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住民・町会・自治体をつなぐ情報の架け橋 ICTで地域社会に貢献する「結ネット」

印刷ページ表示 更新日:2019年12月16日更新

株式会社 シーピーユー

令和元年度のプレミアム石川ブランドに選ばれた「地域ICTプラットフォームサービス 結ネット」について、その開発経緯や機能について、開発責任者である(株)シーピーユーの薮野繁氏にお話を伺った。

開発のきっかけは回覧板!?

建築CADメーカーとして30年余の社歴を有する(株)シーピーユーは、建築業界のニッチな分野でパソコン用ソフトの開発販売を手がける。約4年前、当時同社取締役で開発部門の責任者であった薮野繁氏は、スマートフォンの普及に伴い、ソフト開発メーカーとして何か新しいことができないだろうかと日々思いを巡らす。スマートフォンを使って何をするか?これまでのソフトを開発し、それを適価で販売するビジネスモデルではなく、誰もが使いたい仕組みを構築するビジネスモデルの創出が鍵だと考える。そんな折り、自身が生活する町会で、相変わらず回覧板を持ち回り、町費を集金して回っている姿が目に止まる。世の中、キャッシュレス化、ペーパーレス化が進んでいる中で、ほぼアナログ手法のままの町会運営、今後10年経ってもこれは変わらないのだろうか?と考えた時に、恐らく町会組織は無くならないから、誰かがスマートフォンで完結できる仕組みを考えるに違いない、それなら自らチャレンジしよう、と決意する。

結ネット1

開発の着眼点は町会組織

門外漢があれこれ考えるよりも、町会を熟知した人に教えてもらうことがベストと考えた薮野氏は、地域活動に積極的な自身の友人を訪ね、地域の町会組織の現状や困りごとなどをヒアリングし、何度も足を運び議論を重ね、現在の「結ネット」の叩き台を作り上げる。「町会と言ってもそれぞれ歴史があり、ニーズが異なるため、各町会に合わせられる仕組みにすることが、開発の成否の鍵を握ることを教えられた。」と述懐する。自分の発想で考えるのではなく、現場の声を聞くことから始めたことが、「結ネット」が日の目を見るに至った成功の要因に他ならない。

cpu2粟市長  藤田会長 宮川社長

                        粟市長  藤田会長 宮川社長

先行投資に向け社内を説得

とはいえ、先行投資して開発する以上、結果としてビジネスにならないと成り立たない。当初は、社内から相手が営利団体でないことを理由に反対の声が上がったという。それに対し、フェイスブックもLINEも無料のアプリで、しかも莫大な利益を上げていることからも、スマートフォンのソフトは、入れてもらう数が増えれば自ずとビジネスが成り立つこと。町会や校下等組織単位で加入してもらえば、一気に何千、何万軒の世帯がこのアプリを入れる可能性があることを力説し、社内を説得する。                   

2年間の実証実験を経て商品化

まず実証実験として、野々市市連合町内会の藤田会長が町会長を務める「あやめ町内会」に導入してもらう。藤田会長は、結ネットの必要性・将来性を誰よりも早く見抜いた理解者である。試験運用してもらいながら「皆さんからこれは便利だ。と言ってもらえるまでこまめに改良を繰り返し、2年あまりかけて基本となるアプリができあがった。」と振り返る。同様のアプリが世の中に既にあるのか伺うと、「企業向けのグループウェア的なものはあるが、町会に代表される地域組織に絞り開発したものは、恐らく結ネットが日本初だと思います。」と力を込める。

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点ではなく面で入れることがポイント

去る9月2日に連携協定を締結した野々市市の場合は、同市の結ネット運営支援チームが、住民に伝えたい情報をピックアップし、昼時にほぼ毎日情報を発信している。市のホームページを毎日見に行く人は少ないが、自分のスマートフォンに届く情報は既読率が高いのが特徴だ。この環境に入れるのは、町会というチェック機能が働いている住民が実名で登録している方のみのため、セキュリティーも万全だ。今回、野々市市と協定を締結したことで、全54町会のうち導入準備中も含め既に約30町会まで一気に加入町会が増え、発信される情報のさらなる充実と付加価値サービスの拡大が期待できる。添付の図のように結ネットが面展開で機能することで、自ずと地域貢献事業が生まれ、それを町会に還元できるだけでなく、行政からの補助を減らす=自治体のコスト削減にもつながる。

