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医療機器部品の売り上げ急伸 高い切削技術生かし新分野へ

印刷用ページを表示する更新日:2018年7月19日更新

チャンスをつかみ、未来をひらく
Seize a chance and open a bright future.​

エキストラクターと透析治療用アダプターの写真カテーテルの挿入時に使われるトロッカーの写真

建設機械用油圧部品や塗装機械部品などを主力とする原田鉄工所では、これまでに培ってきた高い技術力を生かし、医療機器部品の製造にチャレンジしている。新分野への進出にあたってはISICOの支援のもと、ものづくり補助金を活用して工作機械や検査機器を導入したほか、医商工連携促進セミナーへの参加をきっかけに医療機器製造業登録も済ませた。医療機器部品の売り上げは着実に伸びており、新たな経営の柱として期待がかかっている​。​​

研磨せず旋削だけで鏡面仕上げ

 「価格競争では負けてしまうので、他社がやりたがらない仕事に挑戦しているうち、難度の高い加工ができるようになりました」。原田栄治社長がそう話すように、原田鉄工所にはニッチな分野で存在感を発揮している全国のメーカーから、難しい注文が寄せられる。
 例えば、スマートフォンの塗装に使われる小さなスプレーガンのノズル部品では、直径の10倍以上も深さのある細長い穴の奥に滑らかな円すい形状を作ることを求められた。多くの金属加工企業がさじを投げた仕事だったが、同社では試行錯誤の末、特殊な工具や治具を自作して可能にした。
 また、自動車用の塗装機器に組み込まれるスリーブと言われる短い筒状の部品の製造においては、旋削加工だけで鏡面のように仕上げる超精密加工技術を確立した。鏡面仕上げには通常、研磨加工が用いられるが、一見滑らかに見えても拡大すると微細な傷ができており、ここに顔料が入り込むと不具合の原因になってしまう。原田鉄工所では工具の工夫や加工条件の見直しに加え、工作機械メーカーに協力を仰ぎ、ものづくり補助金を利用してNC旋盤そのものを改良し、研磨を不要とした。

透析治療用のアダプターを量産

 こうした高度な旋削加工技術を誇る原田鉄工所が医療機器部品の製造を本格化させたのは4年前にさかのぼる。きっかけは石川県工業試験場から透析治療用アダプターの試作を依頼されたことだった。同社が作った試作品は金沢市内の医療機器メーカーから高く評価され、その後は量産化し、定期受注につながっている。
 このアダプターを製造する上で難所となったのはネジ溝を切った際に出るバリ(突起)である。アダプターの素材は鉄に比べて柔らかく粘りがあるため加工時にバリが出やすいチタンだった。しかも、「二条ネジ」と呼ばれる二つのネジ溝が切られた形状のため、一般的なネジの2倍の箇所にバリが出てしまう。
 そのため、同社ではまずバリを最小限に抑える工具を選定した上で、後工程で除去しやすい形にバリが出るよう加工条件を見直し、最後はゴム砥石やスクレーパーと呼ばれるへら状の器具を使って手作業でバリを取り除いている。
 実は同社では30~40年前から医療機器部品を製造してきた実績があったが、手がけていたのは実験道具やオーダーメードの手術道具といった単発品だけで、量産品はこのアダプターが始めてだった。

新たな加工機、検査機器を活用

 アダプターが糸口となって、発注元の医療機器メーカーからはその後、カテーテルを体内に埋め込む際に使われるトロッカーと呼ばれる穿孔器、さらには医療者がトロッカーを扱いやすいように取り付けるチタン製グリップ(持ち手)を受注した。
非接触式3D形状測定機の写真 このうちグリップの製造にあたっては平成26年にものづくり補助金を使って非接触式3D形状測定器を整備した。このグリップはトロッカーを差し込み、ワンタッチで固定できる仕組みとなっているが、この際、トロッカーが動いたり、抜け落ちたりするようなことがあってはならない。一方で医療者が施術中に片手で簡単に扱えるようにするには、軽く力を加えるだけで固定される必要がある。そこで、挿入したトロッカーの固定部にできる圧痕をこの測定機で調べることで、求められる条件を満たす把握力を確認した。
 原田社長は「医師のニーズをお聞きして、自社で設計開発しました。施術時間が短縮され、医療者と患者様双方の負担を減らすことができます」と胸を張る。
NC旋盤の写真 平成28年には、骨の固定用に使う六角ボルトの頭がつぶれた際、ボルトを取り出すために使用するエキストラクター(抜去器)を製造した。エキストラクターはネジのような構造で、ネジ山をボルトの内部に食い込ませて回転させる。ものづくり補助金を使って導入したNC旋盤によって、ネジ山の間隔を少しずつ変えると同時に、ネジ山に溝をつけて角を作ることで食い込みやすくし、従来品よりも性能をアップさせた。

ネットでの情報発信にも注力

原田栄治社長と長男の和佳さんの写真 発注元である医療機器メーカーの厚意で、医療機器を販売する際に必ず添付される取扱説明書には製造所として原田鉄工所の社名が明記されている。同社では、これがPR効果を発揮して今後依頼が増えると期待し、自社に関する情報発信を強化しようとISICOの専門家派遣制度を利用しながらホームページを制作した。また、安心して発注してもらえるようにと、平成29年には医療機器製造業登録も行った。
 医療機器分野の売り上げはこの4年で、同社の売り上げの15%を占めるまでに伸び、原田社長は建設機械用油圧部品、塗装機械部品と並ぶ3本目の経営の柱として受注拡大に力を注ぐ考えだ。

企業情報

企業名 株式会社 原田鉄工所
創業・設立 設立 昭和60年4月
事業内容 小物精密部品、油圧機器部品、産業機械部品、医療機器部品等の製造

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備考 情報誌「ISICO」vol.100より抜粋
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掲載号 vol.100