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ISICOでは、県内中小企業等が開発した新商品の販路開拓を後押しするため、2006年度から毎年、日本最大のパーソナルギフトと生活雑貨の国際見本市「東京インターナショナル・ギフト・ショー」(以下ギフト・ショー)に出展している。2019年9月に開かれたギフト・ショーではISICOが設けたブース内に21社が出展し、独自の技術や工夫を凝らした商品をバイヤーらにアピールした。今回の巻頭特集では、ISICOの支援を受けて出展するメリットやギフト・ショーで得られた成果について3社の声を紹介する。
木材の販売、加工を手がける東森木材がギフト・ショーで売り込んだのは、県木である能登ヒバ(アテ)を用いた木製アート「のとひばこ」である。これは、レーザー加工機で精緻に彫刻、切断した薄い木製シートを何枚も重ね合わせ、フレームに収めたインテリア雑貨で、鼓門や兼六園、尾山神社といった金沢の名所を立体的に再現。木の温もりや香りを楽しみながら、旅の思い出に浸ることができる土産品として販売している。
ギフト・ショーの期間中には、バイヤーなどから「作り込みが非常に緻密」「新規性がある」といった評価が寄せられ、その後、関東や関西のネットショップ、美術館や空港にあるショップ、ホテルなど約15社と商談が進んでいる。
このうち神戸市内にある百貨店パレスサフランでは、昨年11月に開かれた催事でのとひばこを販売した。東森木材では、地元の消費者に喜んでもらおうと神戸の観光名所である「風見鶏の館」をモチーフにした新商品も持ち込み、街道登社長は「思っていたよりもたくさん売れた」と笑顔で話す。
ギフト・ショーでは、これまで接点のなかった香林坊大和のバイヤーとも商談が進み、今年3月の催事での販売が決定している。
東森木材がのとひばこを開発したのは、住宅着工数が減り、木材需要が減少する中、何か新たな事業をと考えたことがきっかけだった。木材に付加価値を付けるため、2016年にレーザー加工機を導入。試行錯誤の末に2018年10月に完成させたのが、のとひばこだった。
とはいえ、従来の業務とはまったく違う販路の開拓は難航した。飛び込み訪問や取引銀行の紹介などで、少しずつ扱ってくれる店舗が増えたものの、もっとPRして認知度を上げなければとギフト・ショーのISICOブースへの出展を決めた。
「出展前には、効果的な展示方法やバイヤーへの声かけのこつなどについて、丁寧な指導を受けることができて、大変参考になった。商品に合わせた展示台もあつらえてくれて助かった」と話す街道社長。アドバイスを参考に、一番上には遠くから見ても目立つよう4倍のサイズの商品を展示、下段には手に取ってみてもらえるよう、あえて雑然とした雰囲気に商品を配置したほか、商品の特長である立体感を強調するため、背景に光が差し込むようにした。
「広告もせず、知る人ぞ知る商品だったのが、ギフト・ショーを通じて全国の人の目に留めてもらうことができた」。街道社長はそう喜び、今後は葛飾北斎の作品、日本各地の城をモチーフしたものなど、ラインアップを拡充するほか、ギフト・ショーでの出会いを足がかりに販路開拓に力を入れる考えだ。
企業名 | 東森木材 株式会社 |
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創業・設立 | 設立 1988年9月 |
事業内容 | 木材の販売、加工 |
関連URL | 情報誌ISICO vol.109 |
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備考 | 情報誌「ISICO」vol.109より抜粋 |
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掲載号 | vol.109 |