページの更なる充実も検討中。自社の木工技術、加工技術の高さはもちろんのこと、木目の美しさを多くの人に知ってもらいたいと思い立った四十沢代表の職人としの誇りと、卓越したデザイナー大治氏との出会いで誕生した「ara!」。幼児用の木製食器はほとんど販売されていないのが現状だけに、逆に新たな市場開拓のチャンスでもある。

「天然木の木目は同じものはなく、全て個性があるだけに、そうした木目をそのまま活かした商品づくりが出来る今は、本当に楽しいです。」と四十沢代表は顔をほころばす。木目の美しさをもっと世の中の人に知ってもらいたいとの熱い思いが発端となり、大治氏との出逢いで自社の技術が大きく花開き、輪島塗の木地屋から木製食器メーカーへと昇華。近年では、輪島市のふるさと納税の返礼品として、同社の商品が1位の常連に。今後は、商品のバリエーション展開とギフト市場向けの贈答セットの商品開発に取り組む考えで、森で成長した愛おしい木の商品を伝播する同社のモノづくりは、これからが本領発揮の時。

四十沢宏治 代表 
 四十沢 宏治 代表

会社概要

 ・商 号 四十沢木材工芸
 ・住 所  輪島市堀町3-8-1
 ・代表者  四十沢 宏治
 ・TEL (0768)23-4077
 ・URL https://www.aizawa-wood.jp


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