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石川の四季のおはぎシリーズを開発 ~ 農菓プロジェクト

印刷ページ表示 更新日:2023年2月3日更新

石川の四季のおはぎシリーズを開発

 

<令和2年度 いしかわ中小企業チャレンジ支援ファンド採択事業>

事業名

 石川の新たな風物菓子「四季のおはぎシリーズ化プロジェクト」

商品名

 冬のおはぎ「北窓」 夏のおはぎ「夜舟」

農菓プロジェクト始動の経緯

2014年、石川県中小企業団体中央会の事業の一つとして、石川県菓子工業組合青年部のメンバーが五郎島金時の畑に芋掘り体験に行く機会があった。その時に訪れた五郎島金時の生産農家 有限会社かわに との交流の中で、農家も菓子業界も互いに歴史と伝統があるものの、昨今は高齢化や後継者不足が深刻化しているという課題を共有する。それが契機となり、「石川の食文化を未来につなげていく」という熱き思いで意気投合し、農菓プロジェクトがスタート。

まずは、県内農家の農産物を使って新しい和菓子を作り、試食したのち人気投票してもらう創作和菓子コンテストを開催。このコンテストのニュースが東京で目に止まり、銀座三越、六本木福島屋でも創作和菓子コンテストを開催。多くの来場者に石川の農産物と和菓子の魅力を発信するとともに、新聞やテレビでも紹介され、農菓プロジェクトの活動が脚光を浴びる。

農菓プロジェクト 農菓プロジェクト

夏のおはぎ「夜舟」

コンテスト後の取り組みとして、各店ごとに和菓子の中でも得意分野があるため、それぞれのお店で地元の農産物を使ったオリジナルの和菓子を開発し、販売していく方向性を決める。その上で、次なるステップとして、お彼岸時期には和菓子店に必ずあるといってもいい「おはぎ」に注目。農家にとってもおはぎは「田やすめ」と言い、農作業の合間の休憩時に糖分やエネルギーを摂取するため、昔から食べられている馴染みの深いお菓子。おはぎには各店それぞれの味があり、材料を変えると味が変わってしまうため、通常のおはぎとの違いを出すために、農菓プロジェクトならではのおはぎを夏に「夜舟」として作ることに挑戦した。

農菓プロジェクトのメンバーの米農家のもち米を使い、なおかつ農家メンバーの農産物をもう1品、小松菜やスイカ、レンコンなどを使っておはぎを作ることに。おはぎは四季によって呼び名が変り、夏は「夜舟」と言うことからこの名称に決めて「加賀・能登・金澤 夜舟」として商標登録も行った。

夏のおはぎ 夜舟 夏のおはぎ 夜舟

冷凍おはぎの開発

コロナ禍前は、各店の夜舟を持ち寄り、農家や和菓子職人たちが自ら販売員となって百貨店やショッピングセンター等で集合販売していたが、コロナ禍になり、密を避ける必要に迫られたため、各店のおはぎを冷凍にし、それを箱詰めして当日消費でお客さんに販売する企画を立案。とはいえ、おはぎを冷凍すると、解凍時にお米が固くなり風味が落ちてしまう。

また、使う農産物によって水分量が異なることから、各店が独自に水分量や砂糖の配合割合など試行錯誤を繰り返し、冷凍しても美味しく食べられる夜舟を開発。これによって、違うお店の商品が一つのパッケージに収まることで、能登・金沢・加賀の異なるお店の夜舟を楽しめることから、お客さんの中には全シリーズを購入する人も。

ちなみに 御菓子司 つば屋は、金沢すいかでスイカ餡を作り、スイカの果汁でお米を赤く染め、見た目がまるでスイカのユニークな夜舟を完成させる。これまで遠くて行けなかった店のおはぎも近くのお店で引き取れるので気軽に楽しめると好評を博す。

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四季のおはぎのシリーズ化

夏の夜舟に続いて四季のおはぎをシリーズ化することを企画し、若手メンバーで冬のおはぎ「北窓」の商品開発にチャレンジ。夜舟とは違う商品として、新規性を求め「北窓」の商品開発は、菓子店も農家も菓子職人も全員30代以下の若手で行うことに。そのリーダーがつば屋の中田敬祐さん。若手だけの議論は非常に活発で、出来上がった商品も若々しい感性にあふれ、今流のSNS映えも意識した見栄えに、和菓子の未来も、農業の未来も明るいと実感。

