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出店者目線から顧客目線へ、発想の転換から生まれた「モテナシテント」

印刷ページ表示 更新日:2019年12月16日更新

株式会社 スガモトテント

昭和30年創業の(株)スガモトテントは、テント生地を利用して商店の軒だしに付けるヒサシのようなテント製品等の製造や、運動会やイベントでお馴染みの白い多目的テントの製造販売から始まり60年余、今日では工場等で使われるカーテンシャッターなど、多種多様なテント関連商品を扱う地元業界の草分け的存在。従来の多目的テントが、顧客目線に欠けていた点にスポットをあて、このほど開発したモテナシテントが、令和元年度のプレミアム石川ブランドに認定される。開発の裏側を菅本清二社長に伺った。

開発のきっかけは出店者目線→顧客目線

学校の運動会や地域のイベントなど、テントが使われるのは短期間の臨時的なもの。テントは、暑い夏は日差しを、雨の日は雨を除け、中にいる人と商品を日差しと雨から守る役割を担っている。このことは誰もがそんなものと思い、何の疑問も持たなかった。同社はテントの製造だけでなく、イベントの会場設営も手がけ、何十年も前から白い多目的テントを、各地のイベント会場に設営してきている。そんな会場風景をいつものように眺めていた菅本社長はある違和感を覚える。それは、雨の日は、テントの中で物販する人は濡れないが、買い求めるお客さんは傘を差して濡れながら立っている。真夏の炎天下では、テントの中にいる出店者は日陰にいて、お客さんは日よけもなく汗を流している。そんな光景を目の当たりにし、「これは長年そんなものと思っていたが、テントを使う側の目線のみのモノづくりで、利用するお客さんの目線を全く考えていなかったことにハタと気付かされました。」と述懐する。まさにこれが開発のきっかけである。

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目立つことモテナシテントがNo.1

もう一つの観点は、並んでいるテントが概ね白いテントで、幟旗や立て看板、暖簾などで何を売る店かを表示しているものの、たくさんのテントが並ぶとなかなか目立たない上に分かりづらい。まして規模の大きいイベント会場ではなおさらのこと。それなら分かりやすい看板をテントの上部に付ければいいのではないかと閃く。こうしてヒサシと看板の二つの観点から商品化に向けて試行錯誤が始まる。テントづくりは何十年もやってきているだけにお手のもの。看板のデザインバリエーションについてもホームページを見ると、いろんな業種や販売する商品別に、デザイン見本が100種類以上掲載してあり、その中から好きなデザインを選べるようになっている。そうやって誕生したのが、看板があり、ヒサシのあるテント「モテナシテント」である。今夏各地で開催されたイベントにおいて、従来の多目的テントの価格のままで、モテナシテントに差し替えてサービスしたところ、各出店者の売上がアップし、動員数も増えるという好結果が生まれる。目立つという利点を最大限発揮できるのは、スポーツ大会やイベント会場等で、救護所がどこにあるか、遠く離れたところからでも一目瞭然という利用法もあり、好評を得ている。

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最大の敵、風対策も万全

屋外イベントでは、突風でテントが飛ばされるハプニングがあるため、そうしたことが起きないよう風に対する強度が求められることから、実際に屋外に設置し、風速計も準備して風に対する実験を繰り返し、3年余りを要して製品化にこぎつける。もちろん台風のような強風の中でイベントを開催することはないので、そこまでの強度は必要ないものの、近年の爆弾低気圧による突然の天候変化があり、予期できない状況が発生する可能性があるため、瞬間風速10メートル前後までは問題ないとの実験結果を得ている。さらに、上部の看板部分とテントの屋根の間に隙間を設けてあり、そこから風が吹き抜けるようになっていることで、まともに看板が煽られてテントが飛ばされることのないよう工夫されている。

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ありそうでなかった商品

本当に今までなかったのが不思議なくらいに、ありそうでなかった商品、それがモテナシテントである。従来の多目的テントとの価格比較が同社ホームページに掲載されているが、それによると、看板とヒサシが付いたモテナシテントが162,000円(税別)~であるのに対し、多目的テントに看板とヒサシを後付けするとモテナシテントより数万円は高くなってしまう。そうした意味でも同社が発売したモテナシテントの優位性が見て取れる。使う店によって看板のデザインも異なるが、その看板のデザイン料も含まれているというから驚きだ。しかも一度作ればほぼ半永久的に使用できることを考えると、レンタルよりも購入した方がはるかにお得。モテナシテントに関しては、看板面のあるもの、看板面のないもの、この2種類で意匠登録済み。このモテナシテントは、テントの組み立てに慣れている人であれば5分程度で完成するが、それ以外の人のために、ホームページで組み立て手順を分かりやすい動画で紹介している。さらに、第二弾として、現在のパイプをつないで組み立てる方式から、より簡便な折りたたみ式にすべく、既に試作品ができあがっているとのこと。

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展示会でも好調なすべり出し

令和元年11月に愛知のポートメッセ名古屋で開催された「メッセ名古屋2019」と、12月に東京ビッグサイトで開催された「中小企業 新ものづくり・新サービス展」の2つの展示会にコンパクトサイズのモテナシテントを出展したところ、成果は上々であった。現在は展示会に出展してPRしたり、自社ホームページへのアクセス数を伸ばすためのSEO対策等、自分たちのできることから少しずつ取り組んでいるところである。今後は、ネットのバナー広告やスポット的な広告への投資とSNSの活用に取り組む考えだ。

モテナシテントの販路開拓に邁進

sugamoto7今後の販売方針として、一つはイベントで使うテントとして、イベントを企画する会社やイベントの会場設営をしている会社が全国にたくさんあるため、そうした企業向けにパンフレットを発送してPRしていく。もう一つは、近年若い世代で飲食業の起業件数が伸びていることから、例えば、自分の店を持つとなれば何千万円という初期投資が必要になるが、このモテナシテントをショップ代わりに利用し、公園の一角やフリーマーケットに出店する形であれば、初期投資は十数万円で済むことから、そうした希望を持っている人たちに、少ない投資で店を出せる一つの手法としてPRすることを考えている。昔風に言えば、屋台からスタートした商売が一軒家の店になるサクセスストーリーの屋台の役割を担いたいとの思いだ。

 

デザイン性に磨きをかけ、全国を視野に

従来の多目的テントでは必要なかったが、モテナシテントにおいてはデザインが売れ行きの鍵を握ることから、デザイン面のアドバイスを受けるべく、石川県デザインセンターの門を叩き、デザインの深化に取り組み始めたところでもある。発売から1年あまり経過するが、これまでお祭りやイベントなどに使われ、分かりやすい、オシャレ、センスがいい、賑わいが創出される等々好評の声が相次いでいる。オリジナル製品であるモテナシテントは、トラックで輸送し、現地の代理店等に設置してもらうスタイルが可能で、工事も一切必要ないため、全国展開がやりやすい。「全国各地のイベント会場にモテナシテントが並び、お客さんの笑顔と会場の賑わい創出に貢献することができれば、テント屋冥利に尽きます。」と、菅本社長は笑顔で取材を結ぶ。

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モテナシテントの魅力を説明する菅本社長

会社情報

 
社名 株式会社 スガモトテント  
設立 昭和30年
代表者 菅本 清二
住所 石川県加賀市加茂町307番地 
TEL 0761-76-0006
URL https://event.sugamototent.com/rental/              

 


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