コーヒータイムにかわいらしさとアイデアをプラス　～マルゼン岩田商店

コーヒータイムにかわいらしさとアイデアをプラス

　＜２２年度活性化ファンド採択事業＞

◇事　業　名　　　　

ポーションミルクの保持具の開発と洋食器市場における九谷焼の販路開拓

◇キャッチコピー　　

いいがいねぇー、手が汚れない、かわいい、ミルチュー！

◇『ミルチュー』開発の背景

カタログ販売やギフト市場で繁栄してきた九谷焼業界も、バブル崩壊以降の景気低迷で厳しい環境に晒されている。そんな中、「何か新しい商品を開発し活路を見い出したい」と、試行錯誤していたマルゼン岩田商店の代表・岩田克久氏が辿り着いたのが、日々コーヒーを飲む際にポーションミルクを手を汚さずに注ぐことができる九谷焼製のポーションミルクの保持具だった。とはいえ、ミルクが裏漏れしたのではこの保持具の存在意義がなくなることから、どんな角度が注ぎ口としてベストなのか、壁にぶつかった時、それを解決するヒントは子息の「牛乳パックの口のようにすれば」の一言だった。確かに牛乳パックの注ぎ口は裏漏れしない。これをヒントに注ぎ口の形状が決まり、ポーションミルクの容器を固定するための溝を内側に３箇所付けて試作品が完成する。九谷焼でこれまでにない商品を開発したこと、さらに洋食器市場にも展開していく点が評価され、２２年度のいしかわ産業化資源活用推進ファンドの認定を受ける。

◇　こだわり　

活性化ファンドの補助金を活用し、東京のデザイナーに保持具のネーミングと見本市のブースデザインを依頼。ミルチュウ（ミルクのミルと注ぐの音読みであるチュウを合成）というネーミングと、スカイブルーを基調としたブースデザインが提案される。２３年春のギフトショーでは、このブースデザインが一際目立ち、多くのバイヤーが訪れ、個別包装の透明パッケージと専用陳列棚も好評を博し、大きな成果を収める。その後の取り組みとして、日頃何気なく使っているポーションミルクの容器が、メーカーによって大きさや容器の高さが異なるため、その問題解決に努めた。Ａ社のは使えるが、Ｂ社のは使えないでは商品として成立しないため、どの形状の容器にも対応できるよう保持具の内側に付けてある溝に工夫を凝らし、カチッとはめ込むことで、全てのポーション容器（同形状）に対応可能となった。この改良した商品を２３年秋のギフトショーに出展し、さらなる販路拡大に努める考えである。

◇新規性

ポーションミルクを注ぐための保持具はこれまでなく、同社は特許申請を出願中である。コーヒーカップに添えられるポーションミルクをミルチュウに入れることで、ワンランク上のおもてなしができるアイテムと位置づけている。しかも描かれている絵柄によって様々な話題づくりにもなる。事実、放送局のキャラクターをデザインしたものやコーヒーメーカーのロゴを入れたものなど、別注オーダーも舞い込んできている。大手コーヒーメーカーの全国にある３０箇所あまりのショップに、コーヒー豆と並んで同社のミルチュウ１８個が陳列できる棚が置かれ、順調に売上を伸ばしている。単なる保持具ではなく、絵付けされた１００種類あまりの絵の中から、自分の好きな一品を選ぶ楽しみが付加されたことで、価格も１個５２５円～１，５７５円と付加価値がアップ。金を使ったり、作家物など、特注品はさらに価格が跳ね上がる。

◇課題と方向性

ミルチュウの使い方を認知してもらうこと、これが販促における最大のポイントである。製作過程がほとんど手作業のため、生産個数には限界があり、現状では月産３，０００個程度が目安。「苦しい環境の中で一筋の光明が差してきた心境で、ミルチュウで頑張っていきたい」と力を込める。今後もギフトショーなどの展示会に積極的に出展し、顧客の裾野を広げていく考えだ。既に東京の一流百貨店でも販売されており、カップとミルチュウのセットで１万円前後の上代になる商品が人気だ。喫茶店や雑貨店だけでなく、温泉旅館の土産品コーナーにも並ぶようになり、じわじわと販路を広げてきている。ギフトショーへの出展も回を重ねる事に引き合いが増え、同社にとって嬉しい限りだが、「あくまでもこの商品の使い方をきっちり説明して販売してくれるところにしか商品を出さないようにしています」と、リスク管理にも余念がない。家庭用はもちろんのこと、喫茶店、旅館、ギフト市場等々、波紋のような市場の広がりが期待される。

◇発注単位　　　　１個より

◇希望小売価格　　１個５２５円～１，５７５円（税込）

◇配送方法　　　　宅配便（送料別途）

◇返品対応　　　　不良品のみ送料当社負担で対応

◇事業所名　　　　マルゼン岩田商店　

　　　　　　　　　　能美市佐野町ヌ１３７

　　　　　　　　　　ＴＥＬ０７６１－５７－０６３７

◇担当者　　　　　岩田　克久　代表