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カラフルな漆で感性と視覚にアピールする新しい時代の岡垣ワールドを発信! ~株式会社岡垣漆器店

印刷ページ表示 更新日:2020年1月14日更新

カラフルな漆で感性と視覚にアピールする新しい時代の岡垣ワールドを発信!

 

     <平成29年度活性化ファンド採択事業>

事業名

 カラーバリエーションと和柄を活かした輪島塗酒器の開発と販路開拓事業

商品名

 カラフルな平鉢ならびにお椀シリーズ

創業以来、文化庁が認定する輪島塗技法を堅持し、千舟堂ブランドとしてファン客を獲得している株式会社岡垣漆器店は、平成20年(2008年)の洞爺湖サミットの際には、同社製作の酒杯が歓迎晩餐会で使われ、漆の魅力を内外に発信したことでも知られる。輪島塗の技法を守りつつ、新たな時代に個性ある商品を送り出している岡垣祐吾社長に輪島塗のカラーバリエーション展開への取り組みを伺った。

工業試験場が開発したパール漆が業界に新風を

漆液は硬化して塗膜になると、暗い茶褐色になるため、赤色以外の顔料で着色した色漆は、発色性が長年の課題となっていた。平成24年に石川県工業試験場が、従来の顔料より輝度の高いパール顔料(光を反射する雲母材)を用いることにより、鮮やかな白漆、青漆を開発する。それがきっかけとなり、輪島塗を手がける5社のコラボレーション「World Wide Wajima project(W.W.Wプロジェクト)」が立ち上がり、真珠のように煌めく青漆のもとに、意欲ある若手塗師屋が連携する。

「それまでブルーの漆を使うことがなかったが、これを使った商品を発表したところ反響が大きく、手応えを感じた。」と当時を振り返る。輝くブルーが活かせるモチーフとして地球を選び、平成25年に各社が地球儀を競作したのがスタートである。
輪島塗お椀 輪島塗作業風景

箱から出して使いたくなる漆器を

従来までは、黒や朱が輪島塗の代表的な漆の色。しかも輪島塗のお椀が家にあったとしても、使うのが勿体ないからと仕舞われたままになっているケースが多かったのではないだろうか。そうした箱の中に片づけられる漆器ではなく、箱から出して日常的に使いたくなる漆器を作れないだろうか、そんな思いが岡垣氏のカラーバリエーション展開をさらに前に進ませる。と同時に、日常的に使いたくなる楽しい漆器を作ることで、新たな需要が創出できるとも考えた。

先述の「W.W.Wプロジェクト」が終わった段階で、工業試験場の担当者から「次なるステップとして何かやってみたいことはありませんか?」と問いかけられた岡垣氏は、「カラーバリエーション展開を推進したいと考えていますが、まずは黄金の国ジパングと言われる金色に挑戦してみたい。」と宣言する。

金の価格が高止まりしているため、かつては金縁をサービスできた時代もあったが、今では何万円もするためそれがままならない状況にあるため、金色を純金ではない金で表現できたらとの思いがあったからだ。そこから試行錯誤を繰り返してみたものの、残念ながら金縁に使うのには向いていなかったが、金色はカラーバリエーションの中でも一つの確立したカテゴリーとして位置づけたいとの思いから、金色を施した「ジパングシリーズ」が誕生する。

 ジパングシリーズ ジパングシリーズぐい呑み

技術レベルの向上に日々邁進

ジパングシリーズが確立されたのを受け、さらなるカラーバリエーション展開に着手。新しい色を創り出すにあたって、上塗り職人たちが試行錯誤を繰り返す。何しろ人のやることのため、職人の技術レベルによって、その判断基準が微妙に異なり、これぐらいでいいだろうと妥協する人もいれば、そこまでこだわるかというレベルの人まで、様々である。

そうした中で、同社が千舟堂ブランドとして世に送り出せる合格ラインの上を目指してもらい、そのレベルを安定して出してもらえるよう、職人と共に日々研鑽を重ねてきている。これまで黒と朱しかやってこなかった職人たちを説得し、新しい色味を創り出す方向へ導くと同時に、一つ二つの商品に対して塗りのレベルを高めることはできても、次々と注文が入ってきた時に、ずっとそのレベルを維持できるかとなると、これがなかなか難しいことから、仕上がりの品質を高いレベルで維持し、安定供給し続けることが課題である。
輪島塗お椀 輪島塗お椀

手塚治虫作品とのコラボレーションが実現

現在、カラーバリエーション展開を進めているのは、平鉢とお椀のシリーズ。当初は、ぐい飲みでも同様の色展開を試みたが、お客さんの反応が今ひとつで、従来の加飾されたものの方が評価が高かったことから、平鉢とお椀に絞ることに。お客さんの好みの色のものに加飾を施すことで、より付加価値の高い商品へと昇華させていく考えだ。

そうした方向性が、展示会でバイヤーの目に止まり、手塚治虫事務所から声が掛かり、日本各地の伝統工芸品と手塚治虫氏の作品のキャラクターがコラボレーションする商品シリーズに採用される。鉄腕アトムなど5種類のキャラクターを平鉢に描いたものが、1個50,000円(税別)で手塚治虫ワールド公式オンラインショップにて令和2年新春より販売中。

手塚治虫シリーズ  手塚治虫シリーズ

輪島塗の本物の魅力発信に日々研鑽

同社の既存の得意客層は、60代でも若い方で、それ以上の年代が大部分を占めているのに対し、ネットは若い世代がターゲットなため、これからの世代の顧客開拓のツールとしてホームページでの情報発信にも力を入れている。「ビジュアルの美しさでは他社に負けないこと、嘘をつかないことをモットーに取り組んでいます。」と力を込める。

さらに、令和2年(2020年)は東京オリンピック・パラリンピックが開催される年であると同時に、カラーバリエーション展開で採択された活性化ファンドの3年目の仕上げの年にあたることから、より高みを目指した取り組みとして、輪島塗の片口に人間国宝・中川衛氏の彫金を施した新作を発表する予定。より多くの国内外の人たちに、本物の輪島塗の魅力と価値を知ってもらい、使ってもらうべく、岡垣氏の営業活動はこれからが本番。

輪島塗酒器​ 岡垣漆器店岡垣祐吾社長
                        岡垣祐吾 社長

会社概要

 ・商 号 株式会社岡垣漆器店
 ・代 表 岡垣 祐吾
 ・〒928-0001  輪島市河井町20-1-83
 ・TEL (0768)22-0616
 ・URL http://www.senshudo-japan.com/


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