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“買い物弱者”に便利な移動スーパー 地域コミュニティ再生にも一役

掲載号 vol.72
記事内容

チャンスをつかみ、未来をひらく
Seize a chance and open a bright future.

「車を運転できない」あるいは「近くにスーパーやコンビニがない」といった理由から、日常の買い物に不便を感じる高齢者が増えている。そんな高齢者を支援するため、シブヤコーポレーションでは地元スーパーと連携し、食品や日用雑貨を移動販売する新ビジネスにチャレンジしている。

 

1台に約400品目。一軒一軒を訪問
澁谷社長 日常の買い物に困っている高齢者のため、シブヤコーポレーションが走らせているのが、同社で開発した移動スーパー「とくし丸」である。とくし丸は軽自動車の荷台に冷蔵ショーケース、可動式の陳列棚を完備したもので、地元スーパーで積み込んだ生鮮品や総菜、菓子、日用品など約400品目がぎっしりと並ぶ。現在は小松市内で2コース、金沢市内で1コースを、日曜日を除いて毎日巡回している。
 とくし丸の最大の特徴は、利用者宅を一軒一軒訪問する販売スタイルである。移動販売では、公民館や公園などに車を止め、利用者に集まってもらう方法が一般的だが、これでは「そこまで歩けなかったり、買った商品を持ち帰ることができないお年寄りも大勢いる」(澁谷武彦社長)からだ。
 そのため、同社では事業をスタートさせる前に、近隣に商店のない地域や高齢者の多い地域の家々を訪ね歩き、移動スーパーに対するニーズについて聞き取り調査を行う。「最初は心を開いてもらえないが、何度も通っているうちに信頼関係ができて、うちにも来てほしい、あそこの家も困っているから行ってみたらといった具合に本音を話してもらえるようになる」。そう話すのは自らエプロン姿で調査に回るという澁谷社長で、1コースにつき1000軒ほどをリサーチした上で、1日に50~60軒を回る巡回ルートを作り上げていった。
 昨年11月の事業開始以降、1コース当たりの利用者は1日100人を超え、売り上げも着実に伸びている。利用者のニーズに応じて、こまめに巡回ルートを見直したり、品ぞろえを工夫したりすることで客単価も上がってきた。

 

継続できるビジネスモデルを考案
 移動販売車の製作を手がけるシブヤコーポレーションが、移動スーパーに取り組んだのは、澁谷社長が知人から「母が年を取って車に乗れなくなった途端、一人で買い物に行けなくなってしまい困っている」と聞かされたことがきっかけだった。

移動スーパーは買い物をたのしむだけでなく、コミュニケーションの場にもなっている移動スーパー「とくし丸」。車両のネーミングは「篤志」に由来する

 その際、真っ先に浮かんだのが移動スーパーのアイデアである。同社ではこれまで32都道府県に移動販売車を納入した実績があり、移動スーパーの製作はお手のものとはいえ、しっかりと利益を出すことができて、継続できる仕組みを構築しなければ、長続きせず、結局は利用者に迷惑をかけてしまう。そこで、澁谷社長が考えだしたのが、次のようなビジネスモデルだった。
 商品の提供、管理は連携する地元スーパーにお願いする。シブヤコーポレーションは移動販売車を製作し、販売パートナーに貸し出す。販売パートナーはその巡回ルートに基づいて実際に利用者宅を訪れ、商品を売る。そして、販売利益を3者で分配する。
 この仕組みでは、スーパーは車両費や人件費を負担せずに売り上げを伸ばすことができる。売れ残った分は引き取らなければならないが、すはまなど高齢者が好む商品がよく売れるようになり、とくし丸に商品を提供するマルエーの店舗では、売り上げが6~7%伸びたという。
 販売パートナーにとっては、初期投資が必要ない上、仕入れの手間が省け、在庫を抱えるリスクもない。当初は60代以上の定年退職者を想定していたが、地域の問題解決を目指して事業展開するソーシャルビジネスへの関心は高く、現在は30代と60代の男性が販売パートナーを務めている。
 シブヤコーポレーションは車のリース料や売り上げの一部から利益を得ることができる。このように3者それぞれにメリットがあるので、事業を継続できるというわけだ。

 

近隣住民との交流の場に
 こうした取り組みは、買い物弱者や地元スーパーの支援だけでなく、地域コミュニティの再生にもつながっている。今では、とくし丸が音楽を鳴らしながら利用者宅に近づくと、近所からも買い物客が集まってくるようになった。人が集まれば、自然と会話が生まれる。家に閉じこもって孤立しがちな一人暮らしのお年寄りと近隣住民との交流の場にもなっているという。
 もちろん、直接顔を合わせる対面販売なので、高齢者の安否確認にもつながる。冬場に雪が降れば、利用者が玄関先まで出てこられるように雪かきするなど、安全・安心な生活環境づくりにも一役買う。
トラックを改造した移動スーパー 同社の取り組みは各地から注目を集めており、現在までに移動スーパーの販売とノウハウの提供先は18道府県に広がる。県内でも今後、金沢市で2台、加賀市で1台、野々市市で1台が新たに始める予定だ。買い物弱者は地方だけでなく、都市部でも深刻化していると言われ、澁谷社長は「ゆくゆくは全国展開したい」と意欲を見せている。

 

協力する地元スーパーから一言
 弊社は、石川県南部でスーパーマーケットを27店舗運営しておりますが、カバーできない地域もあり、ご利用いただけないお客様も多数いらっしゃいます。しかし、シブヤコーポレーション様が取り組む移動スーパー「とくし丸」により、今まで弊社で商品を購入されていなかったお客様へも浸透を図ることができるようになり、平日は「とくし丸」、週末はご家族の車で当社に来店といった具合に、使い分けておられるお客様が増えております。
(株式会社マルエー常務取締役 山本一郎)

 

関連URL http://www.isico.or.jp/isico/i-maga/isico_v72
備考 情報誌「ISICO」vol.72より抜粋
添付ファイル
企業名 株式会社 シブヤコーポレーション
事業内容 移動販売車の製作・販売、自動車販売
創業・設立 設立  昭和60年4月
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