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和・洋の空間に溶け込むモダン漆器を提案
<平成24年度活性化ファンド採択事業>
◇事業名
Newブランド、輪島塗「Ichimatsu」の商品開発と販路拡大事業
◇商品名
市松(Ichimatsu)
◇キャッチコピー
日々の暮らしに モダン市松
◇開発の経緯
吉田宏之氏は大学卒業と同時に、輪島塗の上塗り職人である父に師事し、漆器製造の修業を始め、石川県立輪島漆芸技術研修所に入所し研鑽を積む。以来、個性を大切にしたモノづくりをモットーに、今日まで様々な輪島塗の商品シリーズを発表してきている。中でも、遡ること9年前、従来の蒔絵や沈金などの加飾を施した輪島塗と一線を画し、和洋いずれの空間でも使え、日本人に馴染みのある市松模様をモチーフにしたオリジナルブランド「市松」の三段重を制作し、国際漆展・石川2005に出展したところ見事金賞を受賞。これに意を強くし、銘々皿やトレイなどにも市松模様を施した一連の市松シリーズを展開。
その後も数々の公募展等で受賞し、高く評価されている。輪島塗の上塗り技術を応用し、新たな輪島塗のブランド「市松」の確立に向けた取り組みが評価され、平成24年度の活性化ファンドに採択される。
◇新規性
従来の輪島塗の商品は蒔絵や沈金が施され、素晴らしいものではあるが、高価なために日常使いとはほど遠い位置づけにある。そこで吉田氏は、輪島塗の新境地を開拓すべく、「日々の暮らしの中でもっと気軽に漆の器を使って欲しい」との思いを込めた「日々器」(Hibiki)シリーズ、日本人の心に刻み込まれた朱と黒を表現した「真塗」(Shinnuri)シリーズ、和洋いずれの空間にも溶け込むモダンな漆の器をコンセプトにした「市松」(Ichimatsu)シリーズの3つのオリジナルブランドを展開。
斬新なデザインと値頃感のある価格設定が相まって、輪島塗の新たなブランドとして認知され始めている。
◇こだわり
市松シリーズの市松模様は、特注した木地にマスキングテープを寸分の狂いなく正確に貼り、和紙でその都度濾過した朱漆と黒漆を外側から順に市松柄に交互に塗り、塗り終わると室で乾燥させる作業を繰り返し、乾いた上に透明な漆でコーティングを施し、それが乾燥すればできあがる。
モダンな市松模様は、日本料理はもちろんのこと、フランス料理や中華料理などジャンルを問わず、どんな料理も引き立たせる。お菓子も同様に、和菓子だけでなくケーキをはじめとした洋菓子を載せてもモダンさが際立つ逸品だ。これまでにない斬新なデザインではあるが、モノづくりはあくまでも伝統工芸輪島塗の技法を守っている。
◇販売価格
市松シリーズ 小皿15,000円(税別)~三段重200,000円(税別)
◇販売方法
輪島朝市通りの自社ショップ「La Quarta」にて店頭販売 または電話注文に応じ宅配便にて配送
◇方向性
かつては、問屋を介しての百貨店の催事や期間限定ショップにも商品を提供していたが、中間業者が入ることでマージンが発生し、どうしても商品価格が高くなってしまうことに疑問を感じていた。何よりもお客様に適正な価格で販売したいとの強い思いが吉田氏の中で大きくなってきていた。そこで、行政の補助金を活用し、朝市通りの共同店舗内に自前ショップの出店を決意し、平成24年に「La Quarta(イタリア語で4代目の意)」をオープン。従来の輪島塗の店舗にはない白を基調とした明るい雰囲気の店づくりで観光客にも好評だ。
手間暇かけた輪島塗であるため、決して安くはないが、お客様に直接手にとってもらい、工程を詳細に説明し、納得して買っていただくことに意を注いでいる。そんな思いから、ホームページの開設準備を進めているが、あくまでも情報発信のツールとして捉えており、ネット販売は考えていない。「今後も積極的に東京での見本市に出展し、バイヤーに自らの商品をアピールすると共に、様々な公募展に応募し、常に高みを目指し、生涯一漆職人として精進していきたい」と決意を新たにする吉田氏である。
◇店舗概要
・商 号 吉田漆器工房
・住 所 輪島市河井町21-64
・TEL 0768-22-2246
・URL http://www.yoshida-shikkikoubou.com/
・自社ショップ La Quarta
・住 所 輪島市河井町1-91
・TEL 080-8696-0815