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日本一美味しいカット野菜のブランド化をめざす ~ 株式会社ベストアグリフーズ
<令和2年度 いしかわ中小企業チャレンジ支援ファンド採択事業>
◇事業名
液体急速冷凍技術を活用した業務用県産冷凍野菜、果樹の開発及びブランド化
◇商品名
冷凍スライスレモン 冷凍ダイスじゃがいも等
◇開発の経緯
平成26年の会社設立以来、福井、石川、富山の北陸三県の学校、病院、福祉施設、ホテル、飲食店等へ業務用カット野菜を納めている株式会社ベストアグリフーズ。同社は、農家からキャベツ、にんじん、キュウリ、ピーマン、かぼちゃ、大根など、料理で使う野菜を、顧客のニーズに合わせ、あらゆるカット方法に対応し、調理現場に届けている。
マシンカットでは難しい特殊な切り方のオーダーカットは、職人が一つずつ包丁を使って手切り対応。食品ロスを極力なくすことを使命に掲げ、農家が生産した野菜を規格外も含めて一括購入し、カット野菜として世に送り出す。
通常は生野菜の状態でパック詰めしているが、近年、冷凍野菜や乾燥野菜の市場ニーズが増してきていたところへ、コロナ禍で需要増が見込まれる状況となり、新たに長期保存できる冷凍カット野菜づくりに着手することに。既存の急速冷凍機による冷凍に加え、新たに液体急速冷凍技術を取り入れることにチャレンジ。
◇商品化への道程
液体急速冷凍とは、超低温アルコールに真空パックした野菜を浸け、数時間程度をかけてゆっくり凍結させる技術で、ドリップが出にくく、野菜の繊維を破壊しにくいといったメリットがある。試験的に超低温アルコールに真空パックした野菜を浸けて試作してみたところ、数パック中に1パックの不良が。その原因を探ると、冷凍中にビニールに微小なピンホールが開き、そこからアルコールがカット野菜の中に入り込んでいた。
この課題を解決するには、ピンホールの開かないビニール袋の調達、浸透時間が真空パックに及ぼす変化等々を検証する必要があり、現在試験研究を繰り返している。そのため、一旦空冷の急速冷凍庫で冷凍カット野菜を製造し、顧客からの意見や反応をフィードバックしながら、日々改良を加え、第一弾として、冷凍スライスレモン、冷凍ダイスじゃがいもを商品化。
じゃがいもをダイス状にカットする工程で、端の部分が食べられるのに野菜くずとして出てしまうことから、さらにその端材を寄せ集めたものを固めて冷凍し、コロッケの具材として販売することで食材ロスを解決。
◇冷凍技術の課題
スーパーの冷凍食品コーナーで販売されている冷凍野菜は、使いたい時に開封すると、食材がバラバラと分かれて出てくる。この冷凍には、大手冷凍食品メーカーでないと導入できない超大型の冷凍設備ラインが必要で、そこまでの設備投資は難しい。そのため、同社は真空にしたカット野菜をブロックの状態に冷凍したものを販売している。
今後、顧客のニーズや要望を聞きながら、可能な範囲で改善していく考えだ。と同時に、解凍した時点での水っぽさ、食感などの食べた時の風味落ちを極力低減する技術、ブロッコリーを真空冷凍する過程で色味が変わってしまう見た目の問題なども浮き彫りに。何よりも口に入る食品だけに、安全・安心を第一に、冷凍カット野菜の商品化に余念がない。
◇今後の方向性
「もったいない」の精神で農作物の廃棄をなくし、農家も同社も顧客もウィンウィンの関係を構築することが企業理念。北陸三県の同社の工場で、日々10トンあまりの様々な野菜がカットされ、業務用パックになって顧客のもとへ届けられている。
福井工場では環境教育の一環として、地元の高校生のインターンシップも受け入れている。また、耕作放棄地を開墾し、新たな野菜の畑として生まれ変わらせるだけでなく、野菜の栽培や収穫を体験できるテーマパーク構想も視野に進んでいる。
さらには、たまねぎの皮に含まれる成分と薬膳を組み合わせた「加賀薬菜茶」を開発し発売するなど、カット野菜で蓄積してきたノウハウや野菜のもつ素材力を融合し、新たな事業展開に向け、着々と歩を進めている。冷凍カット野菜専用工場を年内に新設予定で、ベストアグリフード=「日本一美しいカット野菜」をブランド化すべく全社一丸となって邁進している。
◇会社メモ
・商 号 株式会社ベストアグリフーズ
・代表者 代表取締役 平井 豪
・住 所 金沢市近岡町237-1
・TEL 076-237-7011
・URL https://bafoods.co.jp/
本社工場 平井 豪 社長