本文
加賀藩の 逸話が今に 蘇る「金の料理酒」
<平成25年度活性化ファンド採択事業>
◇事業名
熟成酒を「料理用清酒」として応用した商品開発・改良及び販売展開事業
◇商品名
加賀藩料理番 金の料理酒
◇キャッチコピー
食卓に 笑顔届ける 「金の料理酒」
◇開発の経緯
小松市下粟津町で100年余の歴史を刻む酒蔵・西出酒造。バブル崩壊で売上が下がり始めた18年前、観光バスをターゲットとした観光ドライブイン酒蔵へと方向転換。現在では売上の80%が観光客である。そんな中、観光バスで訪れる団体客の誰もが日本酒好きとは限らないこと、マイカー客はお酒が飲めないこと、女性に関心を持ってもらえる商品づくりといった観点から、何か自社のお酒を使った新しい土産商品を開発したいと同社五代目・西出裕恒社長は思いを巡らせていた。
そんな折、偶然酒蔵の一角に10年あまり寝ていた熟成酒がみつかる。とはいえ古酒として販売する目的で醸造してあったものではないため、お酒として販売するには風味の点で難があった。そこで西出社長が思いついたのが、他社にない熟成酒を使用した料理酒づくりである。自社のお酒を原料にこれまでにない料理酒づくりに取り組む点が評価され、平成25年度の活性化ファンドに採択される。
◇新規性
熟成酒を原料とした料理酒づくりは初めての取り組みのため、県工業試験場を活用して成分分析等を行い、試作品を作って実際の料理に使って各方面からの評価を集めると共に、パッケージデザイン等を含め1年あまりをかけて商品化にこぎつける。ネーミングは、見た目の金色、金沢の金から「金の料理酒」と命名する。
この料理酒づくりには、西出家の先祖であるかどうかは不明なものの、江戸時代に小松出身の若き杜氏・西出金右衛門が加賀藩の料理番舟木伝内さんから最高の料理酒づくりを命じられたという史実を重ね合わせ、商品のキャッチフレーズには「加賀藩料理番」を謳っている。
◇こだわり
通常市販されている不可飲処理済み(お酒として飲めなくするために塩を入れること)の料理酒とは異なり、金の料理酒はお酒であることから酒税がかかりその分割高になる。しかしながらお酒であるが故に、無添加であり、なおかつ程よい酸味が特徴で、料理にワインを入れる感覚で、和食だけでなく洋食や中華でも使えるところが他の料理酒と大きく異なる特徴である。「私が実際に料理に使ってみて美味しいと思ったのが、肉をしゃぶしゃぶで食べる際に、お湯の中に金の料理酒を少し加えるとなんとも言えぬ風味と柔らかさが加わり絶品です」と笑顔で語る。
なんとこの金の料理酒は清酒のため、製造年月の表示のみで賞味期限の表示義務はない。つまり常温保存で何年経っても品質には問題なし。さらに、金の料理酒のファンを増やすべく、この料理酒を使ったソフトクリームも開発し、1つ400円で販売を開始したところである。
◇調理方法
和・洋・中いずれの料理にも使える。
◇希望小売価格
金の料理酒 1リットル詰1本 600円(税込)
◇販売方法
同店店頭または通販。1本からでも送料別で宅配便にて発送。
◇課題と方向性
市販の料理酒に比べると価格が高めのため、まずは試しに使ってもらわないとこの美味しさが分かってもらえないことから、さらに手軽に購入してもらえる小型容器詰めの販売も検討中である。西出社長としては、年間3000本以上売れるようにしたいとの思いで邁進中。
観光バスの団体は、関西、中京圏からがほとんどで、関東方面からの入り込みがほとんどないのが現状だ。その意味で、来年3月14日の北陸新幹線の開業に大いに期待を寄せる。また、同社のホームページをリニューアルし、ネット販売に力を注ぐことも考えている。金の料理酒はお酒のため、酒類販売免許のある店にしか置けないという縛りがあるだけでなく、価格も割高のためスーパーの店頭に並ぶことは難しい。そのため、地元の総菜店に金の料理酒を使った総菜を作ってもらい、それを酒蔵を訪れたお客さんに出来上がった料理を味わってもらい販促につなげる試みも検討している。
余談ではあるが、こちらの酒蔵は100円で盃を1つ購入すれば、同蔵のお酒が飲み放題というサービスを実施しているので、左党の方はハンドルキーパー同伴で是非ご来店あれ。若い西出兄弟が杜氏を務める西出酒造のこれからの酒造りに大いに期待したい。
◇会社概要
・商 号 合同会社 西出酒造
・住 所 小松市下粟津町ろ24番地
・TEL (0761)44-8188
・URL http://nishidesake.com/