ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 成長戦略ファンド新商品・新サービス開発支援事業助成金商品開発ストーリー集 > リアルなイスづくりを通して、日本の文化・心を世の中に伝播!~ 株式会社 イナミ教材

本文

リアルなイスづくりを通して、日本の文化・心を世の中に伝播!~ 株式会社 イナミ教材

印刷ページ表示 更新日:2025年12月23日更新

リアルなイスづくりを通して、日本の文化・心を世の中に伝播!​​ ~ 株式会社 イナミ教材​​

<令和5年度 成長戦略ファンド採択事業>​

事業名

STEAM革命:未来をデザインする実践的な新次元の教材開発​

商品名

技術の見方、考え方を学ぶイス

キャッチコピー

手から学ぶ 手から心へ

開発の経緯

(株)イナミ教材は、石川県内の中学校の8割以上に技術の教材を納めている知る人ぞ知る存在。文部科学省の方針としてSTEAM教育の考え方を導入し、総合的な判断の下で学ぶことが推奨され、従来のイスを製作して終わっていた授業ではなく、イスを作る過程において、高さがどうか、人間工学の観点からの座り心地、構造力学の視点からの強度等々を学ぶ授業に大きく変化してきている。かつては週3時間あった授業が週1時間に、しかも半分近くの時間が情報教育に力点が置かれ、モノづくりよりプログラミング重視に。そこで、従来はデザイン的な見栄えで、三角や丸や四角の座面にしていたが、何故この形にする必要があるのか、座面のどこをどうカットすることで、荷重がかかっても倒れにくくなるかを考えさせる。つまり、身近なものに課題があり、その課題を解決するにはどうしたらいいかという思考を重視。そのためには、先生がいろんな形のイスを作り、生徒に座らせ、体感させるのがいいが、現実問題としてそんな時間がない。そこでパソコン上でシュミレーションできるソフト開発に着手する。​​

              

◇​デジタルツールで生徒の理解度を高める​

このイスのシュミレーションソフトは、石川県工業試験場の協力を得て、どれぐらいの荷重がどこにかかるとどう倒れるか、様々な状況を数値化してプログラムが作られている。さらに、バーチャルリアリティーの空間の中に、イスを並べて、どれぐらいの荷重がかかるとイスが潰れるか、仮想空間での実験映像を生徒たちがVRで見ることができるソフトも開発。この制作にあたっては、金沢美術工芸大学の村中稔教授(現 名誉教授)と大学院生の協力を得て完成することができた。これが白山市の研究授業に採択され、令和8年の教職員の東海・北陸地区中学校技術・家庭科研究大会で、デジタルツールの採り入れ方、生徒の理解を高める、こうした使用方法もあることを発表してもらえることに。

     

◇​社会人基礎力育成にも応用

イスづくりを4人ぐらいのグループに分かれて取り組み、出来上がったイスを会社の中で、どこでどう使うか、例えば喫煙所にあればたばこを吸う時に便利、ノートパソコンの置台にいい等々、グループで話し合って発表する。3~4人集まると、自然とリーダー的な役割をする人、没頭して作る人、傍観している人と役割分担が顕著に見えてくる。イスを作るだけの作業を通して、社会人基礎力の育成に役立つことが、これまで多くの企業で採用され立証済。イスを組み立てるという簡単な作業を通して、その人の性格や能力が手に取るように分かり、新しい切り口での社員研修の手法として好評を得ている。

        

            アサヒ装設株式会社(白山市)での研修風景  写真提供:同社

◇千年続く日本の大工道具・鉋の魅力を再認識

社会全体がデジタルに向かっている中で、バーチャルではなくリアルの大切さを改めて強く認識される時代になるのではないかと井波社長は考える。例えば、大工道具の鉋を使うことは今はほぼないため、子供たちは鉋に一番興味を示し、ずっと木を削り続けている。そんな姿を見ると、鉋の素晴らしい機能、日本独特の引く文化などを体験しながら学べる。キットを買って自ら作る過程で、なんで鉋はこんなに薄く削れるのか、なぜこの工具が千年以上続いてきているのか、そんな視点で、子供から年配者まで、みんなが改めて楽しさの中に学びが得られる、知りたいと思うきっかけづくりになるものを提供したいと考えた。そんな折、たまたまギフトショーで仙台の家具店が完成品として販売している3本脚の組み立てスツールが目に止まる。きれいに丸く削られている脚の木材を、敢えて削る前の角材にして準備し、脚の角材を自ら鉋で削って丸く仕上げるオリジナルのイス組み立てキットを商品化する。

