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七尾湾を望む田と空の絶景を眼前に 夫婦が紡ぎ出す愛着育む革製品 ~ 革仕事のお店 tasola

印刷ページ表示 更新日:2025年3月17日更新

七尾湾を望む田と空の絶景を眼前に

夫婦が紡ぎ出す愛着育む革製品 ~ 革仕事のお店 tasola

<令和4年度 いしかわ中小企業チャレンジ支援ファンド採択事業>​

事業名

県内工芸作家との技術連携による県産材を活用した新商品開発と販路開拓

商品名

森にねまるチェア、KAWAN 、tasolanoアウトドア商品

キャッチコピー

  自然のぬくもりを暮らしにプラス

◇高畑さん夫妻のあゆみ​

七尾市川尻の集落を抜けると眼前に能登島ツインブリッジを見渡す七尾湾の絶景が広がる。その田園風景の中に、高畑圭介さん・愛子さん夫婦が営む革仕事の店tasolaがある。旧中島町で生まれ育った愛子さんは、社会人になると独学で身に付けた革小物の制作を始め、革工房aikoを開店。旧田鶴浜町出身の圭介さんは、小松産業技術専門校を卒業し、旧中島町の自動車整備工場で8年あまり勤めていた間に愛子さんと結婚。その後、圭介さんは実家が田鶴浜建具の塗師屋だったことから、専門的な技術を身に付けるべく輪島漆芸技術研修所に入所し、輪島塗の技術を5年間で習得する。卒業後は、実家の田鶴浜建具の仕事をすることを考えていたが、バブル崩壊以降、建具業界が低迷の途を辿り、将来性が見込めなかった。そうしたことから、輪島塗を学んだ職人としての経験と技術が活かせ、同じモノづくりである愛子さんと革小物の店を一緒にやることを決意し、自宅の一部を改装して二人での制作活動がスタートする。​

◇七尾湾を望む絶景の地に店を構える​

従来の革製品の業界になかった独自性の高い二人の商品展開が奏功し、オンラインショップで販売し始めたところ、スマートフォンが世の中に普及してきたタイミングと重なり、スマートフォンケースが大ヒットし、トータル1万個あまり売れ、資金的な余裕が生まれる。想定よりも早くまとまった資金ができたことから、オンラインショップだけでなく、自分たちのコンセプトを反映させたショップ(実店舗)を持ちたいと思うように。たまたま田鶴浜町内を散歩した時に、川尻町の集落を抜けた先に、能登島ツインブリッジが見える広大な七尾湾の絶景が眼前に広がる現在地にめぐり逢い、この場所にショップを建てることに。革製品を買う場合に、ネットで綺麗な写真が載っていても、やはり実際に手に取って質感や手触り、色味を直接感じたいと思う顧客も多く、この実店舗ができてから、ネットで見た商品をお店に来て実際に手に取って確認し、納得してから購入する顧客も全体の2割程度いるとのこと。

◇作家仲間とのコラボ 第一弾は「森にねまるチェア」​

青空マルシェやクラフトマーケットなどの展示販売会に参加する中で、県内の様々なモノづくりに携わる作家との出会いがあり、自ずと気の合う仲間との交流が深まる。そんな中から商品開発も一緒にやろうと意気投合し、新たな商品展開がスタートする。「森にねまるチェア」は、能登に自生するあての木をスツールの足に使用し、通常は木材にできた傷や節を目立たないように研磨するが、敢えて自然のままの状態で材料として使い、あるがままの良さを出している。あての木を使用した足の部分は、能美市の家具工房工人とのコラボ。イノシシの革は、ISICOを介して穴水町の里山商店(株)が、わな猟で捕獲したイノシシの革を仕入れ、姫路の革なめし業者に高畑さんのこだわりを伝えてなめしている。通常は、革を綺麗に化粧して仕上げるが、敢えて特徴的な毛穴などが分かるありのままの状態で表現している点が、このチェアの特徴。今年1月、大阪の阪急百貨店で、森にねまるチェア(3万4千円+税)とハイスツール(3万7千円+税)の2種類を展示販売したところ、持参した商品全てが完売し、好評を得たという。現時点では、展示販売会や催事での特別販売品として少量だけ商品を用意している。

                     

