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時代を超えても変わらない伝統のデザイン的価値を 次世代へつなぐ「KASHIKO」シリーズ ~ nakabi株式会社

印刷ページ表示 更新日:2024年3月28日更新

時代を超えても変わらない伝統のデザイン的価値を 次世代へつなぐ「KASHIKO」シリーズ ~ nakabi株式会社

 

<令和3年度 いしかわ中小企業チャレンジ支援ファンド採択事業>

事業名

 伝統工芸のデザイン的価値を用いた創作文具「KASHKO」の開発・販路開拓

商品名

 創作文房具「KASHIKO」

開発の経緯

1980年の創業以来、チラシやパンフレットの印刷を主力としてきた中央美術印刷は、企業と消費者の間をつなぐビジネスを創出する企業へと飛躍する思いを込め、2012年にnakabi(株)に社名変更。以来、BtoBだけでなくBtoCの新たな事業を展開し、自社ブランド商品の開発を標榜する。

そんなある日、今川弘敏社長がとある画廊で出逢った絵が、その後の新ビジネスの萌芽となる。それは九谷焼作家・柴田有希佳さんの香炉。その作品の絵が気に入り購入すると共に、画廊を介して陶板に椿の絵を描く作品制作を依頼する。

伝統工芸の職人はモノづくりには長けているが、その作品を発信・販売するのはあまり得手ではない。そんな若手作家たちの九谷焼のデザインを文房具でシリーズ展開できれば、自社のホームページ等で販売することで、若手作家の経済的なバックアップにもつながるのではないかと考えるように。

創作文房具カシコ 創作文房具カシコ 創作文房具カシコ

商品化への取り組み

最初に取り組んだのは、桜の花をプリントしたカードとクリップのセット。プレゼントする際にメッセージを書いて、クリップでとめるもの。カードとクリップをセットにして入れるにはどんなケースがいいか、紙を型抜きする取引先と形状を試行錯誤し、試作を繰り返した中から商品パッケージが出来上がる。

ケースの中には作家のプロフィールを記載したカードが添えてあり、作家の作品に興味を持った人は問い合わせができる。柴田さんから河田里美さんを、知人から山近泰さんを、能美市のギャラリーのオーナーから川島優子さんを紹介してもらい、この3人が加わり、それぞれの個性的な絵を各2点使った8つの商品が「KASHKO」シリーズとして出来上がる。

それに続いてマスキングテープ、金箔の栞を商品化。さらに新たな絵を転写した扇子と風呂敷の新商品を間もなくお披露目予定。「石川県には多くの伝統工芸がありますが、絵が上手なのは何と言っても九谷焼で、作家の層も厚いことから、このシリーズについては九谷焼でと思っています。」と力を込める。

柴田有希佳さん 河田里美さん 山近泰さん 川島優子さん
 柴田さん   河田さん   山近さん   川島さん

商品化は易く、売るは難し

印刷会社としていろんな商品を作るのはお手の物だが、できた商品を売るのがなかなか難しいのが現実。「KASHIKO」シリーズは、自社のホームページでのネット販売のほか、実店舗は、金沢フォーラス1階「ミホンイチ カナザワ」、ひがし茶屋街「玉匣」、和菓子村上武家屋敷店、石川県立伝統産業工芸館、能美市のギャラリー「結」にて販売している。

さらに、行動派の今川社長は、若い女性に人気の日本最大級の文具の祭典「文具女子博」に毎年出展し、自社商品の周知・販売はもちろんのこと、時代のニーズの空気感を体感する中から、次なる商品開発へのヒントを探っている。国内の見本市に留まることなく、従来から海外展開を視野に入れていたことから、2023年には世界的なデザイン見本市である「Maison&Objet Paris」に出展し、80件あまりの商談の中から2件が成約し、フランスと台湾に営業代行会社を介して販売がスタートしたところ。

見本市の来場者からは「美しい、繊細、きれい!」と評価は高いものの、文房具として1000円を超えるとなかなか販売が難しいことから、日常使いよりもギフトや観光土産品として新たな市場開拓に余念がない。「2024年のMaison&Objetに再度出展し、成約に向けて頑張ります。」と意欲的な今川社長。自社ブースを構え、自社商品に託す世界観を演出した中で商品を販売する重要性を体現する。

創作文房具カシコ 創作文房具カシコ

自社の空き倉庫をレンタルギャラリー「SOUVIN」に

コロナ禍になって世の中に閉塞感が漂っていた中で、何か新しいことができないかと思いを巡らした中から、自社の空き倉庫をレンタルギャラリーに模様替えすることに。一般的に作家が自分の作品を販売する場合、ギャラリー使用料とは別に売上の2~3割はギャラリーに支払わなければならず、作家の収入が減ってしまう。それでは作家の支援につながらないことから、安価な使用料のみで貸し出したところ、若手作家のチャレンジの場として浸透中。

いろんな作家に使ってもらうことで人間関係が構築され、そうした作家の作品を海外へ持って行くこともできるかもしれないと思い始めている。日本での評価と海外での評価は異なることから、瓢箪から駒が出る可能性も。

ほぼ毎月利用者があり、時には県外からのポップアップショップの利用もある。そんな利用者たちは、インスタグラムで全国にファン客を持っていて、金沢のギャラリーで販売会をする日程をインスタグラムで告知するだけで金沢周辺の顧客が買いに来てくれる。まさに今の時代を象徴する商い手法である。

レンタルギャラリー レンタルギャラリー 

「KASHIKO」に託す熱い思い

今は自社商品シリーズで使用しているブランド名であるが、金沢には伝統工芸に限らず、いろんなモノづくりに取り組む人、素晴らしい商品が数多あることから、自社の海外への販売ルートが確立した暁には、「KASHIKO」ブランドで海外へ持って行って販売することも思い描く。

例えば、今川社長の趣味である釣りに使う加賀竿は、持ち手の手触りや感触がとても心地よいことから、この持ち手部分の竹竿をボディーに使ったボールペンが作れないだろうか。あるいはまた、加賀象嵌の細工を施した風呂敷バッグの持ち手が作れないか等々、知人や作家のネットワークを活用することで、日常使いでき、暮らしにワンポイント潤いや癒しをプラスできそうな、職人技を身近に感じられるアイデア商品を世に送り出したいと奮闘中。

北陸新幹線が敦賀まで延伸し、北陸応援割との相乗効果で、観光客やインバウンド客の増加が見込めるだけに、観光土産品と海外市場をターゲットに「KASHIKO」ブランドの花を咲かせてもらいたい。

 今川弘敏社長    
 今川弘敏 代表取締役

事業所概要

 ・社 名 nakabi株式会社
 ・代 表 代表取締役 今川 弘敏
 ・住 所 金沢市神田1-22-19
 ・TEL 076-242-2265
 ・リンク https://nakabi.jp/


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