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経済産業省が実施する地域産業資源活用事業に認定された企業の取り組みが、本格化している。
ここでは、県内中小企業の中から認定を受けた企業にスポットを当て、農林水産物や伝統工芸品、観光資源など、地域資源を活用した商品開発、販路開拓について紹介する。
清峰堂が開発した「九谷和グラス」は、石川県の誇る九谷焼と東京都の伝統工芸品である江戸硝子を見事に融合させた商品だ。現在、同社の生産能力の約2倍となる月間2,000個の注文が寄せられる人気ぶり。今年4月にオープンした地域資源を活用した商品のアンテナショップ「Rin」(東京・表参道)でも、売れ筋となっている。
このように磁器とガラスを接合した商品は、全国でもほとんど見当たらない。というのも、異なる素材をつぎ合わせるのは至難の業であり、何とかくっついたとしても、2~3カ月もすれば取れてしまうというのが、従来の業界の常識だったのだ。
同社でも平成7年以降、ボンドメーカーと協力して2種類の接着剤を混合するなど、何度も接合を試みたが、満足な成果を挙げられなかったという。その後、同社がこの難題をクリアしたのは平成15年のことである。同社にもたらされた新たな接合技術情報をヒントに、学生時代、無機材料を専門に研究した清水則徳専務が、試行錯誤を重ねて技術を確立させた。詳細は企業秘密だが、これまでとはまったく違うアプローチで異なる素材同士の接合を可能としている。
ところで、商品は完成したものの、当初の売り上げは芳しくなかった。「乾杯に使った時、脚が外れたら困る」。ふだん使いに十分な強度を確保していたとはいえ、百貨店などのバイヤーには、すぐに取れてしまう従来品のイメージが根強く残っていたのだ。
このイメージを払拭したのが、平成18年度のグッドデザイン賞(新領域デザイン部門)受賞だった。商品にお墨付きが得られたことで、九谷和グラスの売り上げは上昇軌道をたどり始めた。今年3月には、地域産業資源活用事業に認定され、清水専務は「一層、信用度が向上した」とほおをゆるませる。
九谷和グラスの価格は安いものでは3,000円、人間国宝が手がけた商品ならば18万円と、幅広い価格帯がそろえられている。顧客のオーダーに応じて、脚部と上部の組み合わせを変え、多様なバリエーションを提供できる点も大きな魅力となっている。
また、「九谷焼を知らなかった人に買ってもらえるようになった」と清水専務が話すように、九谷和グラスは、販路拡大や伝統的な九谷焼購入の呼び水となっている。
特にグッドデザイン賞の受賞以降、九谷和グラスを足がかりに、同社の販路は従来九谷焼を扱うことのなかった都市圏の雑貨店やガラス店、大手通販会社などへと広がっていった。また、旅館やホテル、居酒屋、すし店など、業務用の販路も大きく拡大した。
この接合技術を活用して、現在はフルーツやデザートを入れる器など、新たな商品開発にも取り組んでいる。ガラスとの融合から始まった、九谷焼の新たな歴史に注目が集まる。
企業名 | 清峰堂 株式会社 |
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創業・設立 | 設立 昭和50年8月 |
事業内容 | 九谷焼の製造、販売 |
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備考 | 情報誌「ISICO」vol.41より転載 |
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掲載号 | vol.41 |