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ISICOが香林坊大和(金沢市)の地下1階食品売り場で運営する「石川のこだわりショップ かがやき屋本店」は、3月4日でオープンから2 周年を迎えました。かがやき屋本店は、県内企業のアンテナショップとして「新商品をPRし、販促につなげる」「消費者のつぶやきや評価を商品の改良に生かしてもらう」「百貨店等のバイヤーとマッチングを図る」といった役割を担っています。今回の巻頭特集ではかがやき屋を活用し、販路の拡大や商品の改良に取り組み、成果を挙げている3社を紹介します。
「ドーナツという誰もが知っているスイーツを通じて、石川県のおいしい食材を知ってほしい」。そんな思いを胸に、「金澤リッチモンドドーナツ」のブランド名でドーナツを製造、販売するのはつなぎやの藪岡嘉子代表だ。その言葉通り、仕込みに白山の伏流水を使うほか、能登のサツマイモや中島菜、珠洲の大浜大豆やラベンダー、羽咋のハトムギ、能登の塩など、県産の食材がふんだんに使われている。
原料に使う農産物は規格外のものを生で仕入れて調理。防腐剤や保存料は使わない。自身が子育ての真っ最中ということもあり、栄養価が高く、子どもに安心して食べさせられるドーナツ作りを目指している。
農産物の多くは、ISICOが紹介した生産者やISICOが主催する受注懇談会を通じて知り合った生産者から仕入れたものだ。
藪岡代表が、能登のサツマイモなどを使ったベジタブルドーナツをPRしようと、かがやき屋本店を活用したのは昨年12月のことである。ドーナツは通常、金沢市内の製造拠点で販売しているが、開店時間は平日の10時から14時までと限定的で、買いたくても買えない消費者も多かった。かがやき屋本店に出店中は、能登から駆けつけてくれる人もいて、藪岡代表は「うれしくて、励みになった」と振り返る。
試食を提供した際の消費者の感想は、商品を改良する上で貴重なヒントとなった。例えば、サイコロ状に刻んだサツマイモをトッピングしたドーナツは、以前よりもまんべんなくサツマイモが口に入るよう、その分量や製法を見直した。
また、納得いく出来にならず、かがやき屋本店では試食の提供にとどめていた中島菜のドーナツは、「完成したらぜひ買いたい」という消費者の声に鼓舞され、開発を加速。それまで使っていたフリーズドライの中島菜ではなく、生のものをミキサーで細かくして生地に練り込む方法に変更したところ、食感や色合いを格段に向上させることに成功した。
今年3月の「かがやき屋本店2周年祭」では、ホワイトチョコをかけたドーナツの上に、リンゴやイチジクなど県産ドライフルーツをのせた「果(か)ざりどーなつ」をお披露目し、評判も上々だった。
現在はISICOの協力を得て、カジマート桜田店、めいてつ・エムザにも販路が広がったほか、今年3月には東京・銀座にある石川県のアンテナショップ「いしかわ百万石物語 江戸本店」でのテスト販売にもチャレンジ。一層の業績向上に期待が膨らむ。
企業名 | つなぎや |
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創業・設立 | 創業 平成27年6月 |
事業内容 | ドーナツの製造販売など |
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備考 | 情報誌「ISICO」vol.93より抜粋 |
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掲載号 | vol.93 |