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昔懐かし頭脳パンと金沢カレーのコラボで温故知新的発想の「頭脳カレー」を商品化 ~ 三徳屋(株)

印刷ページ表示 更新日:2024年1月22日更新

昔懐かし頭脳パンと金沢カレーのコラボで温故知新的発想の「頭脳カレー」を商品化 ~ 三徳屋株式会社

 

<令和4年度 いしかわ中小企業チャレンジ支援ファンド採択事業>

事業名

 頭脳粉を使用した金沢カレー(レトルト)の開発及び販売

商品名

 頭脳カレー

開発の経緯

県内の米販会社での営業と金沢カレー店での勤務を経て、2011年3月に金沢カレーを製造販売する会社を独立起業した当社代表取締役の大聖寺谷氏。創業日直前に東日本大震災が発生し、ボランティアとして福島県に赴き、想像を絶する津波被害の惨状を目の当たりにし、被災した人たちに役に立つ食品を提供するメーカーになることを心に決める。社名は三方よしの近江商人の考え方にも通じる思いを込め、三徳屋株式会社に。

金沢カレーの玉ねぎや野菜の旨味をじっくり引き出す製法を基本に、商品化の第一弾「金沢カレー」を世に送り出す。同時並行して、被災地で、水や電気が使えずお湯が沸かせない状況下で、冷めた常温のまま食べても美味しいカレーが作れないか、災害用カレーづくりの取り組みをスタートさせる。

金沢カレー 金沢カレー

こだわり その1 お米ではないごはんの開発

ごはんはそもそも壊れやすく溶けやすいため、あえてカレールーの中に溶け込ませ、栄養成分や旨味に変わりはないが、カレールーのみでは満足感に欠ける。そこで、細かく裁断したこんにゃくを入れて作ってみたが、食感がタピオカを食べているようで、弾力だけあって美味しくない。お米の食感と形状に近いものを作らなくてはいけないと考え、石川県工業試験場食品化学部に相談に行くとともに、企業間連携も活用しつつ、ごはんを模したでんぶん加工品を用いることで解決し、なおかつその形状を安定させ、煮込んでも壊れないよう仕上げることに成功する。

こだわり その2 常温でも美味しいカレーの開発

一般的にカレーは冷めると、具材に入っている牛肉や豚肉の脂分が固まって白くなり、風味が劣化して美味しくない。そこで、牛肉や豚肉を使わなくても美味しいカレーを作るべく、カレーづくりで重要な飴色玉ねぎを作る工程を従来よりもさらに長くし、飴色を通り越してドロッとしたエキス状になるまでルーと煮込むことで、小麦粉を使わずして、うまみとコクを深め、野菜も形がなくなるまでじっくり煮込むことで、他にないオリジナルの常温でも美味しいカレーが完成する。流動食のため水がなくてもそのまま食べられるだけでなく、誤嚥の心配があるお年寄りでも安心して食べられる。なおかつ、小麦粉を一切使用していないため、小麦アレルギーの子供も安心して食べることができる甘口も。

金沢カレー 

販路開拓

一般的なレトルトカレーの場合は、地場のスーパーや食品問屋に持ち込めばいいが、災害用のレトルトカレーとなると、どこへ持っていけばいいかも分からず手探り状態だった。ところが、幸運なことに、商品化した直後にNHKが全国放送で同社の災害用カレーを紹介してくれたおかげで、北海道から沖縄まで、一気に情報発信してもらうことができ、東日本大震災を経験した国でもあることから、全国から問い合わせが殺到し、一気に販路が広がる。

同社の他にない取り組みが高く評価され、2019年には石川県のネクストニッチトップ企業育成事業に採択。2020年には「石川県バリアフリー社会推進賞」を受賞。さらに、災害用の「ごはんなしでそのまんまOKカレー」は、利便性はもちろんのこと、その美味しさも高く評価され、2021年災害食大賞にて優秀賞を受賞。

バリアフリー社会推進賞 災害食大賞 ネクストニッチトップ企業育成事業採択

頭脳カレーの商品化

頭脳パンの歴史は古く、受験生には人気のパン。頭脳粉は、地元の金沢製粉が通常の小麦粉にビタミンB1を添加したものを頭脳粉として販売しているもの。とはいえ、ビタミンB1は加熱すると壊れやすい特性があり、カレールーに入れて煮込んだ後に、粉の状態よりビタミンB1の数値が低くなっては意味がない。その難題をクリアするため、ビタミンB1を多く含む野菜をはじめとした食材を一緒に煮込むことで解決する。販売価格は1箱400円(税別)

頭脳カレー 頭脳カレー 

頭脳パンの知名度はなかなかのもの

2023年に幕張メッセで開催されたスーパーマーケットトレードショーに「頭脳カレー」をお披露目出展したところ、ブースを訪れるバイヤーの3人に1人ぐらいの割合で、頭脳パンのことを認知していたという。頭脳パンは、受験生に人気があることから、頭脳パンと金沢カレーのコラボ商品である「頭脳カレー」に目を付けた通販会社が、受験生応援企画商品としてECサイトにて販売している。そのほかにも数多くのECサイトで頭脳カレーをはじめ、災害用カレーが販売されている。

受験生応援企画 頭脳パンとカレーがコラボ

さらなる事業展開

「もったいない」の精神で農作物の廃棄をなくし、農家も同社も顧客もウィンウィンの関係を構築することが企業理念。北陸三県の同社の工場で、日々10トンあまりの様々な野菜がカットされ、業務用パックになって顧客のもとへ届けられている。

創業から13年目の2024年中には、同社のレトルトカレーシリーズの総出荷数が100万食に達する予定とのことで、災害食の分野においていかに重宝されているか、その証左に他ならない。令和6年能登半島地震の際にも、ボランティアや企業、自治体からの要請を受け、災害支援の観点から通常よりも安価に「ごはんなしでそのまんまOKカレー」を提供し、災害支援の一翼を担う。数多ある非常食の中で、子供からお年寄りまで、文字通りバリアフリーで食べられる食事は意外と少ないだけに、同社の果たす役割は大きい。

また、災害が発生し、避難所生活になると、ペットを同伴できなくなり、車中泊せざるを得なくなる。そんな時にペット用の防災食も必要だと痛感し、次なる新商品として目下試作中。さらに、「日本人の国民食でもあるカレーは、海外の人にも人気があることから、当社の小麦粉も肉類も一切使用していないカレーは、宗教上の問題も小麦アレルギーもクリアすることから、将来的には輸出にも取り組みたい。」と事業展開の夢を熱く語る大聖寺谷社長である。

大聖寺谷 代表取締役
 大聖寺谷 代表取締役

会社メモ

 ・商 号 三徳屋株式会社
 ・代表者 代表取締役 大聖寺谷 勇
 ・住 所 金沢市北塚町東136番1
 ・TEL 076-259-0778
 ・URL http://mitsutokuya.com


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