販売方法も若手らしく時流のクラウドファンディングを活用。こうして冬のおはぎ「北窓」シリーズ4点を商品化。リーダーの中田さんは、イチジク農家とコラボし、半年前からイチジクを加工して保存し、イチジクのジュレを餡で包み、それをさらにお餅で包み、石川の冬の象徴とも言える霙の水を含んだ憂いを表現した「MIZORE」を創作。

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春と秋はお彼岸で多忙な時期

夏と冬はできたものの、残る春と秋はお彼岸の時期で、各店で代々受け継がれてきている各店のレシピでおはぎが作られる。従来からの各店のおはぎに農菓プロジェクトならではの新しいおはぎとぼたもちをプラスワンで作れればいいが、オリジナルを開発するにはとても時間と労力を要するため、今年は各店自慢の味のおはぎを作る中で、少しでも県産のものを使う方向で取り組み、夏の「夜舟」で思い切り個性を発揮してもらうべくメンバーの意見を集約中。

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和菓子の新たな魅力を若手のモノづくりを介して発信

日本三大和菓子処にも名を連ねているが、県内の和菓子店の数はここ半世紀で激減しており、現実は非常に厳しい。その意味で、今回の30代以下の職人のみでトライしたおはぎ「北窓」は、若手が互いに刺激になると同時に、インスタ等を通じて新時代の和菓子を目にした若者の中に、和菓子職人の道を選択する人が現れることも期待でき、和菓子づくりは面白い、イケてる仕事だと思う人が一人でも増えてくれることを願わずにはいられない。世代を超え、店の垣根を超え、農家と和菓子店がコラボレーションすることで、これまでの常識の殻を破り、互いに刺激し合ってユニークでこれまでにない和菓子が生まれている。

農菓プロジェクトの様々な取り組みや情報発信を通じて、若い世代が和菓子に興味や関心を持つきっかけとなり、新たな顧客層の開拓にもつながり、ひいては菓子職人を目指す若者が増えることにもつながる好循環が生まれ始めているようにすら思える。日本を代表する和菓子王国である石川に、新たな魅力と活力を創出すると同時に、石川の菓子文化を全国に発信する農菓プロジェクト、そして「四季のおはぎを作る会」の波及効果に大いに期待したい。

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農菓プロジェクト参加メンバー

【和菓子】
株式会社雅風堂(白山市)、河田ふたば(小松市)、御朱印(小松市)、佐吉庵(羽咋市)、白千鳥 神保(かほく市)、たにぐち(宝達志水町)、中村屋(能美市)、日本堂五彩庵(能美市)、有限会社のむら農産(小松市)、八野田(羽咋市)、小山芳月堂(加賀市)、行松旭松堂(小松市)、美福(金沢市)、みうら屋(中能登町)、松月堂(宝達志水町)、なかざき生菓子店(金沢市)、つば屋(金沢市)、ひろの(白山市)、大松庵(白山市)、マルニシ(小松市)

【農家】
有限会社岡元農場(能美市)、株式会社金沢大地(金沢市)、有限会社かわに(金沢市)、加賀フルーツランド(加賀市)、有限会社たけもと農場(能美市)、有限会社平松牧場(加賀市)、農事組合法人北辰農産(白山市)、株式会社堀農園(加賀市)、本田農園(小松市)、株式会社ゆめうらら(志賀町)、株式会社六星(白山市)、農事組合法人One(金沢市)、農事組合法人アグリスターオナガ(羽咋市)、きよし農園(金沢市)、ひらみゆき農園(能登町)、株式会社笠間農園(内灘町)、吉川農園(能美市)

農菓プロジェクト

メモ

 ・名 称 農菓プロジェクト
 ・代表者 河二敏雄(有限会社かわに 代表取締役社長)
 ・住 所 金沢市元町2-13-33  石川県酒業会館1階
 ・TEL 076-255-1443
 ・URL https://noukapj.com/

「北窓」・・・冬空の下、たとえ窓から月が見えなくても、見えない月を輝かせるそんな逸品をめざしたいという意志を込めている。

「夜舟」・・・夏の海は穏やかで船着き場にいつ舟がついたか判らないほど凪である。「いつ着いたかわからない…いつ(餅を)搗いたかわからない」というおはぎの特徴であるもち米を搗かないことから名づけられた名前。


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