      

◇日本だけでなく、海外にも日本の魅力を発信 

このイスの脚材に日本を代表するヒノキの角材を使うことで、日本の魅力を海外に発信することを目論んでいる。ヒノキは香りもよく、リラックス効果、殺菌効果もある優れた木材で、その魅力を発信することが狙い。削りながら鉋の面白みを知ってもらい、例えばお父さんが鉋で木を削っていたら、ゲームをしていた子供がゲームの手を止めて、自分もやりたいと言ってくれないだろうか。そんな理想的な家庭を思い描き、ひいては社会現象を巻き起こすきっかけになればと、大きな夢を抱きながら、ゲームも面白い、鉋削りも面白い、その面白い中に不思議だなぁという思いが自然と生まれることを期待している。大人も子供も一緒に楽しめるようなキットを作ることが、長年教材販売をしてきた中で、デジタルツールも活用し、技術の教材としてだけでなく、会社の人材育成のツールとしても役立ち、もっと広く一般の社会現象として、鉋をはじめ日本の大工道具の魅力を伝え続けることができるかもしれない可能性をも秘めた楽しい教材が世の中に普及していくのも面白いのではないかとの思いが込められている。

 

◇手で木に触れるリアルな体験を重視​

令和7年5月に中央教育審議会から発表された教育指導指針に、「木材での作品制作等」の一行が加えられ、今のご時世3Dプリンターでいいのではとの極論派が排除され、井波社長は胸を撫でおろす。教育現場においてモノづくりの魅力を、社会ではデジタルツールがどのように使われているかも加味し、子供に分かってもらうことが大切。少しでもリアルに手で木に触れ、モノづくりに取り組む時間を作ることを推奨すると同時に、社会人にもモノづくりに取り組む習慣づけを推奨し、それが社会人基礎力育成につながる。一般家庭において日本の文化でもある木の香り、日本の長い歴史の中で生まれ継承されてきている手工具の素晴らしさを身近に感じてもらう。井波社長は、「中学ぐらいまではできるだけ、リアルなアナログツールで学び、高校からデジタルツールで学ぶのが理想ではないだろうか。」と、幼少期からのデジタル教育に警鐘を鳴らす。

      

◇手から学ぶ 手から心へ​

半世紀余り前から、技術の教材として様々なイスのキットを提供してきている同社は、これまでに10回あまりリニューアルしてきたイス教材の中でも、今回はデジタルツールを使った教育にも対応できる、英知を結集した秀逸の出来栄え。これまでの井波社長の人生において、節目となるタイミングに、力や知恵を授けてくれた恩人との出会いが度々あり、中でも金沢美術工芸大学の村中先生には、大学の授業で同社のイスを授業で採用してもらい、その後、今回のデジタルツールを活用したSTEAM教育の話に賛同を得て、ソフト開発面で優秀な学生の協力を得ることができ、商品化が実現した経緯がある。井波社長がこの商売を辞めようかと悩んだ時期に、弟子入りした教材会社の師匠のもとで、とにかく朝から晩まで自分の手で様々なモノづくりに没頭した経験から、自分の手で作ることを叩きこまれ、「手から学ぶ 手から心へ」が生涯のテーマとなる。手からあらゆるものが生み出されてきていることを改めて痛感させられると共に、世の中にAIが普及し、デジタルツールに囲まれた世界で生きていく時にこそ、人間だからできること、そんな意識を持って生きていくことが、AIと共存していく上で、大切なことなのではないだろうか。

            

                     井波 人哉 社長

<参考>​

STEAM(スティーム)教育とは・・Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学・ものづくり)、 Art(芸術)、 Mathematics(数学)の5つの単語の頭文字を組み合わせた教育概念のこと。

技術の見方、考え方を学ぶイス 3、750円

スリースツール       30、000円~

事業者概要

 ・商 号 株式会社イナミ教材
 ・代表者 代表取締役社長 井波 人哉​ 下谷内 充
 ・本 社 金沢市涌波1-9-5
 ・TEL 076-222-0565
 ・URL https://inamikyozai.com


いしかわ産業化資源活用推進ファンド事例集ViVOサイトへのリンク

じわもんセレクトサイトへのリンク

いしかわ商品カタログサイトへのリンク

店ナビいしかわサイトへのリンク