ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 石川ブランド製品認定制度 > 百万石乃白でスパークリング日本酒を醸し、 伝統の天狗舞に時代の風をプラス!

本文

百万石乃白でスパークリング日本酒を醸し、 伝統の天狗舞に時代の風をプラス!

印刷ページ表示 更新日:2022年12月22日更新

株式会社車多酒造

文政6年(1823年)の創業以来、手づくりの日本酒造りに邁進し、山廃仕込・天狗舞のブランドで全国的に知られるのが、白山市にある車多酒造。石川県農林総合試験センターが11年の歳月をかけて開発した酒米・百万石乃白(石川酒68号)を使って、若い世代をターゲットにしたスパークリング日本酒「天狗舞スパークリング・泡影」を新たに商品化し、令和4年度のプレミアム石川ブランドに認定される。同社営業部の横山直樹部長にお話を伺った。

コロナ禍だからこそ新たな挑戦を

車多酒造の七代目にあたる車多壽郎と杜氏の中三郎の二人が、酒造りの原点に立ち返り、本物の日本酒造りに取り組むべく、昭和40年代に山廃づくりをスタートさせ、それまでの質より量の時代にあって、量より質、そして味を重視した酒造りに舵を切ったのが、現在の車多酒造につながる大きな転換期。以後、山廃吟醸、山廃純米が同蔵の看板商品として全国に販路とファンを広げる。令和2年春先から想定外のコロナ禍となり、首都圏の大口取引先が軒並み休業し、その状況が2年余り続いたことで、売上が3割程度落ち込む厳しい環境が続く。そんな中でも新たな取り組みを模索してきた同社は、令和3年に入社3年未満の若手蔵人5名が、地元産にこだわって商品化した「百万石乃白 初吟 純米大吟醸」をクラウドファンディングMakuakeで販売し話題となる。

1 2

百万石乃白の個性を引き出すスパークリング「泡影」

百万石乃白の酒米としての特徴は、(1)割れにくいため高精白できる(2)すっきりとした味わいのお酒ができる(3)フルーティーで香り高いお酒ができる。この3つの特徴は、スパークリングにぴったり。そこで、若い世代に飲んでもらえる日本酒の商品化を指向。ハイボールやサワーなど炭酸系の酒類の人気が高いことから、日本酒の新しい切り口として、発泡酒の開発が始まる。コロナ禍における新分野開拓に対する国の補助金を活用し、タンク内で二次発酵できる新たな装置を導入。一般的な瓶内での二次発酵ではなく、お酒の醪をあら漉ししたものと、別に搾って純米大吟醸酒にしたものを特別な密閉タンクに再び入れ、そこで再度発酵させたものを瓶詰めし、火入れする手法を選択。炭酸ガスを後から充填するのではなく、発酵段階で自然に発生した炭酸ガスが中に溶け込んでいる点が大きな特徴。1シーズンかけて「泡影」を商品化。初年度は数百本あまりを限定生産。スパークリング系のお酒の場合、コルク栓が主流だが、開栓すると炭酸が抜けてしまうことから、あえてスクリューキャップにすることで、飲みきれない分は栓をして冷蔵庫に保存できるようにした。

5  7 

1本1本異なる変化が日本酒の魅力

炭酸系のお酒は後味が甘く感じるものが多いが、この百万石乃白を用いたことで、後味はあっさりと、ドライなやや辛口の仕上がりになっている。パッケージも若い世代に泡を連想させるデザインのラベルにし、ネーミングも「泡影」に。酒販店向けの試飲会で、どの程度の価格設定が受け入れられるか意見を集約すると同時に、海外市場を考えた時に、安価な価格設定にすると差別化が図れないことなどを勘案し、最終的に700ml入り1本3800円(税別)に落ち着いたとのこと。海外での日本酒人気で、販売価格が高騰しているが、商品価値と設定価格があまりに解離しすぎている事例も散見されることから、あくまでも高付加価値かつストーリー性の高い差別化商品を世に送り出していくことが、日本の酒蔵に課せられた使命ではないだろうか。百万石乃白を使ったスパークリングは初めてのトライであるだけに、これから酒蔵に眠っている古酒とのコラボレーションやスパークリングそのものを熟成させるなど、何十年という長い時空の旅を経てみないと、仕上がりが分からないところが酒造りの難しさであると同時に、蔵人にとって最高の楽しみなのではないだろうか。

自社商品を知ってもらうことも大切

首都圏の飲食店が軒並み休業したことによる落ち込みは大なるものがあった。外食ができなくなったことで、家飲み需要が増えて酒販店は少し伸びたとのこと。令和4年の年末年始は、国からの行動制限がなく、忘新年会や旅行による宿泊施設の需要増に期待をかける。コロナ禍におけるオンラインショップの伸びを伺うと、「期待していたほどの大きな伸びはありませんが、当社の商品を知ってもらう一助になり、各地から注文が入ることで、社員のモチベーション向上に一役買っています。」と笑顔に。コロナ禍で減少していた観光客の回復が見込まれる中、新たに天狗舞の魅力を発信するスペースを設けるために、納屋として使われてきたおよそ築70年の建物をリノベーションし、この10月に直営ショップ「CRAFT SAKE SHOP mau.」オープンした。

8 9 
  CRAFT SAKE SHOP mau.

創業200年を新たなステップに

今回、「泡影」がプレミアム石川ブランドに選定されたことで、「県産の酒米である百万石乃白を原料に製造した、スパークリング日本酒として、営業の際に県のお墨付きをいただいた商品としてプッシュすることができ、大変ありがたく感謝しています。」と顔をほころばす。令和5年、車多酒造は創業から200年の節目を迎える。同社ならではの新たな商品開発や200年を記念するお酒の発売などを視野に、目下検討を重ねているところ。天狗舞の200年もの歩みの物語を、飲む人に感じてもらえる商品が生まれることを楽しみに酒蔵を後にした。

10 横山 直樹 部長

会社情報

 
社名 株式会社車多酒造
本社住所

白山市坊丸町60-1

TEL 076-275-1165
URL https://www.tengumai.co.jp

いしかわ商品カタログサイトへのリンク

DGnetサイトへのリンク