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独自の焼付け乾燥技法を編み出し18金ジュエリーに山中塗の蒔絵を加飾 ~工房晃岳

印刷ページ表示 更新日:2018年2月20日更新

蒔絵ジュエリー

 独自の焼付け乾燥技法を編み出し18金ジュエリーに山中塗の蒔絵を加飾

     <平成28年度活性化ファンド採択事業>

事業名

 18金と山中漆器の蒔絵のコラボレーションジュエリー【MAKIE】の国内販路拡大および海外販路開拓事業

商品名

MAKIEジュエリー

キャッチコピー

蒔絵と18金の華麗なる出逢い

開発の経緯

山中漆器の産地である山中町で生まれ育った岡崎晃一朗氏は、子供の頃から絵を描くのが得意だったこともあり、高校卒業と同時に蒔絵師の中村孝也氏に師事。当時はバブル景気で棗が飛ぶように売れ、その絵付けを主に5年間の修業を積む。

いざ独立すると景況が一変。このままではジリ貧になると一念発起し、京都の老舗「かづら清」に自らの蒔絵の技を売り込み、櫛やかんざしに蒔絵を施す専属蒔絵師として今日に至る。この間、時計の文字盤や懐中時計の蓋に蒔絵を施すことを時計メーカー各社に提案し、シチズン時計の高級ブランド「アセンダ」の蒔絵を手がけることに。その時、ガラスに蒔絵を付ける緩衝剤であるエクセルプライマーを使用したが、思ったほどの密着性がなかった。

そこで、過去に使われていた漆の焼付け乾燥の技法を文献で探すも、漠然とした説明しか書かれていなかったため、自ら様々な試行錯誤を何度も何度も繰り返し、ようやく自分流の焼付け乾燥の技法を編み出すことに成功する。時計の仕事で縁ができた会社に誘われ、東京で平成17年1月に開催された国際宝飾展「IJT」に作品を出展したところ、新たな表現を模索していたジュエリーデザイナー山崎裕見子氏の目に止まり、金属に精巧な蒔絵が施せることに感嘆した山崎氏とのコラボレーションがスタートする。

蒔絵ジュエリー 蒔絵ジュエリー 蒔絵ジュエリー

特徴、こだわり

先述の漆を焼き付けて乾燥させる手法は、文献にも詳細な記述がなく、職人は自らの技を秘匿し、公開しないため、岡崎氏は何度も失敗を繰り返しながら、自分にしかできないオリジナルの漆の焼き付け乾燥の技法を編み出した。これは非常に密着性が強くシチズンの厳しい社内耐久テストにも合格している。

これで、木だけでなく様々な素材に蒔絵を施すことが可能となり、万年筆や18金のジュエリーに山中漆器の蒔絵を加飾できる貴重な職人としての存在感を発信し、オリジナルブランド確立に向け邁進している。焼付け乾燥の技法と共に、岡崎氏独自のものが、グリーン色が映えて見える透明感のある色漆の梨地と鮮やかなまっ赤になる色漆の梨地の独自の色漆を見つけ出したことだ。こうしたジュエリーが鮮やかに見える独自の2色を見つけ出せたことも、この世界で確固たる地位を築くことができた岡崎氏のこだわりである。

日々の精進について伺うと、「同じ絵を描いても明らかに差が出るだけの技量を上げること、技法的にこれまでにない表現法を常に考えること、蒔絵は何かに施すことで、その商品の付加価値を高める伝統工芸であり、日本の伝統工芸の真髄を世界に発信すべく常に新しい素材とのコラボレーションを模索していきたい」と熱く語る。

蒔絵ジュエリー 蒔絵ジュエリー 岡崎晃一朗氏 

販路開拓

かんざしに研き蒔絵を施すという新分野を開拓したことがきっかけとなり、時計、万年筆、ジュエリーの世界へとモノづくりの幅が広がり、富裕層をターゲットとした高額商品の分野ではその地位を確立しつつある。ほぼ全ての商品が受注生産であり、1点1点細密な作業であるため膨大な時間を要し、その注文をこなすことに追われている。

山崎裕見子氏とのコラボレーションによる作品づくりを続けてきて、国内の販路はもちろんのこと、海外市場開拓にもチャレンジしたいと考え、2015年にウィーンで開催された「石川ウィーン伝統工芸共同展示商談会」に山崎氏からの招聘に応じて出展する。「欧米の人たちに蒔絵を理解してもらうのはなかなか難しく、英語で説明しなければならないとなると至難の業です」と述懐する。蒔絵の施された18金ジュエリーに関心は示すものの、価格的な問題もあって簡単には販売につながらないのが現状のよう。

ウィーンでの販売会 ウィーンでの販売会
           ウィーンでの販売会スナップ

課題と方向性

平成29年には帝国ホテルで毎年開催される高級ジュエリーの展示会「創美展」に参加。大広間の中に晃岳のための専用のスペースを設け、そこでMAKIEジュエリーの展示販売を行い、盛況だったとのこと。今年の年末に香港で開催される世界的な宝飾展に参加する方向で準備を進めているところでもある。

岡崎氏が1点1点手づくりで仕上げている商品のため、大量生産ができず、順番待ちの状況が続いている。現時点では受注している商品を仕上げることで手一杯のため、オリジナルの商品づくりに取り組めていないが、今後、ある程度商品の在庫が持てる状況になった段階で、自社ホームページを活用したネット通販や高級品を扱うネットショップを活用して販売促進につなげることも思い描いている。

木、ガラス、金属はもちろんのこと、どんな素材に対しても蒔絵を施すことができる特殊技術である焼付け乾燥の技法があれば、いろんな可能性が膨らみ、さまざまな商品展開が可能であることから、身の回りにあるものをより華やかに、より個性的に変身させる特殊技法で新たな世界を開拓中。「図案も技法もより新しく、時代に合ったセンスを取り入れ、他にないモノづくりを目標に、常に新しいこと、新しいやり方、新しい技法を自ら開発し、晃岳ブランドの確立に向け精進していきたい」と決意を新たにする岡崎氏である。

帝国ホテルでの展示会 帝国ホテルでの展示会
         帝国ホテルでの「創美展」会場風景

事業所概要

 ・商 号 工房晃岳
 ・〒922-0274 加賀市別所町漆器団地23番地の9
 ・TEL (0761)77-2303
 ・URL http://kogaku-makie.sakura.ne.jp/


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