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加賀友禅の染め技法でストールに新風を
<平成22年度活性化ファンド採択事業>
◇事業名
「加賀百万石の技」加賀野菜を染料とし、加賀友禅の技法を取り入れたストールの商品開発と販路開拓
◇商品名
「金沢 nature dyeing 友禅ストール」
◇キャッチコピー
キラリ!胸元に加賀百万石の逸品
◇開発の経緯
創業以来、細幅織物の原料である糸の卸売、染め加工を主業務としてきた同社だが、遡ること12年前に入社した福富欽也氏が、従来までの卸業務だけでなく、最終製品となるモノづくりを指向して商品開発に取り組み始めたのが、今回の加賀友禅の技法を用いたストール開発につながる原点である。
福富氏の思いに賛同する工場と共に商品開発に取り組み、当初は首から提げるストラップや靴ひもなどを商品化する。もともとファッションに興味を持っていた福富氏は、地元でストールを製造している企業と出会い、オリジナルストールの商品化に魅力を感じる。
時を同じくして、県外にある草木染めの試験研究機関から、野菜を染料として使っているとの情報を得る。そんな折、いしかわ産業化資源活用推進ファンド(活性化ファンド)の存在を知り、新たな商品開発に取り組む足がかりとして活用することを考え、地元の加賀野菜を染料に使い、なおかつ加賀友禅の染め技法を用いたストールの開発がスタートすることとなった。
◇こだわり
加賀野菜を染料に使用するのは初めての試みとあって、試行錯誤を繰り返し、ようやく安定した染め上がりを実現できるようになった。ただ、洗濯による色落ちや太陽光による色あせ等の物性面に懸念があることから、野菜染料だけにこだわらず、少々の化学染料を含ませ物性を保っている。
原材料は何と言っても地元の加賀野菜。打木甘栗南瓜、なす、春菊、五郎島金時、蓮根など野菜300gから約1リットルの染料が作れるという。なかでも蓮根の染料から生まれるグレーの色合いは福富氏のお気に入りである。染料として加賀野菜を使うという試みは、同社のストールが初めてである点が活性化ファンドの審査においても評価された。
◇希望小売価格
長さ180cm~200cm 21,000円~31,500円(税込)
友禅の加飾がある場合はプラス10,000円程度。
◇販売方法
平成24年3月下旬から新宿伊勢丹メンズ館において、春・夏物の企画販売が行われる。男性向けストールとして同社の商品がピックアップされ、30本限定販売される。価格は1本19,950円(税込)。引き続き4月には新宿伊勢丹本館において、伊勢丹と某ファッション雑誌のコラボレーション企画で、男性ファッションのオーダーメイド会が開催されることになっており、男性用ストールとして同社の製品が会場に並ぶ。
百貨店での企画販売が決まり、「ようやくお客様から直接商品に対するご意見を聞かせていただける機会を持てるので、期待半分、不安半分の心境ですが、とにかくスタート地点に立てる喜びで一杯です」と顔を綻ばす。顧客の意見を今後の商品づくりにフィードバックし、商品のレベルを高めていくと共に、今後も百貨店等の企画催事を中心に取り組んでいく考えだ。
◇今後の方向性
販売することだけを考えれば、値頃感のある価格設定が理想ではあるが、価格を優先すると本当に自分たちが作りたいこだわりの商品とはかけ離れてしまうため、安価な物を作るという発想は持ち合わせていない。あくまでも首都圏の百貨店が環境・オーガニック・手作り・一点ものといったテーマで催事を企画するような機会に出展し、こだわりのポイントを理解し、購入してもらう対面販売に徹していく。
「今回の新宿伊勢丹での販売をきっかけに、さらに魅力ある商品づくりに努め、いい素材を使い、国内で染め・織り上げた本物の良さを見極める心眼を持ったアッパーゾーンをターゲットに、時間をかけてじわじわと浸透させていきたい」と熱く語る福富氏である。
福富欽也氏
◇会社概要
・商 号 (株)福富
・住 所 金沢市丸の内5-22
・TEL (076)262-7231
・FAX (076)223-7515