本文
Kaze-ya style 「今」を感じさせる空気感 「ピュア」で「ナチュラル」で「本物」のテイスト
<平成22年度活性化ファンド採択事業>
◇事業名
山中漆器における自社ブランド「Kaze-ya style」においてのレンジ、食洗機、冷凍庫対応の開発及び漆塗商品の食洗機及び冷凍庫対応商品の新規開拓及び新規ブライダル市場への販路開拓及び拡大事業
◇商品名
自社ブランド「Kaze-ya style」
◇キャッチコピー
「奇麗を語るかたち」
◇商いのポリシー
(株)北市漆器店は明治24年創業の山中漆器の老舗で、現社長の北市博之氏は4代目。平成9年、先代が亡くなった後を受けて社長に就任した当時は、百貨店オンリーの商いだったが、10年先を見据えた時、新たな販路開拓の必要性を痛感。ブライダル市場に活路を求める。北市氏のモノづくりの根底にある、「今」を感じさせる空気感とは、10年前の「今」もあれば、現在の「今」もあり、10年後の「今」もある。時代の変化に合わせ、その時代に相応しい商品を提供したいとの情熱を『風(Kaze)』という言葉に込め、時代と共に成長するブランド「Kaze-ya style」が誕生する。
以来、世の中に存在する自分を取り囲む様々な要素を背景とし、時代のトレンド、本物志向(伝統の技術)、信用に裏打ちされたモノづくりをスタイリッシュに展開してきている。同社は山中漆器のメーカーではあるが、自社商品には山中漆器とは明記されていない。
「私は北市漆器店のKaze-ya styleをブランドとして育てたかったので、敢えて山中漆器という冠は使用せず、先入観なく北市漆器店の商品を市場に評価してもらいたかった。その意味で、十数年の歳月を要したが、現在では信用のあるブランドの一つとして市場に受け入れられることができた。」と自信を覗かせる。
◇こだわり
従来までの伝統工芸に最も欠けていたデザインをモノづくりに持ち込んだ点が、同社が躍進した最大の要因である。なおかつ社長自らが本当に欲しいと思う商品しか作らない、という強いこだわり。とはいえ、ギフト市場がターゲットゆえ、価格帯は1,000円~5,000円(税別)とリーズナブル。北市氏のモノづくりは「奇麗」を追求している。そのコンセプトが「奇麗を語るかたち」であり、その商品は「STYLISH MODERN」である。
「常に新しい試み(商品開発)にチャレンジしていかないと10年後はない」と自らに言い聞かせ、挑戦を怠ることはない。デザインと機能は相反するもの。デザインを優先すると使いにくく、機能を優先するとデザインが悪くなる、デザインと機能は融合しにくい。さらにそこに伝統をプラスして融合させることに同社は邁進してきている。
◇新規性
ゼロからスタートしたブライダルギフトの市場を5年足らずで制覇し、さらにその市場を堀り下げるべく、商品に機能性という付加価値をつけることに着眼。その観点から現代生活に欠かせない電子レンジ、食洗機、冷凍庫に対応できる漆器の開発をテーマに掲げる。同社の商品開発には漆に強い思いを持っている。ウレタン塗装の食洗機対応商品は同社も既に販売をしているが、あくまでも漆にこだわる商品開発を進めてきた。そのため電子レンジや食洗機に入れても変質しない漆が必要だった。あちこち探した中から、新しい漆に出会う。通常、漆を完全乾燥させるには半年から1年近く要するが、その乾燥期間を短縮できるのがその新しい漆である。と同時に、漆を塗る素材も電子レンジや食洗機に対応したPET樹脂に置き換えた。
ところが、PET樹脂に漆を塗るのはそう簡単ではなかった。それをクリアできたのは120年余の伝統ある老舗の北市漆器店に受け継がれてきた「職人の技」以外のなにものでもない。県工業試験場のアドバイスや検査も活用しながら、3年あまりの年月を経てPET樹脂に漆を塗ることに成功する。このタイミングでいしかわ産業化資源活用推進ファンドに申請し、22年度の認定を受ける。
◇販売価格
電子レンジ・・食洗機対応商品 1,000円~5,000円(税別)
◇販売方法
全国の有名百貨店、大手小売店、ブライダルギフト関連、ネット販売等
◇現状と今後
ブライダル市場向けに開発した電子レンジ、食洗機対応商品ではあるが、市場での好評を耳にした大手百貨店からも引き合いが舞い込み、大手百貨店の店頭にも並ぶことに。同社が毎年出展している東京インターナショナルギフトショーにおいても、今年も大好評で昨年の3日間の商談数を2日目の午前に達成する盛況で、引き合いもかなりあったとのこと。なかでもネット通販関係の顧客が多く、同社も来期から本格的にネット通販に取り組む考えだ。いかに顧客の立場になって商売をするか、自らを「世界で一番厳しい消費者である」と位置づけ物事を判断する北市氏。
現在はブライダルギフトと百貨店の両輪を柱とし邁進しているが、近い将来は、ネット販売や大手小売店が加わり、さらに広がりを見せている姿を思い描く。その時代、時代をどう生き抜いていくか、その時代、時代をどう創っていくか、その時代の半歩先の未来をいかに提案していくかが鍵を握る。「伝統と歴史のある古い会社ほど、新しい取り組みにチャレンジすることが大事である」と、次なる新たな展開に思いを馳せる北市氏である。
北市博之 社長
◇会社概要
・名 称 (株)北市漆器店
・住 所 加賀市別所町漆器団地7-9
・TEL (0761)77-0123