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唯一の織元が手織りでつくる能登上布の凛とした魅力を次代へ ~ 株式会社山崎麻織物工房

印刷ページ表示 更新日:2026年2月25日更新

唯一の織元が手織りでつくる 能登上布の凛とした魅力を次代へ

​ ~ 株式会社 山崎麻織物工房​​

<令和5年度 成長戦略ファンド採択事業>​

事業名

能登上布を用いたファッション雑貨の開発・販路開拓

商品名

能登上布の帽子・トートバッグ

キャッチコピー

伝統を繋ぎ、よい未来へ

能登上布とは

 約2000年前、崇神天皇の皇女が中能登地方で機織りを教えたことが起源と言われている「能登上布」。昭和初期の最盛期には織元が120軒以上と栄え、麻織物の生産量が日本一の産地を形成する。しかしながら、生活様式の西洋化の進展で、着物離れが急速に進み、麻織物の需要が急減し始める。その一方で合成繊維が隆盛となり、工賃の高い合成繊維の下請けに転身する織元が増え、気が付くと昭和57年には山崎麻織物工房ただ一軒のみに。先代が同業者の中で最も若かったこと、市場のニーズである広幅に対応できたこと、何よりも「こんなにいいものである能登上布を残さないのは罪」との責任感が、能登上布を存続させる原動力に。能登上布に使われている麻は、日本古来の苧麻が原料のため、光沢感とつや感が別格のもの。苧麻を使って手織りすることによって、蝉の羽と言われるほど薄く、生地の向こう側が透けて見える透け感が手織りならではの織物になり、汗を吸収して発散する能力が高く、発散する時に気化熱となってひんやりとする機能性を有する織物で、緻密で凛とした絣柄が特徴。​

  

◇​​時代のニーズに対応した商品開発

 着物離れが顕著になり、バブル崩壊、リーマンショックを経て、伝統産業を取り巻く環境が激変する。従来の高価な着物だけでは売上が立たないことから、ストールや名刺入れ、財布、アクセサリーといったファッション小物を次々と商品化することで、まずは能登上布を知ってもらうべく、リーズナブルな価格帯の商品展開を本格化させる。新たなモノづくりと同時並行して、ギフトショーなどの見本市や展示会に参加し、能登上布の魅力をバイヤーに発信する活動に力を注ぐ。そうした中で大手有名百貨店のバイヤーの目に止まり、商談が成立し、百貨店での催事やポップアップショップに参加できるように。現在では東京、大阪、名古屋の百貨店や有名セレクトショップに能登上布の商品が並ぶようになり、小物商品とともに百貨店ではインスタグラムの影響もあり、着物も売れるように変化してきており、新たな商品アイテムのバリエーション展開で販路を伸ばしてきている。​

    

◇​売れる商品で活路を見出す​

 能登上布の着物を仕立てると20万円以上することから、簡単に売れる商品ではない。そんな中で、能登上布にしかない風合いの絣柄の端切れを使ったアクセサリーをいろいろと商品化。安いものは何百円のブローチからあるため、お土産としても人気商品に。金沢を代表する観光スポット金沢21世紀美術館のミュージアムショップにも置かれていて、このブローチがよく売れるとのことで、「金沢と言えば21世紀美術館という人気スポットで自社の商品を多くの来場者に見て、触れて、購入していただけることができ、本当に嬉しいです。」と久世専務は顔をほころばす。金沢市内の主要観光地のセレクトショップや土産品店には同社の商品が置かれるまでに。年間を通しての販売数1位は2600円のがま口の財布、第2位はくるみブローチとのこと。お土産や自分用として手頃に買える3000円以内の商品の人気が高い。小物商品の中でもハンカチは、法人のギフトとしてまとまった数の注文が入ることも。​

   

◇「和」から着想を得た能登上布の帽子を商品化​

 着物は着る機会が限られることから、能登上布で日常着のジャケットなどを商品化した「凛装」シリーズ。そのシリーズのファッションアイテムを増やしたいとの思いから、外部デザイナーにデザインを依頼して新たに帽子とトートバッグを商品化する取り組みがスタートする。帽子は、外部デザイナーに必ず何らかの形で和の要素を入れたデザインを依頼。帽子のつば部分に帯結びを表現したデザインが提案される。能登上布の最大の特徴である絣を入れたくるみボタンをサイズ調整のアクセントに。普通であれば、頭のサイズに合わせてSMLのサイズ展開をしたいところだが、在庫を抱えるリスクがあるため、生地が重なる部分を止めるボタンの穴をずらして微調整できるフリーサイズ一択。令和7年7月に百貨店での販売を開始し、これまでに十数個を販売。価格は60、500円(税込)と決して安くはないが、東京・大阪・名古屋の百貨店で売れている。​

         

