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ものづくりに対する独自のチャレンジ精神で 瓢箪から駒を出す商いに邁進! ~ 有限会社ミランティジャパン

印刷ページ表示 更新日:2025年3月27日更新
ものづくりに対する独自のチャレンジ精神で
瓢箪から駒を出す商いに邁進! ~ 有限会社ミランティジャパン

<令和3年度 いしかわ中小企業チャレンジ支援ファンド採択事業>​

事業名

石川県産河合鉱石を活用した九谷焼芳香剤の開発・販路開拓​ 

商品名

Qpor (キュポーレ)

◇開発の経緯

九谷焼の後発メーカーとしてスタートした九谷結窯は、従来の九谷焼にない新しいものづくりにトライしている。九谷焼の業界は、県内の河合鉱山の陶石を全く使用していないことから、石川県九谷焼技術センターが中心になって、この素材の白素地に魅力を感じた二山冨士夫社長は、九谷五彩を使っても従来とは違う表現がでるのではないかと閃く。九谷焼技術センターの協力を得ながら、河合陶石を使っていろいろやってみようと取り組み始めたものの、想定していた以上に非常に難しい素材で成形が難しかった。後になって、この陶石の混合比率が鍵を握ることが判明するが、この時点ではそのことが分からず、河合陶石のみで成形を試みていたため、うまくいかなかった。

   

◇商品化への道 ​

河合陶石は、成形している段階での乾きが滅茶苦茶速く、珪藻土の数倍の速度で水をどんどん吸収して成形にならなかった。何度やってみても成形ができず、これはダメかと諦めかけていた。それでも試行錯誤を繰り返し、圧力成形で無理だったが、型の中に流し込む鋳込み方法で何とか成形することができた。型に流し込む際に、想定外の筋が入ることや、皺が入ることがあり、この素地の流動性を意識しながら微調整を繰り返す。圧力をかけて成形する方法では、泥奬が途中で止まってしまうことから、この方法はまだ確立できていない。そうした試行錯誤を繰り返している中で、陶石の吸水力の凄さに着目し、まずはコースターを作成してみる。白素地のままでは商品にならないことから、どんな絵付けをするか、いろんな印刷技術の中からセラミック素材用の印刷方法でやることで絵付けは可能だった。何種類かの今風の絵付けのコースターを1個1、600円~で、市場に出してみたが、なかなか売れなかった。そこで、従来からの九谷五彩を使用した絵付けにしてみたところ、少しずつ売れるようになったという。ここに至るまで2年余りの歳月を要す。吸水性が高いことと多孔質磁器のため、一般的な転写を貼り付けて焼成するやり方では、気泡が入り弾いてしまい印刷ムラができてしまう。この課題解決が非常に難しく、様々な接着剤を試す、濡らしてみる等々の試行錯誤を繰り返し、ようやく安定し始め、不良発生率も低下し、商品化へのメドが立つ。

   

◇吸水性の次に速乾性に着目​

コースターが商品化できたことで、次に着眼したのは、この素地の速乾性である。

珪藻土と同様に吸水性も高いが速乾性も高いという性質。吸水して発散する機能を活用できる商品として何があるだろうかと考えた中から、アロマディフューザーを思いつく。ボトルの中に好きなアロマを入れ、蓋をしておいても自然と香りが出てくる。ボトルの素地にしみ込んだアロマが多孔質の隙間から少しずつ自然と蒸発していく。ボトル全体がスティックタイプのディフューザーと同等の働きをしている格好だ。九谷焼の九、吸水のきゅう、クオリティーのQ、ポーセリング(多孔質)、ポーセラーズ(磁器)からなる合成語でQpor(キュポーレ)の商品名に。鉱山で陶石を購入し、九谷焼技術センターの開放設備を利用し、全て自社で行っている。現時点では使用量が限定的なため自社でこなせるものの、量産化するにはまだまだ課題が多い。

                    

