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能登ヒノキの木の温もりが子供たちの創造力を掻き立てる
<平成24年度活性化ファンド採択事業>
◇事業名
能登檜の間伐材と田鶴浜建具技術を応用した創造性を高める積み木の開発販売
◇商品名
創造積み木 くみっこ
◇キャッチコピー
「くみっこで 無限に広がる 夢空間!」
◇開発の経緯
江戸時代から続く田鶴浜建具の業界に身を置く永江建具製作所(現:株式会社永江)の永江正毅社長は、「以前から能登檜の間伐材を有効活用する方法がないか思案していた。その思いを旧知の元石川県工業試験場繊維部長で、現在は保育園の理事長を務める新保善正氏に話したところ、新保氏より田鶴浜建具の組子の技術を活用し、木片に様々なほぞ(凸凹)を作ることで、いろんな可能性が広がる積み木ができるのではないかとのアイデアをもらった」と、今回の取り組みのきっかけを語る。
早速、能登檜の間伐材を一定の大きさに揃えてカットし、5パターンのほぞを入れたものとほぞなしの全6パターンの積み木を製作。地元産の能登檜の間伐材と田鶴浜建具の組子の技術を活用する観点から、平成24年度石川県産業化資源活用推進ファンドの認定を受ける。
◇新規性
木製の積み木は様々あるが、国産材を用い、さらに伝統産業の組子の技術を使ってほぞを入れたことで、様々な組立の可能性が無限に広がる積み木は他に例がない。組子の技術を応用した製品との思いを込め、「くみっこ」と命名し、商標登録済み。本来の組子は、ほぞ同士をはめ込むことで木と木を接着剤なしで接合する技術であるが、はずれなくなっては積み木の用を為さないため、何回でもはめたりはずしたりできるよう1ミリ未満の微妙な余裕を持たせたほぞを切ってあり、田鶴浜建具の組子の技術レベルの高さを目の当たりにできる。
積み木の製作にあたり、作り手である建具職人と使う側の保育園長がモノづくりの段階からコラボレーションした画期的商品でもある。一つのパーツは長さ10cm前後の小さなものだが、これを組み合わせた高さ2メートルあまりの巨大なタワーは、見る者を圧倒する迫力があり、圧巻である(写真参照)。
◇こだわり
先述のとおり、間伐材とはいえ何と言っても能登檜を原料としているため、檜の手触りや色つやはもちろんのこと、何よりも檜特有のあの芳しい香りが五感を刺激し、子供たちの脳を活性化させ、創造性を存分に発揮させる効果が期待される。
また、子供たちが遊びの中で、自然のままの檜の肌触りや温もりが感じられるようあえて木片には塗料を塗っていない。たくさんの子供たちが触れる玩具だけに、幼児が口にすることも考えられるが、檜にはご存じの通り抗菌成分ヒノキチオールが含まれているため、自浄作用で清潔さが保たれる特徴がある。
◇小売予定価格
くみっこ 60本(化粧箱入、税込) 4,500円
120本(化粧箱入、税込) 9,000円
◇課題と方向性
25年2月から本格販売をスタートしたが、運良くNHKの全国放送で紹介されたこともあって、北海道から沖縄まで全国各地から注文が舞い込んでいる。おじいちゃんおばあちゃんが孫にプレゼントしたい、自分が卒園した保育園や幼稚園に寄付したいといったニーズが多い。「私が理事長を務める2箇所の保育園の遊び場に山積みにして自由に遊ばせていますが、子供たちが様々な組立方を工夫し、集中して遊んでいる姿を見ていると、くみっこを作って良かったと実感しています」と新保氏は満足げに語る。
今のところは檜の木地そのものの色で販売しているが、カラーバリエーション展開を望む声が多くあることから、今後どのような塗料を使い、どんな色展開をするか、試作を繰り返しながら商品化を目指すことにしている。創造性と夢が膨らむくみっこのさらなる広がりに期待したい。
永江 正毅氏 新保 善正氏
◇会社概要
<製造担当>
・商 号 株式会社永江
・住 所 七尾市田鶴浜町田鶴浜町た部1番地
・TEL (0767)68-2299