◇既存の帽子とは異なる機能性

 夏に被る帽子と言えば、麦藁やパナマの高級な帽子が思い浮かぶが、こうした帽子の難点は、汗をかいても洗濯できないこと。その点、能登上布の帽子は麻でも張り感のある素材で、丸洗いできるのが特徴。帽子を縫製する外注先に、裏地も洗える素材にして欲しいと依頼したことが奏功し、お客様から「風通しが良く、汗をかいても洗えるのが嬉しい」と好評。購入するのは50歳代から70歳代と年齢層は高め。ホームページに掲載されている見本は白地だが、その時の能登上布の端切れ次第で、色や柄のバリエーション展開も豊富。夏に使うことが多いせいか、濃い色合いの帽子よりも明るい色合いの帽子が売れる。​

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◇百貨店での販売が業容を変える

 かつては、自販対卸が1対9だったものが、ISICOの支援でギフトショーに出展したことで、大手有名百貨店のバイヤーの目に止まり、百貨店はもとより有名セレクトショップへの自販のウエイトがぐっと高まり、現在は5対5の比率にまで伸びてきている。そうした百貨店やセレクトショップのファン客が増えたことから、能登上布の本物のモノづくりを維持するため、能登上布の商品の世界観をお客様に理解してもらうことにも注力している。能登上布の絣の着物は150万円以上するため、こうした商品は富裕層でないと購入できないものの、やはり能登上布の本物の魅力を少しでも多くの人に、日本の文化の奥深さをできるだけリーズナブルな価格で身に付けてもらえればと、熱い思いを込めた企業努力で、ファッション小物類を展開している。​

◇インスタグラムで情報発信​

 20年ぐらい前までは60代の富裕層の女性が主要顧客として百貨店で着物が売れていたが、次第に百貨店でも着物の売れ行きが伸びなくなる。そんなタイミングでインスタグラムなどのSNSが少しずつ普及し始めたことから、同社は2017年からインスタグラムを活用したことで潮目が変わり、40歳代の若い人たちが能登上布は珍しいから、色柄が今っぽくてファッション感覚で着れると、着物の顧客層が徐々に変化してくる。少しでも裾野を広げて行きながら、一般的なサマージャケットを買う代わりに、和の要素を入れた能登上布の作務衣ジャケットを20万円切る価格で販売し始めたのが「凛装」シリーズ。織子職人の工賃を上げたいと考えると、本当はもう少し価格を上げたいところだが、さすがにジャケットが30万円以上では見るだけの工芸品になり、商品として売れなくなるというジレンマが・・。凛装シリーズは、縫製が外注のため、その分のコストがかかるためぎりぎりの価格設定。​

 

◇織子の求人はしていないが・・

 同社の織子は、社員ではなく出来高制のため、求人をしたことはないという。いろんなメディアでの紹介やインスタグラムで能登上布ならびに同社のことを知り、自分も織物が好きだから機織りの仕事をやらせてほしいと各地からやってくるそうで、この人手不足の時代にあって、毎年一人ぐらいは応募してくる。とはいえ、裁縫とは全く異なる特殊な技術とセンスが求められるため、やってみたものの難しかったというケースも。3年余り経験を積むとようやく織れるようになるが、ベテランの織子とは反物一反織り上げるスピードが全く異なり、ベテランは二週間前後で一反仕上げるのに対し、駆け出しの織子は2ヶ月~3か月を要するため、当然のことながら工賃収入にも差が。​

 

◇復興支援に感謝​

 能登半島地震・奥能登豪雨からの復興支援の百貨店の催事や、オンラインショップで能登を応援しようという方々からの多くの支援があり、在庫がなくなってしまうほど引き合いが。「能登半島地震から2年が経過しましたが、今も百貨店の催事で売り場に立つと、ご支援の温かい言葉をかけて頂き商品を購入していただけるので、本当にありがたいです。」と久世専務は感謝することしきり。能登はやさしや土までもと言われるが、能登上布は、丈夫で長持ち、親子三代で受け継いで着ることができ、最終的に着られなくなると土に還っていく、自然環境に優しい繊維でもある。能登半島地震で工房が準半壊の被害を受け、先祖から受け継いできた伝統の能登上布をいかにこれから受け継いでいくか、なかなか大変な道のりではあるが、「こんないいものをなくしては罪だ」との先代の言葉の重みをひしひしと感じながら、能登に唯一残る能登上布の職人の伝統の技を次代へつなぐべく、邁進し続けてもらいたい。​

 


    

            山崎  隆 社長  久世英津子 専務

 

事業者概要

 ・商 号 株式会社 山崎麻織物工房
 ・代表者 代表取締役 山崎 隆​ 下谷内 充
 ・本 社 羽咋市下曽祢町ヲの部84番地
 ・TEL 0767-26-0240
 ・URL https://notojofu.com/


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