ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 情報誌ISICO > 目指すは白山市発世界ブランド 「白山菊酒」を旨い日本酒の代名詞に

本文

目指すは白山市発世界ブランド 「白山菊酒」を旨い日本酒の代名詞に

印刷ページ表示 更新日:2012年1月16日更新

巻頭特集
熾烈な産地間競争で優位に立つ“地域ブランド”の確立で商機拡大へ

自然や歴史、産業、文化など、地域の特性を生かした新商品のブランド化によって、他産地との差別化を推進する取り組みが全国で活発化している。“地域ブランド”と呼ばれるこの取り組みは、競争相手に対する優位性や長期的な顧客を確保するなどのメリットがあることから、中小企業にとっても重要な戦略となりえる。今回の特集では、伝統の技を大切にしながら、“地域ブランド”の活用によって新たな展開を目指す二つの事例を紹介する。

白山市の誕生を契機に ライバル5社が結束

「白山菊酒」をブランド名に冠した日本酒。 写真 白山市の酒造メーカー5社による日本酒の統一ブランド「白山菊酒」が、新たな地域ブランドとして注目されている。
 参加しているのは金谷酒造店、菊姫、小堀酒造店、車多酒造、吉田酒造店の5社。いずれも白山市内で酒造りを営むとはいえ、それぞれが独自のブランドを持ち、何十年にもわたって切磋琢磨してきた間柄である。そんなライバルとも言える5社が一転して大同団結に踏み切った背景には、日本酒に対する共通の危機意識があった。
 平成16年1月に日本酒の製法品質表示基準が改正されると、それまで70%以下とされていた純米酒の精米歩合に関する要件が廃止された。日本酒業界では、これを境に純米酒の品質低下、低価格化が進んだという。ただでさえ、日本酒の国内消費は年々減少している。品質が悪くなれば、これに一層の拍車がかかることは想像に難くない。
 一方、和食ブームにともなって日本酒の消費が増加傾向にある海外市場では、本来の日本酒の味とまったく違う中国産、韓国産の酒が「日本酒」として幅を利かせている。
 地元の酒造組合の会合で顔を合わせるたび、こうした現状について議論を交わし、「いくら自分たちがいい酒を造ったとしても、このままでは国内外で日本酒のイメージは悪くなるばかり」と危機感を募らせた。そこで考えたのが、高品質の証となる新たな統一ブランドの構築だったのだ。
 そして何より、平成17年2月に1市2町5村の合併によって白山市が誕生し、それまで松任市と鶴来町にあった5社が一つの行政区内に入ったことも大きなきっかけとなった。

原材料や製法の基準を策定 第3者が厳格に審査

各酒造メーカーの代表者らが参加して定期的に企画委員会を開催 ブランド構築の第一歩として5社は、ブランドネームを白山菊酒と決定し、平成17年8月に白山菊酒呼称統制機構を設立。同機構では、米や水、製法などの基準を下記のように定めた。
 これらの基準を満たし、審査委員会で認証を受けた日本酒だけが、白山菊酒を名乗ることができるのだ。
 品質基準の策定にあたって、念頭に置いたのは地域色と他の産地が真似できないような高いハードルだった。
 手取川水系の伏流水を原料とするという項目は、品質維持はもちろん、地域の独自性を打ち出すには欠かせない要件である。一方、どの産地でもクリアが難しいのが(4)である。この条件に合うような米は価格が高く、入手が難しい。このため「かけ米」と呼ばれるアルコールの元になる糖を製造するための米には等級の低いものが使用されることが一般的だからだ。
 こうした基準を満たしているかどうかを厳格に評価するため、同機構には第三者的な立場の人によって構成する審査委員会が設けられた。審査委員長を日本醸友会の秋本雄一会長、副委員長を石川県立大学生物資源工学研究所の熊谷英彦教授が務め、このほか金沢国税局鑑定官や石川県工業試験場の職員ら11人が利き酒と書類審査に当たる。審査委員会では、年に数回、審査を行うことにしており、初年度は12銘柄を白山菊酒として認定した。
 認定された商品には、新雪を頂く白山と清流手取川をイメージした認証マークが添付され、昨年10月から販売をスタートした。

「白山菊酒」品質基準
(1) 「加賀菊酒」の伝統を受け継ぎ、「こく豊かで品格ある風味」をコンセプトとし、各蔵元の個性が活きた清酒であること。
(2) 白山市内で醸造し瓶詰めしたものであること。
(3) 原料水は、白山・手取川水系の自家井戸から採取したものであること。
(4) 原料米は、国産の格付け一等以上の酒造好適米のみを用いたものであること。
(5) 麹歩合は、20%以上であること。
(6) 酒母は、「生」「山廃」または「速醸」であること。
(7) 精米歩合は、70%以下であること。
(8) 「増醸」「液化仕込み」による清酒でないこと。

初のイベント開催でブランドの浸透に本腰

 昨年12月には、白山菊酒が国税庁から「地理的(原産地)表示」の保護対象として認定され、国から地域ブランドとしてのお墨付きを得た。日本酒では国内第一号となる。
 発売以降、首都圏の百貨店や問屋などからの問い合わせが増加しており、上々のすべり出しを見せたが、「ブランドの浸透はまだまだこれからが本番」と同機構の金谷芳久理事長は考えている。目標とするのは世界的にも有名なワイン「ボルドー」だ。
 「ボルドーはフランス・ボルドー地方で造られ、一定以上の基準を満たしたワインの総称で、産地名そのものが、おいしいワインのブランドとして世界中で認識されている。いずれ白山が日本一の日本酒の代名詞になれば」と金谷理事長は世界ブランド化に期待を寄せ、今後はWTOの地理的表示への登録を推進する考えだ。
世界に通用するブランドを目指す金谷理事長 写真 これまで、シンガポールの利き酒会に出展したほか、食品・飲料品の国際見本市「FOODEX JAPAN」や首都圏の物産展にも出展。これから新ブランドの認知度アップに本腰を入れる。
 その第一段となるのが、今年11月8日(水)にグランドホテル松任で開催する「白山菊酒と白山の食を楽しむ会」である。これは、白山菊酒と白山市内の食材、加工食品を使用した料理を味わってもらうという趣向で、5社の杜氏が一堂に会すトークセッションも予定されており、約300人の集客を見込んでいる。
 金谷理事長は「フランスやイタリアには、何十万人もの観光客が押し寄せるワインまつりがある。白山菊酒のブランドにふさわしいおいしい日本酒を造るのはもちろん、地元の食や観光地などとも連携したイベントで、地域全体の経済を活性化したい」と大きな夢を描いている。

企業情報

企業名 白山菊酒呼称統制機構
創業・設立
事業内容 -

関連情報

関連URL 関連URLを開く
備考 情報誌「ISICO」vol.30より抜粋
添付ファイル
掲載号 vol.30


月間アクセスランキングへのリンク

月間アクセスランキング
DGnet 企業情報/バーチャル工業団地/情報誌ISICO


ViVOサイトへのリンク

活性化ファンド・チャレンジ支援ファンド商品開発ストーリー集サイトへのリンク

じわもんセレクトサイトへのリンク

DGnetサイトへのリンク