◇第二弾はKAWAN(革椀)​

今はほとんど作られることがなくなった、動物の革を使った革椀の制作をやりたいと考え、ISICOを介して白山市の浅野太鼓から、なかなか入手困難な生革(太鼓に貼る革)を分けてもらい、それを研修所で学んだ技術で成形して椀状にし、研修所時代に知り合った学友である輪島市の優角とコラボし、漆をかけてもらう予定だった。ところが、能登半島地震で朝市通りにあった優角の店も作品も全焼してしまい、道具もなくなってしまったことから、一旦制作が中断している。この作品は、故角偉三郎氏の荒々しさを感じる合鹿椀のようなモノづくりを指向したチャレンジでもある。試作段階では汁椀の大きさにしたが、ぐい吞みサイズぐらいに小さくすることで、リーズナブルな価格帯の商品にする予定とか。

◇第三弾はキャンプ用品のアクセサリーtasolano(田空野)​

自然に関わる商品づくりの流れの中から、近年のキャンプブームに着目し、キャンプ用のバーナーのカバー、薪バサミの柄部分のカバーなど、火の回りで使用するキャンプ用品のグッズ類を、イノシシ革を使って5千円から1万円の価格帯で展開している。火の粉が飛んで焦げ跡が付くと、それがまた味のある模様として付加価値になるような、自然に馴染む商品づくりがモットー。素材であるイノシシの革は、野生のイノシシだけに、いつ捕まるかわからない上に、あまりに少ない量では、革をなめす業者に依頼する際のコストが割高になり採算が合わないため、業者にある程度のロットの革を確保してもらう必要があり、自然が相手のことだけに思うように捗らない面がある。と同時に、他の工房とのコラボ制作であるがゆえ、仕上がるまでに要する期間にもばらつきが出ることから、注文が入ってもすぐに発送できないことからオンラインショップには掲載していない。

◇能登半島地震の復興支援購入も

七尾市のふるさと納税の返礼品のホームページを見ると、tasolaのさまざまな革製品が掲載されている。数多くの商品展開をすることで目に止めてもらう機会が増え、現実にその効果もあって、能登半島地震前に比べると、復興支援購入が増えたことで、この一年余りは受注対応と発送業務に追われている。ネットショップ、イベント、店頭での人気商品の第1位は車のスマートキーケース、2位は二つ折りのコンパクトな札入れ、3位はスマートフォンケースとのこと。原材料のコストや送料が上がっていることから、商品の販売価格を近々見直す予定である。

◇ワークショップも人気のメニュー 

大きなガラス窓越しに、広大な七尾湾の絶景を眺めながら、革製品づくりを体験できるワークショップは、コロナ禍前までは大人気のイベント。定休日以外は、連日フル回転の人気メニューで、和倉温泉に宿泊または観光で来た人たちが、そのついでに立ち寄るケースが多々あった。手先の器用さは十人十色のため、初心者が誰でも作ることのできる簡単な商品をプログラム化したことで、体験者からも好評とのこと。コロナ禍の間はストップしていたが、再開したところへ能登半島地震が発生し、しばらく中断しているが、近々ワークショップを再開する予定である。​

◇tasolaならではのモノづくり

​高畑圭介さんは全く関係のない世界からこの仕事を始め、愛子さんも革の専門学校で学ぶことはなく、独学でやってきている。それぞれに独自のルーツで、スタンダードに学校で学んでからこの業界に入った人たちとは、モノづくりのやり方、作り方、自然の色合いを活かす考え方も異なり、同じ革製品であってもtasolaにしか出せない魅力につながっている。商品を販売した時がサービスの終わりではなく、使い続ける経年変化で味が出てくるのが革製品の特長。使う人の先のことまでを考えてモノづくりに取り組んでいる。圭介さんは、工芸の世界に身を置いた経験から、作り手としては100%の商品を作って販売しているつもりであっても、実はその時点では9割であって、使い手が愛着を込めて使い込むことで、商品に息が吹き込まれ残りの1割が埋まり、初めて真の完成となる「九分仕事」を肝に銘じたモノづくりが真骨頂である。

 高畑圭介さん、愛子さん

事業者概要

 ・商 号 革仕事の店 tasola谷内 充
 ・本 社 七尾市川尻町ヘ8
 ・TEL 0767-68-2401
 ・URL https://www.aikonokawa.jp/​


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