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不動産業界向けのVR内見システム AI活用し、大きく進化 ~全景(株)

印刷用ページを表示する更新日:2022年1月31日更新

サキドリ

VR(仮想現実)技術を活用した不動産物件の内見システムを開発する全景は昨年4月、従来のシステムを進化させた「デジタルツイン不動産」をリリースした。業務の効率化や顧客満足の向上に向け、不動産業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)を後押しする。​

室内のVRを手軽に作成160万を超える物件が利用

デジタルツイン不動産の物件案内画面 製品名に使われている「デジタルツイン」とは、画像などのデータを用いて、現実の空間にあるものを双子(ツイン)のようにデジタル空間上に再現する技術を指す。
 全景ではこの技術を不動産業界向けに特化して開発してきた。基本的な仕組みは次の通りだ。まず不動産会社が紹介したい空き物件の外観や室内を上下方向にもデジタルツイン不動産の管理画面水平方向にも360度写すことのできるカメラで撮影する。次に画像データを全景が提供するソフトを使って、あるいは全景にデータを送ってVRに変換する。これをホームページに掲載すれば、パソコンやスマートフォンで物件の中に入ったように自由に見学することが可能になる。
 わざわざ足を運ばなくても、いつでもどこからでも物件の詳細を確認できるため、入居を検討する人から好評を得ているほか、あらかじめVRで下見して絞り込む客が増えるため商談がスピードアップするなど、不動産会社にとってもメリットが大きい。
 2001年に第1弾をリリースして以降、大手不動産ポータルサイトに採用されるなど販路を広げ、多い時には160万を超える物件で利用されてきた。

閲覧時の様子をAIが分析 営業に代わって情報提供

 昨年4月にリリースした最新バージョンでは、20年にわたって蓄積した各種データと独自に開発したAI(人工知能)を活用し、さらに機能を充実させた。
 例えば、新システムでは閲覧者が物件内のどの部分をどのように見ているかをAIが分析し、キッチンを熱心に見ている客がいれば、データベース内にある設備の詳細データを自動的に画面上に展開するなど、実際に現地を案内する営業スタッフが取るような行動をウェブ上で再現する。
 また、内見時の行動のほか、メールやチャットで交わした言葉から、AIが閲覧者の物件に対する関心の度合いや成約の確度をはじき出してくれる機能も搭載した。このデータを活用すれば、営業スタッフはより成約が期待できる客に優先的にアプローチすることが可能だ。
 数字や文字に表れない物件の大まかな質をAIがVR情報から読み取り、物件データに加える点も特徴の一つだ。全景ではこの仕組みを「デジタル クオリア」と名付けた。これによって機械的でなく、人に尋ねるような物件探しが可能になる。
 アパート探しを例に挙げよう。賃料が6万円以内、間取りが2DK、築年数が10年以内といった条件で検索すると、通常はこれらの条件から少しでも外れた物件は検索結果から除外されてしまう。その結果、選択肢が極端に少なくなってしまうケースもある。
 一方、人が接客した場合は「築20年ですが、リフォーム済みで3DKの物件がほぼ同じ額で借りられますがいかがですか」などとニーズを見極め、柔軟に提案し、結果として客の満足度を高めることがある。デジタルツイン不動産ではこれと同じように、たとえ条件を満たしていなくても質的情報を考慮し、検索結果に反映する。

将来的には頭部に装着するディスプレイ装置を付け、部屋の中を歩き回るように内覧できる機能を実装予定 現在のパノアラマVRを基に、3Dの部屋のデータを自動で作成できる機能も提供予定

約10社が既に採用 大手ポータルも導入準備

 「不動産営業の仕事は集客し、物件を案内して比較検討してもらい、契約するという3つのプロセスがあります。今や物件探しの95%はウェブ検索から始まっています。契約や顧客管理も紙ではなく、パソコンで管理されています。そんな中で、物件案内だけはずっとアナログ対応のままでしたが、デジタルツイン不動産を利用してもらえば、オールデジタル化が可能になります」。こう胸を張るのは全景の荒井芳仁社長である。
 業務の効率化が進めば、不動産会社は限りある経営資源を新たなチャレンジに振り向けることが可能になる。物件を探している人にとっても一層利便性が増す。
 今回の開発はISICOの「いしかわ中小企業チャレンジ支援ファンド」に採択され、補助金をウェブサイトの構築や展示会への出展といった販路開拓、運用に向けた実証実験に活用した。
荒井芳仁社長の写真。不動産業界向けのVRシステム開発に力を注ぐ。 既に約10社の不動産会社が採用したほか、大きな売り上げを見込める大手不動産ポータルサイトでも導入に向け、準備が進んでいる。
 荒井社長は今後、「まとまった資金を調達して開発チームを増強し、さらに開発を進めたい」と意欲を燃やす。見据えているのは、物件の中を自由に歩くように内見できるウオークスルー機能や離れた場所にいる複数の人がVR内でリアルタイムにコミュニケーションできる機能の実装だ。
 デジタルツイン技術は製造業や医療、都市インフラなど、さまざまな産業分野で活用されており、今後ますます市場規模が拡大すると予想されている。荒井社長は不動産以外の分野への技術の応用も視野に入れ、市場での存在感をさらに高めていく考えだ。

企業情報

企業名 全景 株式会社
創業・設立 設立 1995年4月
事業内容 xR技術および関連するAIの研究開発とそれらを応用したサービス基盤の開発

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関連情報

関連URL 情報誌ISICO vol.120
備考 情報誌「ISICO」vol.120より抜粋
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掲載号 vol.120

 


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