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漆塗りの技を活用した新商品開発で新たな市場開拓に挑戦 ~株式会社池田大仏堂

印刷ページ表示 更新日:2019年12月27日更新

漆塗りの技を活用した新商品開発で新たな市場開拓に挑戦

 

     <平成29年度活性化ファンド採択事業>

事業名

 富裕層向けの高級酒用木製蒔絵ボトルケースの開発

商品名

木製蒔絵ボトルケース

金沢東別院の門前商店街として栄える横安江町商店街の中に、嘉永三年創業と一際長い歴史を刻む老舗 株式会社池田大仏堂がある。核家族化が進み、自宅に仏壇がない世帯が増えてきている時代の流れの中で、漆塗りの技を活かした新商品開発に取り組んでいる。その中の一つが、ウイスキーボトルを収納する木製蒔絵ボトルケース。開発の経緯と販路開拓の現状について池田拓朗専務にお話を伺った。

専用ケースを作るもそのお酒が製造中止に

漆塗りの技術を活かした新商品開発を試行錯誤する中で、木製のボトルを作り、外側に漆塗りを施し、その中にウイスキーを入れてみようと思い立ち、早速試作品のボトルを作ったものの、いざお酒を入れてみると、1本の木をくり抜いて作るため、時間が経つとじわじわと漏れ出してきて断念。そこで、次に考えたのがボトルを収納するケース。スナックやバーに並んでいるウイスキーのキープボトルを、他の人とは違う豪華な蒔絵のケースに入れて差別化したらと閃き、木製蒔絵ボトルケースの製作がスタートする。

ヒバやウォールナットなどの1本の木材から、ボトルの形に木を削っていくのだが、板材と異なり、丸太の中心まで完全に乾燥させることが困難なため、製作途中で木材がゆがんだり、ひどい場合は曲がってしまうなど、失敗を繰り返しながら、ようやく白木のボトルケースが完成する。お酒のボトルの形や大きさは様々だが、どこの店でも人気のある有名銘柄のボトルがぴったり収まるサイズで型を削り、漆を塗ったものや蒔絵を施したものなどが出来上がる。知り合いの店に数個程販売したものの、折悪しくそのウイスキーの製造が原酒不足で中止になり、このケースに入れるウイスキーが店頭から消えたことで、足踏み状態にある。
白木ボトルケース 白木ボトルケース

作ってみてから分かった課題

漆塗りのボトルケースには、キープした人の名前や店名などを後から漆で書き加え、世界に一つしかないボトルケースができあがる。ただ、ウイスキーのボトルデザインやラベルデザインは、各酒販メーカーが大切にしている意匠でもあることから、それを見えなくすることに対する抵抗感や、お店の棚にずらりと高級ウイスキーのキープボトルが並んでいる光景が、お店にとってのステータス的な意味合いが強いことなど、商品としてどこまで必要と感じてもらえるか、当初考えていた特別感の演出が、果たして万人に受け入れられるだろうか、自問自答しているのが現状。

価格的にも、木地職人が一つ一つ手作業で削りだした白木のボトルケースに、塗師でもある池田専務が漆を塗って仕上げるため、シンプルな塗りだけのものでも3万円(税別)から、漆塗りの上に蒔絵の加飾を施したものは10万円以上の価格になる。ボトルのラベルだけでなく、ボトルそのものが見えなくなるケースに対するニーズの有無が課題でもある。

ボトルケース3本  ボトルケース

展示会の反応から海外に可能性が

これまで、国内各地の百貨店で開催される物産展や毎年東京で開催されるいしかわの伝統工芸フェアにも出展している。来場者からは、「きれいだね」という声は多いものの、なかなか用途に対する理解が得られないとのこと。

ただ、香港の展示会で、白木のケース、漆を塗ったケース、蒔絵を施したケースと、作業工程が分かるよう順番に並べて展示したところ、香港の人は、加飾したものよりも、木の風合いがそのまま伝わる白木のケースに関心を示す人が多かったという。そうした反応を勘案すると、石川県が欧米や東南アジアで開催している海外での展示商談会に出展し、海外の富裕層にアピールしてみるのも一つの方法ではないだろうか。

ボトルに固執せず、他用途展開で活路を

「ボトルケースとして開発しましたが、この用途に限定せず、この形を応用できる他用途にも使えるよう一工夫加えて、新たな可能性につなげたい。」と池田専務は意欲的だ。例えば、いろんな大会で成績優秀者に渡されるトロフィーを例にとると、必ずしもカップでなければならないわけではなく、近年はいろんなデザイン、形の個性的なものが多くなってきている。そう考えると、この形できれいな加飾を施したトロフィーに仕上げ、中に空洞があることから、そこに丸めた賞状を収納できるようにすれば、トロフィーを兼ねた賞状収納ケースに生まれ変わる。日本人の木に対する愛着は強く、冷たい金属製のトロフィーよりも温かみのある木製トロフィー兼賞状収納ケースはユニークな発想ではないだろうか。

ボトルケース ボトルケース ボトルケース ボトルケース

数年前から、同店で販売している木製の鏡餅がなかなか人気で、よく売れているとのことで、木が好きな日本人の証左でもある。あとはどの程度の価格帯に抑えることができるか、できるだけ作業工程を簡略化し、職人の手間賃を最小限にする工夫次第で、売れる商品に仕上がることを期待したい。

木製鏡餅と木製ボトル
木製ボトルと木製鏡餅

会社概要

 ・商 号 株式会社池田大仏堂
 ・代 表 池田典明
 ・〒920-0854  金沢市安江町5-7
 ・TEL (076)222-5550
 ・URL http://www.ikedadaibutudo.com/

池田拓朗 専務 店舗外観
 池田拓朗 専務          店舗外観


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