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金沢の正月菓子「辻占」を現代風にアレンジし、観光土産として通年販売化へ挑む
<平成25年度活性化ファンド採択事業>
◇事業名
石川のお土産としての「現代版・辻占(つじうら)」の商品開発と販売展開事業
◇商品名
ひつじ占
◇キャッチコピー
女心 ときめく! ひつじ占
◇開発の経緯
平成21年に、鶴来商工会青年部が地元の特産品を活用したB級グルメ「TKGY(卵かけごはん焼き)」を考案。マスコミでも取り上げられ鶴来のまちおこしに成果を挙げた。しかしながら、商工会青年部の活動では収益事業を行えず、稼がないことには真の活性化につながらないとのジレンマがあった。そんな思いを共有する仲間内で、鶴来発の特産品を民間事業として起業したいとの気運が醸成され、時計店を営む堀田隆史さんを中心に、薬局、看板屋、工務店、農家、鉄工所などを営む8人のメンバーが出資し、『つるぎ元気プロジェクト合同会社』が誕生する。
地元の特産品の中でスポットを当てたのが正月に欠かせない菓子「辻占」だった。堀田さん自身が子供の頃、正月にワクワクしながら食べた思いを、正月だけではなく通年で金沢土産として観光客に提案し、金沢独自の食文化を発信する「女性向け・現代版」商品として捉えたのである。
8人のメンバー
◇新規性
まず取り組んだのは、従来の辻占は味が決して美味しいとは言えないことから、若い女性が美味しいと思う辻占の開発である。金沢市内の洋菓子店に話しを持ち込み、チョコレート風味の試作を依頼するも、製作工程の手間やコスト面で折り合いがつかず断念。再度原点に戻り、既存の辻占の食感や風味を改善する方向で地元の和菓子店と試行錯誤を繰り返し、1年あまりを経て、春の花見シーズンに合わせ桜のエキスを生地に混ぜ込んだ「桜TSUJIURA」の発売にこぎつける。
辻占の中に入っているおみくじは使っている言葉が古く、今の若者には意味が通じないことから自分たちで現代風にアレンジしたものを入れ込んだ。地元菓子店や金沢ひがし茶屋街などで販売したところ、初回生産分をあっと言う間に完売。好評を博す。
◇こだわり
さらに辻占に付加価値を付けることができないか、金沢市内のデザイン事務所に相談したところ、次なる商品として「ひつじ占」の提案を受ける。この「ひつじ占」の特徴は、ひつじの守り鈴がついている点だ。ひつじ占には、さくら味(恋愛運)、抹茶味(健康・美容運)、ゆず味(金運・仕事運)の3種類のパッケージがあり、女心をくすぐる商品コンセプトとなっている。それぞれにコピーライターが新たに考えたオリジナルの言葉が書かれたおみくじが入っており、その種類は全部で234種類にのぼる。辻占菓子が3個入り、ひつじの守り鈴が付いて販売価格は1つ580円(税込)。
平成26年12月に新発売するにあたり、活性化ファンドを活用して地元の新聞に広告を掲載したところ、1ヶ月間で1300個以上が売れる。「パッケージは全てメンバーが手作業で行っているため相当大変でした。とりわけこの二重叶結びの赤い紐の結び方が難しく、これを習得するのが一苦労だった」と代表社員の堀田さんは振り返る。
◇課題と方向性
通常、どんなにいいものを作っても販路開拓で苦労する場合が多いが、幸いにして「ひつじ占」はメンバーの人脈で観光客が訪れるスポットに置くことができた。 ただ、辻占は正月菓子という既成概念が根強く、12月、1月以外の月は売れ行きが急減するのが大きな課題。また、猛暑が続いた今夏は、辻占の品質保持が難しくなるため、販売を自粛せざるを得なかったという。
一年を通して金沢の辻占文化を発信していくことがメンバーの大きな目標であるが、長年定着している正月菓子という認識を打破すると共に、観光客に辻占という金沢独自の文化をいかにして知ってもらうか、「ひつじ占」を通年販売するための鍵を握っている。当面は、地元で開催されるイベントなどに積極的に出店し、つるぎの活性化に向け邁進している自分たちの姿を多くの人に知ってもらうことで、次のステップにつなげていく考えだ。
◇販売価格
ひつじ占 1個 580円(税込)
代表社員 堀田隆史さん
◇会社概要
・商 号 つるぎ元気プロジェクト合同会社
・住 所 白山市鶴来本町1丁目ワ53
・TEL 076-272-0304
・URL https://www.facebook.com/tsurugigp/