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石川県が創設した「いしかわ産業化資源活用推進ファンド(活性化ファンド)」の認定企業にスポットを当て、地域の資源を生かした商品開発について紹介する。
金沢市内で「レストランせりな」を経営する坂栄では、いしかわ産業化資源活用推進ファンド(活性化ファンド)の認定を受けてオリジナルのドレッシングを開発した。商品名は「醤油名匠motoji作どれっしんぐ生」。日本醤油協会から“醤油名匠”に認定された同店のオーナーシェフ・坂口本二社長が考案した醤油ベースの和風ドレッシングだ。
「ドレッシングの味が主張しすぎては意味がない。いかに素材の味を引き立てるかを追求した」。坂口社長がそう話す通り、醤油の香り高く、深いコクがあるにもかかわらず、後味がとてもさっぱりとしているのが特徴だ。そのため、サラダにかけて食べると野菜本来の甘みが一段と際立つ。
そもそもこのドレッシングは、同店の料理に創業時からずっと使われ続けているもの「この味を家庭でも食べたい」との顧客の声を受けて、3年前に商品化に踏み切った。
店舗のほか、おいしくて、安全・安心な野菜を販売する関東から九州まで9府県のスーパー約20店で販売。年々リピーターが増えており、売り上げは毎年倍増を続けている。
同店は素材にこだわり、食材の一次加工からソース類に至るまですべてを一から手作りするなど、料理店としての“当たり前”を大切にしてきたレストランとして根強い人気を誇る。ドレッシングの商品化にあたっても、「景気が悪く、モノが売れない時代だからこそ、心を込めて本物の商品を作ることが大事」(坂口社長)との信念から、原料を徹底的に見直した。
醤油は、昔ながらの醤油造りで知られるヤマト醤油味噌(金沢市)から調達。タマネギやリンゴ、セロリはかつて同店でアルバイトした経験があり、現在は独自の品質評価法に基づき良質の青果を卸売りする山内外茂男氏から、糖度や食味、栄養、安全性の裏付けの取れたものを仕入れている。
ドレッシングは厨房の中ですべて手作り。原料の味と香りを生かすために加熱処理は行わず、増粘剤や保存料なども一切使っていない。坂口社長は「オンリーワンの商品に仕上がった」と自信を見せる。
製造はレストランの手が空く午後2時半から5時の間だけで、一日に作れるのは50本ほど。とんとん拍子に売り上げが伸びるため、「工場を建ててもっとたくさん作ってはどうか」との声もあるが坂口社長に野心はない。「あくまでも洋食店が本業であり、それを忘れてはいけない」と本物の味を求めてただひたすらに専心する。
企業名 | 株式会社 坂栄せりな |
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創業・設立 | 創業 昭和49年2月 |
事業内容 | レストラン経営、オリジナルドレッシングの製造・販売 |
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備考 | 情報誌「ISICO」vol.56より抜粋 |
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掲載号 | vol.56 |