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木目の表情と色使いが美しい器 山中漆器の技術を生かして開発

印刷用ページを表示する更新日:2018年4月4日更新

チャンスをつかみ、未来をひらく
Seize a chance and open a bright future.​

畑漆器店が製造する器のブランド「col.(カラー)」の売れ行きが好調だ。木目の表情をそのまま生かした器やさまざまなカラーリングの器で構成されており、木地は山中漆器の伝統である「ろくろ挽(び)き」の技術によって生み出されている。漆器になじみの薄い若い世代からも人気を集めるほか、海外の有名ブランドと共同で商品開発するなど、同社の成長を牽引する看板ブランドとして成長している。

売り上げの半分を占める柱に

3色の器を重ねた「BORDER(ボーダー)」シリーズの写真

 「col. 」はプレートやボウル、トレー、キャニスター(ふた付きの容器)などの商品を展開する木製器のブランドである。平成24年度に木目の美しさが印象的な白木の器と鮮やかな赤色のふたをセットにした「SOJI(ソジ)」シリーズを発売したのを皮切りに、異なる3色の器をボーダー柄のように重ねた「BORDER(ボーダー)」シリーズ、丸みを帯びたキノコのような形が愛らしい「TRICO(トリコ)」シリーズなど、毎年のようにラインアップを拡充させている。一見すると色や形はモダンな雰囲気だが、デザインのヒントとなっているのは積み木やだるま落とし、こま、けん玉など、日本に古くから伝わる木製玩具だ。優れたデザイン性が評価され、平成28年にはグッドデザイン賞を受賞した。
 「展示会で初めてSOJIを出品したときは、憧れのライフスタイルショップからも声を掛けていただくなど、今までにないくらいお客様が興味を示してくれてびっくりしました」と畑学社長が話すように評判がよく、販路は日本各地のインテリアショップや高級雑貨店に広がっている。売れ行きも順調で、今では同社の売り上げの半分を「col.」が占めるまでに成長している。同時に、「col.」が呼び水となって、OEMや伝統的な漆器の注文も増えている。

効率のいい「横木取り」でコストダウン

畑学社長の写真 「漆を塗らない方がいい」。商品開発のきっかけとなったのは、ある展示会でのバイヤーの一言だった。工程を説明するために陳列していた木地のサンプルが美しかったので、漆を塗る前の白木の状態でそのまま商品化した方がよいのではとの思いを込めた言葉である。
 木地の美しさは、高度な「ろくろ挽き」の技術を誇る山中漆器の特徴だ。とはいえ、木の内部にある導管を漆や塗料でふさがなければ器としては使えない。山中ではプラスチック製の器づくりも盛んで、この際用いられるウレタン塗料の中には無色透明なものもあるが問題が一つあった。それは臭いである。プラスチック製の器の場合、塗装後に高温で乾燥させることで臭いの元となる成分が揮発する。しかし、木製品では変形したり、割れたりしてしまうため、熱をかけられないのだ。
 この問題を何とか解決したいとの一心から畑社長が探し当てたのが、ほぼ無臭で透明なウレタン塗料だった。この塗料によって塗装を施した後でも白木のような状態を維持することが可能になった。
 さらに、塗装工程は内製化することにした。従来の漆器であれば塗り師に外注するのだが、ロットが少ない上、特別な塗料を試してくれる職人がいなかったのだ。畑漆器店の創業者、畑社長の祖父はそもそも塗り師だったことから、社内には塗装設備が眠っており、これを活用することにした。ちなみに塗装工程は現在も内製している。そうすることで、カラフルに塗り分けたり、艶の少ないマットな質感にしたりと、他社の追随を許さない独自の仕上がりを実現している。
 また、開発にあたっては、これまで山中漆器を購入したことのない人でも手にとってもらえるような商品を目指した。そのためには手頃な価格も条件の一つである。そこで採用したのが「横木取り」と呼ばれる方法である。これは木材の切り出し方で、山中では伝統的に輪切りにした木材を使う「縦木取り」を採用し、これには強度があり収縮しにくい長所がある。しかし、1本の木から取れる材料の数が少なく、コストも高くなるため、全国的には横木取りが主流だ。「col.」では横木取りを採用し、その結果、同じようなサイズの椀の場合、大幅に価格を下げることに成功した。

海外有名ブランドとコラボレーション

 ところで、発売以降、好評を博している「col.」は海外からも注目を集めている。これまでにアメリカやオーストラリアなどの小売店から注文が寄せられ、取り扱いがスタートしたほか、海外のデザイン関係の雑誌、ウェブサイトで取り上げられることもしばしばだ。
 また、イタリアやフィンランドの有名ブランドとダブルネームで限定商品を開発し、日本国内にある百貨店で販売した実績もある。
 海外市場向けの販路開拓や商品ラインアップの拡充に力を入れようと活性化ファンドの助成金も活用した。例えば、2年連続でインテリア・デザイン市場のための国際見本市「インテリア ライフスタイル」に出展。今年度も出展を予定する。また、ホームページの問い合わせフォームは英文を表記するようリニューアル。以降、月に2、3件は海外から問い合わせが舞い込んでいる。
 商品では、海外のライフスタイルに合わせ、スープやサラダ、パスタを入れる器として使える「hachi(ハチ)」、ワイングラスなどを載せて運ぶような「TRAY( トレー)」を新たに開発した。大きなテーブルに料理を詰めて並べたいという中国人客のニーズに合わせ、大ぶりなものを作るなどサイズ展開も充実させた。特に海外市場を意識したわけではないが、女性有名人がSOJIシリーズの一つに弁当を詰めてインスタグラムで紹介したところ、人気が急上昇したため、弁当箱としてより使いやすいサイズを加えたケースもある。
 「“col.”には、まだまだ発展性がある。例えば子ども用の食器やカフェなどで使う業務用の食器など、これからも商品ラインアップを充実させたい。外国人にも喜ばれているので、国内はもちろん、海外でもアピールしていきたいし、これをきっかけに山中漆器を手に取ってほしい」と畑社長。「col.」がどのように広がっていくのか。今後の展開が楽しみだ。

鮮やかな赤色が印象的な「SOJI」シリーズと、ふたとしても使える茶托と茶碗をセットにした「KOMA」シリーズの写真 「col.」ブランドの波及効果で売り上げが伸びている「卯之松堂」ブランドの写真

企業情報

企業名 (有)畑漆器店
創業・設立 創業 昭和5年
事業内容 山中漆器の製造・販売

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備考 情報誌「ISICO」vol.99より抜粋
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掲載号 vol.99