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伝統の技に斬新さをプラスした森本ワールドを展開し、加賀ゆびぬきの新たな可能性に挑む ~ 加賀ゆびぬき 森本道恵

印刷ページ表示 更新日:2024年3月4日更新

伝統の技に斬新さをプラスした森本ワールドを展開し、加賀ゆびぬきの新たな可能性に挑む ~ 加賀ゆびぬき 森本道恵

 

<令和4年度 いしかわ中小企業チャレンジ支援ファンド採択事業>

事業名

 加賀ゆびぬきと輪島塗の端材を合わせた新商品開発と販路開拓

商品名

 加賀ゆびぬき「端ノ簪(かんざし)」

加賀ゆびぬき作家への道

愛知県で生まれ育った森本道恵さんは、家族の転勤で2005年に金沢に引っ越すことに。その直前、たまたまテレビで紹介されていた「加賀ゆびぬき」に一目惚れ。金沢に行ったら見に行こうと心に決め、加賀ゆびぬき作家の大西由紀子さんのショップを訪ねる。加賀ゆびぬきの教室があることが分かり、生徒の一人として通い始める。趣味で始めたものの、様々な色合いの糸から生み出される小さなゆびぬきの奥深い世界に引き込まれ、気が付くと自分の作品を販売できる作家の域にまでめきめきと腕を上げる。

森本さん自身も気づかなかった隠れた才能が目覚め、5年後の2015年には金沢市工芸展に初入選し、名古屋の両口屋是清ギャラリーにて初個展も開催。以降、各地の百貨店での販売やワークショップにて活躍中。

加賀ゆびぬき 森本道恵さん 加賀ゆびぬき 森本道恵さん

加賀ゆびぬきのできるまで

加賀ゆびぬきの土台になるのは厚紙で、それを布でくるみ、その上から真綿で包んで膨らみのある芯ができる。真綿はとても細いものだが、ぐるぐる巻くことで強度が生まれる。その上にさまざまな色の糸を用いて、針を刺して糸を製図通りに並べていくことで、多彩な模様が創り出されていく。

この製図は大西家に代々伝わる伝統の柄があり、その基本となる製図を守りながら、独自のアレンジを加えたのが森本さんの作品。製図から新たに作る場合は3日前後を要するが、製図通りまたは過去に作った柄であれば、約1日の手仕事で完成する。

加賀ゆびぬきの工程 加賀ゆびぬき 加賀ゆびぬき

輪島塗の端材と加賀ゆびぬきのコラボ

加賀ゆびぬきの様々なデザインバリエーション展開だけに留まらず、加賀ゆびぬきのアクセサリーやブローチなどの商品も制作している。そんな中、令和4年1月に大阪阪急百貨店で開催された加賀能登展に出店した際、森本さんのブースの正面に出店していた輪島塗のオーダー箸を製造販売する小山箸店の小山雅樹さんと意気投合し、輪島塗の箸の端材と加賀ゆびぬきのコラボに向けて交流が始まる。

それから輪島まで何度か通う中で、箸を製作する過程で、塗りの色むらが出たもの、同じ一膳の箸でも模様が異なり対にできないもの、箸の部材を切り取って最後に残る端材など、B級品としてはじかれる端材が出ることを知り、その端材と加賀ゆびぬきを合わせて簪に仕上げることを思い立つ。

輪島塗の箸の端材 輪島塗の箸の端材 輪島塗の箸の端材 輪島塗の箸の端材

商品化に向けて

小山さんの工房の一角を借り、自らが思い描く簪の形にグラインダーを使って納得のいくまで仕上げる。輪島塗の箸の端材とはいえ、塗り物と加賀ゆびぬきを違和感なく付けるための大きさのバランス、拭き漆を塗る回数も、1回だけの場合、2回、3回の場合と試作を重ね、加賀ゆびぬきも大きさのバランスや簪の端材が場所によって太さが異なることから、どんなサイズで作って付けるのがベストか、1年あまりの月日をかけて何度も試作を重ねる。

そうした中から、拭き漆を三回かけて仕上げたものに、森本さんの加賀ゆびぬきをワンポイントアクセントとして取り付けた「端ノ簪」が完成する。

加賀ゆびぬきのかんざし 加賀ゆびぬきのかんざし 加賀ゆびぬきのかんざし 

若い女性に好評

簪(かんざし)と言えば、着物を着て髪を結った時に使うか、芸妓さんを思い浮かべるが、いざ百貨店で販売してみると、若い女性たちがかわいいと買い求めて行くという。普段使いで、髪の毛をまとめて止めるために使うようで、他の人とちょっと違うもの、こだわりのあるものを使いたいという購買欲求に見事に適った格好だ。

加賀ゆびぬきの本来の用途は、針を布に通す際に針の頭を押す指を守る道具だが、そうした本来の用途に使う人よりも、アクセサリーとして、指輪、ペンダント、ネックレストップ、ピアスやイヤリングなど、全く異なる用途に使うために購入する需要が7割近いとのこと。中にはケースに入れてコレクションとして飾って楽しむ人もいることから、コレクション用のアクリルケースも用意している。

加賀ゆびぬきのかんざし 加賀ゆびぬきのかんざし 加賀ゆびぬきのかんざし 加賀ゆびぬきのかんざし 

端材とは言え輪島塗の高級素材

海外から輸入されてきた黒檀の原木は、家具用などに好適な部分を切り取られ、あちこちで選別されて端材に近い状態になったものが、輪島塗の箸の材料用に回ってくる。その中から、箸に使う部分を切り取り、あとは破棄するしかなかった更なる端材を、簪に使うことで、木材のSDGsにもつながる。端材とはいえ、黒檀やタイガーウッドなど高価な素材のため、販売価格もそれなりの値段に。

・販売価格帯(税込)
 端ノ簪は、使う木材の材質とサイズによって価格(税込)は異なる。
 能登ヒバ製    7,700円~8,800円
 タイガーウッド製 15,000円~
 黒檀製      22,000円~

加賀ゆびぬきのかんざし

課題と方向性

令和6年能登半島地震の発生で、輪島の小山箸店が被災したため、簪の材料となる箸の端材が受け取れなくなり、材料が入手できない状況に直面しているとのこと。ここへきて売れ筋商品になっていることから、自然災害ゆえの悩ましい状況にある。今は一日も早い復旧・復興を祈る日々。

森本さんは、「自分にしかできないアレンジやデザインにチャレンジすることは厭わないが、あくまでも規則的に糸が重なっていくことで模様ができるのが、加賀ゆびぬきの伝統的な手法で、そうした伝統的な部分を守りながら、自分らしさ、斬新さを表現していきたい。」と熱く語る。

最近では、森本さんの加賀ゆびぬきを身に付けたスナップをSNSでアップするお客さんのおかげで、自らのSNSを使った情報発信と相俟って、相乗効果でファンが増えてきており、金沢伝統の加賀ゆびぬきの更なる広がりに期待したい。

<金沢市周辺の販売箇所>
 南町「加賀てまり毬屋」、ひがし茶屋街「玉匣」、金沢エムザ「御細工所」

加賀ゆびぬき 森本道恵さん   加賀ゆびぬき    
 森本道恵 代表

事業所概要

 ・商 号 加賀ゆびぬき 森本道恵
 ・代 表 森本道恵
 ・住 所 石川県金沢市
 ・TEL 090-1299-9268
 ・リンク https://linktr.ee/morimoto_yubinuki/


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