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生産現場の改善に向け、現状や問題点の見える化にITを活用

印刷ページ表示 更新日:2012年1月16日更新

仕事を変える! IT活用術 

経済産業省が今年2月に発表した「中小企業IT 経営力大賞2009」で、応募のあった276件の中から、タガミ・イーエクスが最高賞にあたる経済産業大臣賞に選ばれた。この賞は、ITを活用して生産性の向上や競争力の強化に取り組む中小企業に贈られるものである。生産革新活動にITを効果的に取り入れ、成果を挙げた同社の取り組みを紹介しよう。

徹夜仕事も実らず 納期遅れもしばしば

田上社長 タガミ・イーエクスの主力となっているのは、曲げ加工に用いられるプレスブレーキや切断加工に必要なシャーリングマシンをはじめとする板金機械である。開発から設計、加工、組み立てに至るまで、一貫して生産する技術力が強みだ。
 とりわけコマツグループからの受注が多くを占め、コマツブランドの板金機械の生産を委託されたり、コマツ産機の開発部門と密接な連携体制を構築したりするなど信頼も厚い。
 しかし、こうした上昇気流に乗る一方で、顧客が求める製品をニーズに合わせた仕様で必要な数だけ納める「変種変量生産」にうまく対応できないなどの課題を抱えていた。
 「納期が近づくにつれて残業が増え、時には徹夜しても間に合わず、納期を遅らせてもらったこともありました」。そう振り返るのは田上好裕社長である。現場から「出荷できない」との連絡を受け、夜中に工場へと駆けつけたことも一度や二度ではなかった。
 「何とか遅滞なく計画通りに生産できるようにしたい」。そう考えた田上社長が板金機械部門における生産革新活動に乗り出したのは、平成17年の春だった。

セル生産を導入 現場の問題をデータ化

 生産革新活動の推進にあたって、田上社長は次の3つの目標を掲げた。

--- 3つの目標 ---

  1.  組み立てのリードタイムを1/4に
  2.  総合生産性(1台当たりの生産時間)を30%改善
  3.  工場内の組み立て占有面積を半減

 これらの目標をクリアするために、田上社長が旗印として掲げたのがセル生産方式の導入だった。セルステーションと呼ばれる工具や部品を一カ所に集めたスペースで少人数が全工程を担うセル生産方式は、従来のライン生産方式に比べ、生産品目の変更や生産量の調整に対応しやすいのが特徴だ。
プレスブレーキを組み立てるセルステーション そして、これと同時に取り組んだのがITを駆使した生産状況の「見える化」である。それまで同社では、生産計画を立てるのは月に一度だけだった。しかし、必要な部品が届かない、あるいは部品の品質に問題がある、社員が病気で休むなど、現場の状況は日々変化する。田上社長は「これでは、計画通りに進まなくて当たり前」と、生産がストップした原因や不具合の件数、部品の在庫数や調達状況など、さまざまなデータをパソコンに入力。生産計画も毎日更新、公開するようにした。

生産中断の原因をデータを参考に解決

 生産状況をデータベース化すると、情報の共有が可能となり、同時に解決すべき問題点が顕在化した。
 例えば、セルステーションで生産がストップするのは、多くの場合、協力企業から供給してもらう部品の納期遅れや品質に原因があると判明した。そこで、どの協力企業が遅れがちなのか、そしてどの部品に、どんな問題があるのかを集計した上で、協力企業一社一社と品質連絡会を開き、データを参考にしながら一体となって改善を図った。
工場内に設けられた一室にはパソコンが並び、各種データを収集、分析 協力企業と話し合う中から、発注時の問題点も見えてきた。これを解決するために構築したのが、長納期部品の自動発注システムである。板金機械の部品の中には、輸入品や鍛造品、鋳物など、発注から納品までに3~4カ月かかるものがある。同社では従来、担当者の経験や勘を頼りに発注していたが、欠品してしまうケースも多く見受けられた。そこで、あらかじめ在庫が規定数を下回った場合、自動的に発注するようシステム化して解決したのだ。
 こうした取り組みが実を結び、生産革新活動に着手して1年半後には、セル生産が定着し、当初掲げた3つの目標を見事に達成した。

協力企業の93%とWEB-EDIで連携

 昨年8月には、さらに協力会社との連携をスムーズにしようと「WEB-EDI」の導入に踏み切った。WEB-EDIとは、インターネットを利用して受発注業務を行う仕組みである。現在までに、協力企業の93%にあたる209社が利用。これまで紙でやりとりしていた発注情報や生産計画をデータ化し、タガミ・イーエクスと協力会社が情報共有することで、業務の効率化に役立てている。
「中小企業IT経営力大賞2009」の記念式典でトロフィーを手にする田上好道代表取締役会長 中小企業のIT化と言えば、とかく、システムを導入しただけで終わってしまい、成果に結びつかない事例も多々あるが、同社では、あくまでも生産革新活動の手段としてIT を活用し、得られたデータから問題点を見いだし、その一つ一つを解決して、改善につなげてきた。
 「コンピュータができる業務はシステム化すればいい。そうすれば人はもっとクリエイティブな仕事に集中できる」。田上社長はIT導入の効果をこのように話し、現在は、板金機械部門で展開した生産改革活動をさらに他部門へと展開させようと取り組みを続けている。

企業情報

企業名 株式会社 タガミ・イーエクス
創業・設立 設立 昭和44年7月
事業内容 産業・建設・環境機械及び周辺装置、プレスブレーキ金型の製造、販売

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備考 情報誌「ISICO」vol.48より抜粋
添付ファイル
掲載号 vol.48


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