本文
畳職人の技で現代の生活空間にくつろぎをプラス
<20年度活性化ファンド採択事業>
◇事 業 名
カーペット畳の研究開発ならびに販路開拓事業
◇キャッチコピー
カーペット畳で『ユックラート』していくまっし!
◇『ユックラート』開発の背景
日本人の生活に必要不可欠だった畳だが、近年では新築マンションはもちろんのこと、新築一戸建てにおいても3軒に1軒程度しか畳のある家がなく、フローリング人気に押され、和室の畳部屋がなくなりつつある。全国の茣蓙の出荷量は、20年前には年間5000万畳あったものが、22年には800万畳を割り込み、出荷量にも如実に畳離れが表れている。金沢においても同様で、創業から70年余りの歴史を持つ藤村畳店が置かれている環境も年々厳しくなってきている。近年の核家族化で畳が傷まず長持ちするため張り替えの仕事も減少傾向にあるという。フローリングは冬になると寒いからと畳を敷く人もいるが、畳は日焼けすると変色する弱点があり、色を合わせるためには全ての畳を変えなければならない。その点、カーペットは変色しないため、長い目で見れば畳よりも経済的との思いから、床材にカーペットを縫いつけた『ユックラート』を開発し、20年度のいしかわ産業化資源活用推進ファンドの採択を受ける。
◇ こだわり
畳表と同様に、カーペット生地を床材に縫いつけてあるため、傷んだものだけ貼り替えられる点が、リサイクル指向の時代に適応した商品である。弾力のある発泡スチロールの床材との組み合わせにより、クッション性に富み身体に優しく、冬は断熱効果を発揮して暖かく、夏はカーペット生地が湿気を発散するため、1年中快適に生活することができる。また、床材の厚さは通常3cmだが、顧客の要望に応じて床材の厚さを薄くすることもできる。商品名の『ユックラート』は、金沢弁の「ゆっくらーとしていきまっし」という表現から取ったもの。方言を商品名に使うことで、地元の人たちに親しみを持ってもらえるよう配慮した。カーペットは、見本生地の中から好きな柄を選ぶことができ、異なる柄を組み合わせることも自在にできる。
◇新規性
同様の商品が大手メーカーにないわけではないが、それらは全て機械で床材とカーペット生地を接着してあるため、表面のカーペット生地が傷んだ時には捨てるしかない。その点、ユックラートは既存の畳職人の技術で、床材にカーペットを縫いつけているため、表面のカーペットが傷んだ場合は、新しいものに貼り替え再利用できる点が、地球環境に優しい大きな違いである。傷まないまでも、カーペットの柄に飽きた場合も他の柄に貼り替えることができ、床材は何度でも再利用できる。半畳サイズであれば、6畳一間分(ユックラート12枚)を夏の間使わない場合は、押入に幅36cmほどのわずかなスペースさえあれば収納できるコンパクトさも売りだ。
◇課題と方向性
3年間で施工実績は12軒あまり。「今までにない商品のため、お客さんも半信半疑の部分があり、実際に使ってもらうと湿気を蒸発させる作用がカーペットにあるため、夏はさらっとしていて暑苦しくなく、冬は暖かいと好評です」と顔を綻ばす。とはいえ、これまでなかった商品をいかにして周知するか、その手始めに新聞広告、折り込みチラシ、タウン誌への広告など積極的に試みたものの、費用に見合った効果が得られず、販促の手法で壁に直面している。どんな商品であるかを説明し、納得してもらって初めて商いが成立する新商品のため、単に広告を出しても意味がなかったようだ。例えば、公的な施設に現物を提供して試験的に使ってもらい、少しでも多くの人に商品の魅力を体験してもらうところから始めてはどうだろうか。ころびやすいお年寄りに優しいクッション性のある商品でもあることから介護施設等に積極的に売り込んでいきたい考えだ。
◇発注単位 半畳より
◇希望小売価格 半畳9,500円(税別)~
◇配送方法 金沢市内は直接配達、市外は宅配便(送料別途)
◇事業所名 藤村畳店
金沢市森山2-22-8
TEL076-252-2689
◇担当者 藤村 寛 代表