本文
加賀友禅とステンレスの斬新な融合で生活空間に彩りを
<20年度活性化ファンド採択事業>
◇事 業 名
加賀友禅のデザインと染色の技術とステンレスの素材と技術を組み合わせた新商品等の開発事業
◇キャッチコピー
ぬくもりを 優しく伝える 加賀五彩
◇ステンレスと加賀友禅の融合による照明器具開発の経緯
加賀友禅作家・鶴見保次氏の長男として生まれた晋史(くにちか)氏は、1993年大学卒業と同時に、東京友禅作家の坂井教人氏に師事したのち、父の下で研鑽を積み、2006年日展に初入選。加賀友禅=着物という固定観念から離れ、現代の日常生活に使える新たなものづくりを志向し、日常生活で使える和雑貨の制作に取り組む。そんな中、富山県のステンレス加工業者との出会いがきっかけとなり、かつて友禅の反物を洗う際、竹でできた伸子(しんし)で絹の反物を伸ばしたカラフルな色彩トンネルの下を駆け回って遊んだ子供の頃を思い出し、伸子をステンレスに置き換え、加賀友禅の布地をライトが優しく包み込むように照らし出し、それでいて鮮やかな光を演出するオリジナルの伸子ライトなるものを考案する。伝統工芸である加賀友禅の染色技術を施した布地をステンレスの枠材で支えるという新しい発想による照明器具の開発にあたり、平成20年度のいしかわ産業化資源活用推進ファンドに申請し、認定を受ける。
◇ 新規性
これまで加賀友禅の布地を木枠にはめた照明器具はあったが、金属しかもステンレスとのコラボレーションは初の試みである。加賀友禅と全くつながりのない業種で、なおかつ大がかりなモニュメント等の制作を得意とするステンレス加工業者にとって、片手で持てる大きさの照明器具の支持具を作ることは試行錯誤の連続、何度も試作を繰り返し、ようやく納得のいく完成品ができあがる。従来までの照明器具と異なり、メタルな外枠の金属感とアナログ技術の最高レベルとも言える加賀友禅の布地を照らし出す柔らかな明かりの好対照が、ほっとするやすらぎを創り出している意外性がとても新鮮だ。
◇こだわり
始まりは室内に置く伸子ライトであったが、これを見本市に出展したところ、住宅のガーデニングを行う業者から、中庭など屋外にも設置できるような照明器具があったら使ってみたいとの声を受け、手持ち行灯型でなおかつ多少の雨でも耐えられる防水加工を施した新たな照明器具シリーズを開発。さらに、価格を抑えるために小振りのテーブルライトシリーズも開発する。この行灯型の照明器具は、側面に付けた円形の穴から優しくこぼれる明かりが、こだわりポイントでもある。また、テーブルライトは、大きさこそコンパクトであるが、ステンレス面に細かな加工を施してあり、趣ある光がこぼれるよう工夫されている。
◇課題と方向性
現物の商品を見れば、恐らく誰もが美しい、きれい、欲しいと感じること請け合いだが、如何せん価格が高い。伸子ライトが49,350円、手持ち行灯型が150,000円、テーブルライトが70,000円と、いいものであることは理解しても、照明器具としてここまでのお金を出して買う人がどれだけいるか、非常に難しいものがある。ステンレスの加工、防水加工、照明器具組み立てと全てが分業になっているため、製造原価がかなりかかる。その経費を含んだ上で利益の出る価格で販売しようとなると、どうしても高いものについてしまうのが最大のネック。いかにしてコストを下げるか、なかなか難しい壁に直面している。そのため、本事業最終年度となる今年、ステンレスの使い方を見直し、加賀友禅の作品をステンレス額に納め、商品ではなく作品として販売できる付加価値の高い試作品を開発し、新たな展開をスタートさせたところで、今後の見本市等での反応が期待される。
◇発注単位 1点より
◇希望小売価格 1点 49,350円(税込)~
◇配送方法 宅配便(送料別途)
◇事業所名 (株)鶴見染飾工芸
金沢市東力4-71
TEL076-291-1628
URL https://yuzen-tsurumi.jimdo.com/
◇担当者 鶴見 晋史(くにちか)氏