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石川県が創設した「いしかわ産業化資源活用推進ファンド(活性化ファンド)」の認定企業にスポットを当て、地域の資源を生かした商品開発について紹介する。
能登島で栄養豊富な有機野菜を生産するNOTO高農園では、ここ数年、料理を美しく彩るエディブル・フラワー(食用花)やカラー野菜の栽培に力を入れている。平成21年度から「いしかわ産業化資源活用推進ファンド(活性化ファンド)」の支援を受け、試験栽培やレストランへの試供品の提供、シェフを招いての食事会の開催に取り組み、栽培品種や取引先を拡大している。
エディブル・フラワーは、オレンジ色やピンク色の花びらをつけるキンレンカをはじめ、約10品種を栽培。キャベツやズッキーニといった野菜の花も出荷している。
カラー野菜は、赤ダイコンの「能登むすめ」や紫ジャガイモ、黄カブなど、約100品種を生産する。今年からは石川県が開発したサツマイモの品種で、中身が鮮やかなオレンジ色の「兼六」の栽培にも乗り出した。
「ウエディングを手がける飲食店のほか、フレンチやイタリアン、和食など、多くのレストランから注文が寄せられる」。そう笑顔を見せるのは夫婦で農園を営む高利充さんと博子さんだ。キュウリなど、花と実の両方が売れる野菜は収益性が高く、経営的にもメリットが大きい。
ミネラル豊富な能登の赤土で、有機肥料を使って育てた高農園の野菜は、野菜本来のおいしさを味わえると評判だ。確かな品質に加え、どんな野菜でもそろう利便性も人気の理由で、現在、15haの農地では250種類もの野菜を栽培する。エンダイブ、黒キャベツ、シューフリーゼなど、聞き慣れない品種も多い。
東京や大阪にあるレストランへの直接販売が売り上げの90%以上を占め、取引先の数は100軒を超える。シェフから寄せられるニーズに応えることで、年を追うごとに生産品種が増加。エディブル・フラワーやカラー野菜の栽培も、そうしたシェフの声を積極的に取り入れた結果だ。また、「エディブル・フラワーでブーケが作れないか」との友人の声もヒントになった。
収穫時期を迎えた商品については、リストを毎週送って情報発信に努める。エディブル・フラワーやカラー野菜を使ったことのないシェフにも、出荷時に試供品を同梱するなどして、新たなニーズを掘り起こしている。
脱サラして農業の世界に飛び込み、11年目を迎えた高さん夫妻。食卓を彩るエディブル・フラワーやカラー野菜の栽培を充実させ、独自性に一層磨きをかける。
企業名 | 高農園 |
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創業・設立 | 創業 平成12年4月 |
事業内容 | 有機野菜の栽培、販売 |
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備考 | 情報誌「ISICO」vol.60より抜粋 |
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掲載号 | vol.60 |