◇自社営業で販路を開拓​

この商品の販路は、雑貨としてセレクトショップ、土産物店、ホテル、旅館が主要な顧客である。九谷焼の食器類では既存の仕入れ先があり、バッティングしていたが、これまでにない用途の商品であるため、営業に行くとほぼスムーズに採用されるとのこと。高速道路のサービスエリアでは、徳光パーキング、尼御前サービスエリア、南条サービスエリア等で販売されている。こうした納入先は、全て自社で営業し、現時点では70社あまりの顧客に納品しているとのこと。Qporアロマディフューザーは、現行のアロマ商品や芳香剤は部屋全体を香らすのに対し、当該商品Qporは人がいるところで、香りを楽しむコンセプトで、大きなコンセプトの違いがある。また、繰り返し洗って使え、香りは変えることができ、ずっと使え、自分の机の上、枕元など自分の周囲だけで香りを楽しめる点。それをより実現しやすくすべく、小型の持ち運べるミニボトルを商品化。ポケットにも入るサイズのため、お土産や粗品のほか、企業のノベルティ需要も期待できる。

   

◇商品のストーリーをいかに周知するか

コースターもアロマディフューザーも見た目はありふれた商品であるが、扱いの難しい河合陶石を原料に、これらの商品ができあがるまでの同社の並大抵ではない開発段階の苦労を、商品開発ストーリーとして消費者に的確にアピールすることができれば、より一層購買意欲を掻き立てるのだが・・・。展示商談会の場で説明しながら実演すれば、大部分の人が関心を持ってくれるが、自社サイトに掲載されているのを見ただけでは、その背景にあるストーリーが全く分からないため、見せ方の工夫が鍵を握る。「これまでにある程度まとまった数は出ているが、認知度アップが最重要課題であると同時に、認知度が高まれば、このQporアロマディフューザーのコンセプト商品が、一般的な商品になっていくと思う。」と二山社長は自信をのぞかせる。

 

◇キャラクター商品で魅力を周知

現在の九谷焼の業界で、数的に売れているのはキャラクター商品である。若い世代に買ってもらうためには、若者が興味を持つキャラクター商品が圧倒的に人気がある。同社では、OEMで漫画雑誌のキャラクターグッズやアーティストグッズも製造している。こうしたグッズの認知度で、吸水性商品や香り商品の認知度を高めたい考えだ。そんな形で、少しずつではあるが広がり始めており、令和4年にコースターを発売し始めてから3年余りの間に5、000個あまり販売してきているが、二山社長は「私の目標としては数万個を目指したい、まだまだ物足りません。」と苦笑する。

◇海外戦略も視野に新たな取り組み

産業機械の分野出身の二山社長は、従来の型に流し込む手法ではなく、ローラーの間に素地を流し、圧をかけて板状に成形するタタラ成形で、板状の素地を、段ボールなどの型抜きに使うトムソンの刃物で型を抜くことができないか、この実験に取り組んでいるところである。このタタラ成型機とトムソンの型抜きを一体化した機械ができれば、量産化に向けての扉が開きそうとのこと。次なる商品として、この素材を冷蔵庫で冷やすと、氷なしで冷たい飲み物を飲めるグラスになり、なおかつ結露しないことを突き止める。この機能性を応用し、冷えた状態を維持できるスイーツプレートや刺身皿も開発している。ギフトショーやタイ・バンコクの展示会でも好評を得て、海外戦略の看板商品として二山社長は大いに期待を寄せている。それにしても、次から次と未知の分野、今世の中にないもの、誰もやっていないこと、そうしたすき間分野に目をつけ、独自の手法で不可能を可能にしてきた同社のチャレンジは、止まるところを知らない。

  

 二山 冨士夫 社長

事業者概要

 ・商 号 九谷結窯・(有)ミランティジャパン
 ・代表者 代表取締役 二山 冨士夫​​谷内 充
 ・本 社 加賀市打越町と73
 ・TEL 0761-75-7151

 ・URL http;//www.yui-koubou.com​


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