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七尾産なまこの美味しさを 新たな切り口で市場に提案
<平成27年度活性化ファンド採択事業>
◇事業名
ナマコを主原料に能登の機能性野菜(中島菜)などを使用したレトルト食品の開発販売事業
◇商品名
なまこ美人のお粥
◇キャッチコピー
使って 食べて なまこ美人
◇開発の経緯
なまこは奈良時代から伝わる食品で、「このわた」や「干しくちこ」は左党にとってたまらない珍味である。そのなまこを昭和23年から商う有限会社大根音松商店の大根富男会長はアイデアマンとしても知られる。「なまこを捌く職人の手が塩水で荒れるはずなのに、なぜきれいなのか」この疑問を解決すべく詳しく分析したことから誕生したのが「なまこ石けん」。新たな用途を開拓し、女性リピーター客を増やしている人気商品。
「自分で何でも作ってみないと気が済まない」という会長が次に取り組んだのが、なまこの美味しさを手軽に味わってもらうためのなまこ入りのお粥。レトルトパックになっているため、電子レンジで温めるだけですぐに食べることができる新商品。それに続いて、能登の機能性野菜として知られる中島菜の粉末を入れたお粥、干しなまこを柔らかく戻して入れたコンソメスープとコーンポタージュスープを次々と商品化。さらに、なまこをペースト状にし、ほうじ茶、ジンジャー、イチゴと合わせた天然コラーゲンスイーツ「パンナマコッタ」を発売と、なまこの新しい食べ方を提案し、注目されている。
コンソメスープ 乾燥なまこ 活なまこ
◇こだわり
石川県産コシヒカリと七尾産なまこ、それに天然塩を加えたシンプルなうす味に仕上げられているため、初めてなまこを食べる方でも抵抗なく食べやすい味付けに。こうした味は、会長が自らの舌で塩梅を決め、従業員の試食を経て商品化される。
乾燥なまこ(金ん子)は100gで6,480円と高価だが、それをじっくり1週間かけて戻し、お釜で炊いたお粥と戻したなまこをレトルトパックに入れて完成する。電子レンジで温めた時にベストの美味しさにするため、お粥と戻したなまこを別々に調理し、絶妙のタイミングで袋詰めしているのが同社のこだわり。このタイミングは、なまこ一筋の大根会長にしかできない職人技。レトルトパックは、一度に60パックを製造できる機械を自社に完備し、レトルトの殺菌工程以外は手づくりで一つ一つ丁寧に行なわれている。海洋資源の水揚げが年々減少傾向にあることがニュースで報じられているが、なまこの水揚げは今のところ特に問題はないとのこと。
◇販路開拓
これまでも中国で人気の高級食材として、同社の乾燥なまこは間接的に中国に輸出されているが、富裕層が急増した中国では日本国内の3~4倍の価格で販売されている。そのため、現地で乾燥なまこを購入し、それを戻してお粥を作ると相当高価なものになるが、同社のお粥がスーパーで購入できれば、たとえ3~4倍の価格になってもかなりリーズナブルで、しかもレトルトを温めるだけで食べられることから手間も省ける。そんなことから、次なる一手として、中国市場の開拓を視野に取り組みをスタートしている。
同社のホームページのネット通販は、国内のリピーター客をかなり獲得しているが、日本語ページしかないため、外国人が見ても全く分からない。そこで、海外の人たちにもなまこの魅力を発信できるよう英語版、中国語版を制作すべく準備を進めているところ。ただ、国際宅配便を使うため送料が高額になる点をどのように価格に転嫁するかという新たな課題も。
◇課題と方向性
富裕層が増え、高価ななまこを食べられる人口が拡大している中国市場は、大根会長にとっては魅力的だ。しかしながら、加工食品を輸入する現地の商社からすると、どんな環境で製造されている商品なのか、食の安全・安心に関わる高い関門をクリアしないと契約できない。平成30年4月末、同社のお粥を試食して気に入った中国のバイヤーが同社の厨房を見に来ることになっている。
例えば、大手食品会社のようにHACCP対応の製造工場であれば全く問題ないが、残念ながら同社の製造現場は、一般的な業務用の厨房レベルのため、「この現状を目の当たりにされると、いくら美味しい食品であっても、衛生面の管理に問題があるため首を縦に振ってもらうのは難しいと思っている」と会長は顔をしかめる。「恐らく製造現場を見た段階で不合格になると思うが、その時は次の手だてを考えるしかないが、まずはチャレンジしてみる」とのこと。大量に仕入れてもらえるのであれば思い切った設備投資もできるが、先の保証がない段階で大きな投資はできるはずもなく、こうした点が輸出することを考えた場合に、規模の小さな中小企業にとって大きなネックになってくる。
とはいえ、昔から滋養強壮に効果のある健康にいい食べ物として珍重されている七尾産なまこの美味しさ、魅力を発信し、七尾ひいては石川の魅力の一つとして、より多くの人に知ってもらうべく、なまこ一筋に商いに邁進する大根会長の頭の中には、次なる新商品のアイデアが出番を待っている。
◇販売価格(税別)
能登・七尾産なまこのお粥(中島菜入り)1箱 540円(税込)
店舗外観 大根富男 会長
◇会社概要
・商 号 有限会社大根音松商店
・〒926-0178 七尾市石崎町香島1の22
・TEL (0767)62-2253
・URL http://www.namakoya.com