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金沢の金箔と欧州のレース編みの融合 “新しい伝統工芸品”金箔アクセサリーが誕生
<平成26年度活性化ファンド採択事業>
◇事業名
金箔レースアクセサリー商品の開発ならびに販売
◇商品名
Gold Knot(ゴールドノット)
◇キャッチコピー
金箔とレースが織りなす煌めきの旋律
◇作り手紹介
県内のメーカーでプロダクトデザインを担当していた木和田里美氏とライター・プロデューサーである加茂谷慎治氏の二人が平成20年に設立したデザイン事務所が株式会社エイチツーオーである。社名には、「水のように透明でしなやかに、生活に欠かせない存在になりたい」という理念が込められている。
同社は、グラフィックやパッケージなどの各種デザインやまちづくりに関わるコミュニティデザインを展開している。加えて、オリジナルブランド商品開発にも取り組み、これまで「似顔絵あみぐるみ」で25年度石川ブランド製品の認定を、今回紹介する金箔レースアクセサリー「Gold Knot」で26年度石川ブランド製品の認定を受けている。
◇開発の背景
木和田氏は、金沢らしいデザインを採り入れた「新しい伝統工芸品」の制作を探っていたところ、以前から魅力を感じていた16世紀ヨーロッパのタティングレースを結び付けることに思いが至る。
ヨーロッパで古くから女性たちに愛好され、歴史ある伝統の手技として受け継がれてきたタティングレースの美しさを日本でも広めたいと考えており、金沢の誇る伝統工芸であり全国生産量の99%を誇る金箔と融合させることにより、新たなモノづくりがスタートした。試作品のレースに加工し、地元金箔メーカーの協力を得て、金箔をレース編みに貼るための試験を繰り返した。
◇新規性
金箔を布や壁紙、プラスチック製品、陶器や漆器等に加飾した製品はこれまでも数多く出回っているが、レース編みに金箔を施すのは初の試みである。当初はなかなか上手くいかず、試行錯誤を繰り返し、1年あまりを経て満足できる商品ができあがる。レースの編み目の中にまで金箔の粒子が見事に入り込み、水に濡れても、擦れても剥離することはない。この点は、石川県工業試験場の協力を得て、実証実験も行った。「試験できることは何でもやってみようと、超音波洗浄機にも恐る恐る入れてみましたが、全く問題ありませんでした。」と木和田氏は笑顔で語る。
この技術開発に当たっては、県の知財総合支援窓口を通じて、特許出願、商標登録出願等に関して専門家からのアドバイスも受け、知的財産保護にも意を払っている。
◇こだわり
レースすなわち糸に金箔を施してあるため、遠目は金のように見えるが、金属ではないため見た目と異なり大変軽い。イヤリングやネックレスを長時間身につけていても重さで疲れることもなく、金属でないためアレルギーの心配も少ない。さらに金箔を使用しているにもかかわらず、手頃に買える価格も大きな魅力である。
デザインは加賀藩由来の梅鉢の模様をモチーフとして様々な商品をラインナップしているが、お客の好みに応じて様々な模様にも対応できるため、オーダーで自分だけのオリジナルを作ることもできる。
◇課題と方向性
これまで東京で開催された展示会や地元でのイベント等に出展し、少しずつ認知度が高まってきている。特に外国からのお客様の注目度が高く、金沢のお土産として海外市場に可能性も感じられる。国内では、金箔を使ったアクセサリーとの位置づけで販路開拓を考えている。また、ネット通販も試みているが、パソコンやスマートフォンの画面上で、この商品の軽さを明確に伝えることが難しく、ネット通販では商品の見せ方に工夫が求められる。「ネットでは手に持ってもらうことができず、軽さや身につけた感触といった商品の魅力を伝えることが難しいため、いろんな機会を捉えて積極的に出展し、少しでも多くの方に知ってもらうことの重要性を痛感しています。
海外市場に向けてのプレゼンテーションもこれからの課題です。」と加茂谷氏。「ピアスの耳に付ける金具部分には10金を使用していますが、よりリーズナブルな価格帯を求める若い女性のニーズに対応し、金具をプラスチックに換えることで、低価格の商品開発も進めています。」と、木和田氏は顧客層を広げることにも余念がない。タティングレースは、アクセサリーだけではなく、例えば服飾デザインの一部、着物の襟部分といったファッション分野をはじめ、タペストリーのような大きなものを作ることも可能なことから、今後さまざまな商品展開の可能性が期待される。
◇販売価格
ネックレス 25,000円(税別)
イヤリング 21,000円(税別)
ペンダント 12,000円(税別)
ピンブローチ 5,000円(税別)
加茂谷 慎治氏 木和田 里美氏
◇会社概要
・会社名 株式会社エイチツーオー
・住 所 金沢市香林坊2-4-30 香林坊ラモーダ8階
・TEL 076-205-6202
・URL http://h2o-d.jp