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結ネットの面展開イメージ図

広がる可能性、利便性→プレミアム石川ブランド認定

町会というまとまった組織が順次加入していくと、利用者は何千、何万という単位になる。それだけの会員数が獲得できれば、社会課題解決のための様々なビジネスモデルを展開することが可能になる。地域のお店の情報発信を例にすると、新聞広告と異なり、ターゲットとする地域の範囲を、野々市市全域、お店のある地域や町会のみなど事業者毎に選択でき、低コストで発信できる点が強みである。あるいは求人情報も近くの人に限って募集することも可能になり、総じて地域の活性化に貢献出来る。まさにこれが結ネットを「電子回覧板アプリ」ではなく「地域ICTプラットフォームサービス」と称するところ。こうした実用性、利便性が高く評価され、2019年度のプレミアム石川ブランドならびに金沢かがやきブランド大賞に認定される。「こうした公的お墨付きが得られたことで、県内の自治体に営業する際には大きな後押しとなっています。」と感謝することしきり。

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               宮川社長 谷本知事 薮野氏                   山野市長 宮川社長 薮野氏        

閲覧確認機能や災害時安否確認機能で安心度アップ

例えば、町内行事をタップすると、これまでの様々な行事の写真とコメントがアップされている。通常、情報発信してもそれを町会員が見てくれたのかどうかが不明だが、このアプリでは、役員の人が閲覧確認をタップすると、町会員の誰が見て、誰がまだ見ていないかが一目瞭然で分かる。防災情報をタップすると、台風時の避難所の案内や近くの川の増水状況などが逐次発信されている。連絡事項の訃報の場合は、地図と連動して、葬祭会館までの道案内までしてくれる。また、町会から子供会へ、子供会から町会の皆さんへ、といった具合に発信先をその中身によって選別できる点も大きな特徴で、一つのグループだけ、役員だけといった形で、発信先を限定でき、なおかつ回覧板と異なり、全ての情報が残っている点がありがたい。これが何年分も蓄積されていけば町の歴史資料にもなる。

また、いざ災害時にはアプリが一斉に安否確認専用機能に切り替わり、町会の住民同士が要支援者も含め、お互いの安否を確認し合うことで「共助」を支援するのも「日常あっての非常」というコンセプトの結ネットならこそで、「今後この災害時機能を更に強化していきたい。」とのこと。

今後の事業展開  

これからさらに急速に人口減少、高齢化が進む世の中を見据え、ICTやIoT、AIの技術を結ネットが活用することにより、さまざまな社会課題への貢献を目指していく、とのこと。例えば、近年ニュースになる独居老人の孤独死を防ぐため家の中にセンサーを設置し、住人の異常を検知するIoT技術と結ネットが連動し、異常検知時に結ネットを通じて町会の近所の人や民生委員、あるいは役員に連絡、すぐに現地を確認できることから、悲しい事態を回避するツールとしていく構想もその一つ。また、現状は町内の家を個別に回り集金している町費を、スマートフォンの画面上でキャッシュレス決済できる方向に持っていくことも想定している。現在既に小松市や金沢市等の石川県内だけでなく、全国各地からも多数の問い合わせがあり、県外への広がりも視野に入ってきている。

「地縁」をキーワードに、様々な取り組みの可能性が広がっていく、それが「結ネット」の大きな魅力ではないだろうか。

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画面を指して説明する薮野氏        

会社情報

 
社名 株式会社 シーピーユー 
設立 1984年9月
代表者 宮川 昌江
住所 石川県金沢市西泉4-60 
TEL 076-241-0001
URL https://www.cpu-net.co.jp/                                 

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