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経済産業省が実施する地域産業資源活用事業に認定された企業にスポットを当て、農林水産物や伝統工芸品などを活用した、商品開発や販路開拓を紹介する。
オリジナルTシャツの製作やジーンズのリメイクを専門とするMAGICは、布地に金箔をプリント加工する技術を確立し、金箔を施した衣服をはじめ、のれんやテーブルマット、コースターといった布製雑貨の製作、販売を本格化させる。
箔プリントの技術は以前からあったが、本物の金箔のプリント加工を可能としたのはMAGICが初めて。シルクスクリーン印刷の技術を応用し、特殊な接着剤を使って圧着されており、既存のプリント加工と遜色のない耐久性、柔軟性を実現している。もちろん、繰り返し洗濯しても基本的にはがれ落ちるようなことはない。同社はこの技術を「純金印箔(いんぱく)プリント」の名称で商標登録済みで、現在、特許申請中である。
最大の魅力は何と言っても純金本来の深みのある上質な輝きだ。価格は金箔の使用量によって変わるが、Tシャツの場合、通常のオーダーメード品と大差ないという。
純金印箔プリントの開発スタートは約5年前にさかのぼる。「金箔の99%は金沢で生産されている。せっかく金沢で店を開いているのだから、本物の金箔を使ってTシャツにプリントできないか」。そう考えた木戸口智一代表は、早速、金箔を買い込んで試作を繰り返した。薄さ1万分の1ミリの金箔を思い通りに加工することは難しく、数百回に及ぶ試作を重ねた上、技術が完成したのは昨年2月のことだった。
以降、「いしかわ産業化資源活用推進ファンド(活性化ファンド)」や「地域産業資源活用事業」に採択され、県やISICOと連携しながら生産体制を整備。金箔の圧着や仕上げ段階での金箔の除去作業は知的障害者通所授産施設に委託するほか、縫製技術を持つ女性職人とのネットワークも構築した。
また、認知度向上にも力を注ぎ、昨年12月には東京ミッドタウンのセレクトショップでコースターを1カ月限定で出品して約60枚を販売。今年2月に東京ビッグサイトで開かれたギフトショーでも大手ジーンズメーカーや芸能プロダクションが興味を示すなど、手応えを感じている。
とはいえ、木戸口代表は石川県からの発信にこだわり、手始めに県内の百貨店での展示商談会などを足がかりに受注を増やす方針で、ゆくゆくはインターネットのオーダーシステムを構築するなどして、攻勢をかけていく考えだ。
企業名 | MAGIC |
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創業・設立 | 創業 平成9年6月 |
事業内容 | Tシャツ制作・プリント加工、ジーンズリメイク・リペアなど |
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備考 | 情報誌「ISICO」vol.48より抜粋 |
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掲載号 | vol.48 |