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ファッションに個性光る装いをプラス
<21年度活性化ファンド採択事業>
◇事 業 名
加賀友禅染色技術を活用した新分野(インテリア、洋装)商品の開発
◇キャッチコピー
アートなストール(Ams、Tram、Gram)
◇ストール開発の背景
金沢美術工芸大学を卒業後、東京での勤務を経て金沢に戻り、友禅作家・故成竹登茂男氏に師事し、友禅の染色技術を身につけ独立する。しかしながら、従来の友禅の着物から離れた創作活動を志向していた斉藤氏は、自身が好きで日々愛用しているストールに目を付け、シルクの生地に自分流の染色を施したオリジナルストールの制作に取り組み、自身のデザインセンスも加味することで、これまでにない新しいストールが誕生する。その後、友人などの辛口批評を浴びながらブラッシュアップを重ね、個展形式で作品を発表していた。そんな時、「個展形式で作品を発表するよりも自身のオリジナルブランドを確立すべき」との石川県デザインセンターのアドバイスを受ける。その際、いしかわ産業化資源活用推進ファンドの存在を知って申請し、平成21年度の採択を受け、ブランド確立に踏み出す。
◇こだわり
他人の手が加わらない自己完結できるものづくり、手仕事のため大量生産はできないが、ある程度の量は作れるクラフトとプロダクトの中間的なものづくりが斉藤氏の信条だ。「出来れば地産地消で地元石川の生地を使いたかったが、なかなかこれはという出逢いがなく、シルクの生地は関東から特別なものを仕入れています」と自信を覗かせる。生地に徹底してこだわり、洗濯できること、日光や摩擦に対する堅牢度テストをクリアした一点一点手染めのストールである。現段階では、ライン(線)・ドット(点)・プレーン(面)をテーマに展開。地元金沢の特産品である金箔を落款がわりに貼り付けてあるのも個性の一端だ。さらに、商品パッケージは地元小松の箱職人に依頼し、オシャレな桐箱を作り、それに入れて販売するこだわりようだ。
◇新規性
作家に共通する悩みは、ものづくりはできるが売り方が分からないことだ。そこで斉藤氏は、東京で活躍するディレクターに自身のものづくりならびに販促の協力を依頼。厳しい指導を受け激論を闘わせた結果、MICHIYOワールドが真の意味で開花する。平成22年の東京での見本市に出展したところ、日本を代表する大手百貨店やセレクトショップの目に止まり、一気に表舞台に躍り出る。斉藤氏のように全て手染めで仕上げているストールは日本中探してもどこにもない。しかも生地を染料に浸す一般的な染め方ではなく、感性に基づいて色づけする叩き染めやドローイングの手法が売りでもある。この方法は、必要最小限しか染料の廃液を出さないため、環境にも優しい。
◇課題と方向性
東京での展示会や百貨店での販売を通して人脈が広がり、口コミで益々人気が高まってきている。現段階では一人で染色作業から納品まで一連の作業を行っているが、まとまった数量が販売できる目途が立ってきたことから、染色作業を行うための広いアトリエを新たに借りることになっている。と同時に、スタッフの育成にも迫られている。東京の有名百貨店で次々と展示販売会を開催できるようになったことから、これまで待ちの姿勢だった斉藤氏自身も積極的に営業活動に取り組み始めている。現在は、東京を中心に展開しているが、今後、大阪や名古屋、神戸、博多などでも発信していきたい考えだ。ストールに1cm四方の金箔の落款が付いていたら、それは斉藤氏のブランド「Ams、Tram、Gram」(フランス語であれ、これ、それの意)で、どれにしようかと選ぶ楽しさを表現している。世界に一つしかない商品、ブランド構築を目指して日々邁進する斉藤氏である。
◇発注単位 1枚より
◇希望小売価格 1枚29,400円~44,100円(税込)
◇配送方法 宅配便(送料別途)
◇事業所名 SAITO STUDIO
金沢市城南2-43-1-704
TEL076-205-8451
URL http://michiyo-saito.com/
◇担当者 斉藤 道代 代表