母娘で紡ぐ　生命の響き宿る　水引ジュエリー　～Ｖｉｏ　Ｂｅｌｌ

　　　母娘で紡ぐ　生命の響き宿る　水引ジュエリー

　　　　　＜平成２５年度活性化ファンド採択事業＞

◇事業名

能登の自然をモチーフにした新感覚の水引ジュエリーの商品開発と販路開拓

◇商品名

　水引ジュエリー「Ｖｉｏ　Ｂｉｊｏｕ（ビオビジュー）」

◇キャッチコピー

　心ときめく　新感性！

◇開発の経緯

東京でジュエリーデザイナーとして活躍していた兼田正子さんは、結婚を機に自然環境に恵まれた穴水での暮らしが始まる。東京と穴水では、十分な意思疎通が図れないことからジュエリーの仕事は暫くして休止する。やがて、隣接する穴水町の観光農園の人気が高まると、庭先にパラソルを立てていた兼田さんの自宅を喫茶店と間違えて観光客が入ってくるようになり、そんな中の一人から「この素晴らしい穴水の風景を沢山の人にお裾分けしたら」と言われたのがきっかけで、１９９９年に喫茶店「Ｖｉｏ　Ｂｅｌｌ（生命の響きの意）」を開店。

しばらくジュエリーの仕事を忘れていたある日、友人から「水引で結婚式のリングピローを作ってもらったらとても素敵だった」と聞かされ、ジュエリーデザイナーだった血が騒ぎ、水引とジュエリーを融合させたらどうだろうかとイメージが膨らむ。早速、金沢で生活していた長女・怜奈さんと二人で、文化センターの水引教室に通い、水引の基本となる結び方の一つであるあわじ結びを習得する。水引の結び方はいろいろあるが、あわじ結び一つだけでも様々な展開ができることから、その後は二人の独学と持ち前のデザインセンスでオリジナルの水引ジュエリーを次々と世に送り出している。地元の伝統の技である水引に能登の自然をモチーフにしたモノづくりが評価され、２５年度の活性化ファンドに採択される。

◇新規性

水引と言えば、金沢には何軒もの水引専門店があり、近年は水引を使ったアクセサリー的な商品を販売している店も増えてきている。それらは水引そのものをいろんな形にアレンジしたり、様々な結び方を駆使したものであるのに対し、兼田さんが手がけているのは、水引とジュエリー、とりわけシルクを纏った水引の糸と真珠の融合をテーマにこれまでにない新しいジュエリーの境地を開いた点が特筆すべきところである。

水引は紙のため、金属のような重量感はないが、遠目で見るとあたかも金属のアクセサリーを付けているかのように見える不思議な輝きが特徴で、従来にない水引の魅力を引き出している。

◇こだわり

兼田さん母娘が最も大切にしているのは、そのアクセサリーを身につける人がどんな思いで身につけるのか、どんな場面で身につけるのか、そんなお客様が身につける時の思いである。そのため、何度も何度もコミュニケーションを重ね、お客様の思いを熟知した上で制作に取りかかることで、１点１点の水引ジュエリーに見る人を惹きつける作り手の魂（生命の響き）が宿っている。

とりわけ難しいのは、イヤリングのように左右のペアがある商品は、左右のあわじ結びの大きさを正確に一致させなければならず、少しでも納得がいかない時は、ゼロからやりなおす徹底ぶり。あわじ結び一つからありとあらゆるバリエーションが生まれる楽しさを母娘で共有しながら日々新しい作品づくりに邁進している。

◇課題と方向性

ようやく本格的に販売をスタートさせる段階まできたが、ここへ来ての悩みは、通販と店頭での販売価格を統一しなければならないことだ。というのは、通販に採用されたのは嬉しいものの、５０％あまりマージンを取られるため、利益を上乗せすると高くなりすぎ、そのまま販売したのでは利益が出ないというジレンマに悩まされている。水引ジュエリーの販売価格帯は、１０００円前後から２万円ぐらいの間のため、通販のマージンにどう対応するか、これを解決しないと販売機会をなかなか広げられない現実に直面している。

一方、地元では、のと里山海道の別所岳サービスエリアの売店で、水引ジュエリーの携帯ストラップの販売がスタートし、まずまずの売れ行きとのこと。また、平成２６年１０月、東京・銀座にオープンする「いしかわ百万石物語　江戸本店」に商品を納めることになっており、現在最終的な商品選定に追われている。水引ジュエリーは外国人にも人気が高いだけに、平成２７年春の北陸新幹線開業を追い風にしたいところで、兼田さん母娘の益々の活躍に期待したい。

　　　　
　　　　　兼田正子さん、怜奈さん　　　　　　　Ｖｉｏ　Ｂｅｌｌ外観

◇会社概要

　・商　号　Ｖｉｏ　Ｂｅｌｌ
　・住　所　鳳珠郡穴水町旭ヶ丘り－１－３
　・ＴＥＬ　０７６８－５８－８００１
　・ＵＲＬ　https://www.facebook.com/VioBell8001/