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こだわりの国産原料を贅沢に使用した穀物パウダーを
食事にプラスする健康習慣を提案! ~ アンビズ株式会社
<令和6年度 成長戦略ファンド採択事業>
◇事業名
県産穀類を用いた焙煎粉末自然食品「五穀の君」の開発
◇商品名
五穀の君
◇キャッチコピー
千恵おばあちゃんの知恵
◇開発の経緯
アンビズ(株)の安用寺玲生社長の祖母・千恵さんが、自身の健康のために地元能登産を中心に集めた穀物(大豆・はとむぎ・玄米・大麦・小豆・黒胡麻)を鉄鍋で焙煎し、粉状にして、約40年間作り続け、商品として販売していた元気の秘訣が「五穀の君」である。安用寺社長も子供の頃は愛飲していたが、進学の都合で10歳の時に金沢に引っ越し、そのまま京都の大学に進み、そして東京で就職したため、「五穀の君」を食す機会は次第に少なくなっていった。珠洲を離れて17年が経過した2023年に、父親の仕事を手伝いながら起業しようと思い故郷へ。大学卒業前に自身が病気になったこともあり、食べ物や健康に対する意識が変わり、祖母の作っていた自然食品「五穀の君」を自らの事業として復活させたいと考え会社を立ち上げる。祖母に焙煎方法や配合方法を教えてもらいながら、作業場の準備や新たな製粉機の購入など、事業化に向けた準備に取り掛かり始めた矢先に能登半島地震が発生し、自宅も会社も被災し、電気・水道が止まり、暮らすことができなくなる。。

◇商品化への道
震災後の四か月余り、親戚の家に家族と社員が身を寄せ、和室の一間を臨時の会社事務所として、父親の会社の震災復旧の緊急対応業務に追われる日々を送り、「五穀の君」の事業化は一旦ストップ。正直やめようかと思ったこともあったようだ。半年余りが経過し、少し落ち着いてきたことから、この事業はどうしようと考える余裕が生まれる。震災後半年で、珠洲から若者がどんどん流出していくのを目の当たりにし、若い人が能登で何か新しい活動をすること、それ自体がもしかすると価値があることではないか、能登で若者が頑張っている姿を発信することで、他の若者にも少しでも好影響を与えられたら、それはきっと価値のある事と自らを奮い立たせ、再スタートするべく動き出す。資金面での支援を得るため石川県産業創出支援機構の成長戦略ファンドの公募に手を挙げ採択される。「私の事業計画がISICOさんに採択されたことで、商品開発に関して様々なサポートがいただけ、大きく背中を押してもらえました。」と感謝することしきり。

◇震災の影響で製法を見直す
当初の計画では、地元能登産の穀物を中心に使用することが、この商品のこだわりポイントだった。ところが、震災の影響で地元の穀物が入手困難な状況となる。想定していたやり方では製造できないことから、各穀物の焙煎粉を他地域から仕入れ、それを独自のブレンドで混ぜ合わせる製法に変更する。黒胡麻だけは国内産の入手が困難なため、外国産のものを使用しているが、その他の原料については国産にこだわっている。また、震災後もハト麦は能登産のものを安定して入手できた。もちろん添加物は一切使用していない。これから能登産の穀物類の生産量が元に戻るにつれ、順次能登産に切り替えていきたい考えだ。令和6年の秋にファンドに採択され、そこからホームページの作成、商品の写真撮影、パンフレットの作成、パッケージデザイン、栄養成分の分析等々を急ピッチで進め、令和7年3月から販売をスタート。
◇「五穀の君」の味を知ってもらうことが鍵
ホームページでの販売のほか、県内の道の駅(すずなり、千里浜など)、スーパーどんたく、金沢エムザ黒門小路などで販売している。発売から9ヶ月あまり経過し、「五穀の君」という商品名だけでは、どんなものなのか消費者がイメージしにくいことが、販路開拓のネックと感じており、様々な食べ方ができることをパンフレットやInstagramのアカウントを通じて発信している。また、試食を通して味を知ってもらうプロモーションも必要と感じているが、シェーカーに牛乳と「五穀の君」を入れ、混ぜて提供するためには、販売員や容器を洗浄する手間と場所も必要になる。そのため手軽に試食してもらえる「五穀の君」で作ったクッキーやクラッカーのような商品を開発することを模索している。味が分からない商品を買ってもらうのはなかなか難しく、どんな味なのか知ってもらうことが、販促の鍵を握っている。

◇「五穀の君」の魅力を一人でも多くの人に
健康志向の高まりで、健康食品は数多販売されているが、たくさんの穀物をバランスよく使用していることで、たんぱく質、食物繊維、鉄分、カリウム、葉酸、ビタミンEなどがまとめて摂取でき、しかも添加物不使用の美味しい自然食品はありそうでない貴重な存在。リピーター客からは、「からだにいいものは食べづらいかと思っていたら、食べてみると香ばしくて美味しかった。」と好評を得ている。

◇今後の事業展開、商品開発
道の駅に置いてある商品を考えた時、「五穀の君」は買ってすぐ食べることができない。そこで、クッキーやクラッカーのような手軽に食べられる商品を開発したいと考えている。例えば、地元珠洲の揚げ浜塩田の塩を使ったクラッカーができれば、すぐ食べられ、試食の提供も簡単にでき、誰でも手が伸び、珠洲のお土産にもなる。味を知ってもらうきっかけができれば、その原料となっている穀物パウダー「五穀の君」も売りやすくなる相乗効果が期待できる。また、朝食に一品プラスするイメージを提案している商品でもあることから、ホテルや旅館の朝食バイキングの一品として使ってもらえるよう営業活動をしていくことも検討中。能登半島地震、奥能登豪雨と度重なる災害に苦しんでいる能登の地で、若者が起業して頑張っている姿、能登の自然食材で人々に健康を届ける活動に邁進する安用寺社長と関わることで、幸せの輪、人の輪、健康の輪が、珠洲から全国に広がることを願ってやまない。
◇事業者概要
・商 号 アンビズ株式会社
・代表者 代表取締役 安用寺 玲生谷内 充
・本 社 珠洲市飯田町15部61番地1
・TEL 090-2122-0804
・URL https://gokokunokimi.com/