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ISICOは9月7日から3日間、東京ビッグサイトで開かれた「東京インターナショナル・ギフト・ショー秋2022」に出展した。これは、ISICOが県内中小企業の新商品を首都圏に売り込むために取り組んでいる事業で、今回は28社が出展し、独自の技術や工夫を凝らした商品をバイヤーらにアピールした。巻頭特集では、出展企業3社の取り組みのほか、展示会の集客に向けたノウハウを紹介する。
ギフト・ショーは日本最大のパーソナルギフトと生活雑貨の国際見本市で、毎年春と秋に開催されている。今回は国内外から約2,000社が出展し、会期中は百貨店や専門店、卸売業者などのバイヤーら約19万人が来場し、会場のあちこちで活発な商談が交わされた。
ISICOでは2006年度から毎年、新商品を首都圏でPRしたい県内中小企業を募って、ギフト・ショーに出展。一つのブースの中に、複数の企業紹介コーナーを設ける合同出展形式で販路開拓を後押ししている。
今回のISICOブースでは9社が初出展だった。そのうちの一つがリクラである。同社は「捨てずに、素敵にRe:craft(リクラフト)」をコンセプトに掲げて2018年に創業。捨てられるものをアイデアやデザインの力で価値のある素敵なものに生まれ変わらせる事業を手掛けている。
同社がギフト・ショーでPRしたのが、今年1月に発売した「Rotch(ロッチ)」である。Rotchはマッチのように箱の側面に擦るだけで火がつくアロマキャンドルだ。ポップなデザインのパッケージはマッチ箱と同様のサイズで、マッチと同じく、ろうそくの頭に塗った薬品が摩擦熱で燃えることで火がつく。
冠婚葬祭で最後まで使い切れずに残ってしまったろうそくを再利用しており、使いやすいように約30分で燃え尽きるサイズとなっている。
Rotchは今年1月に金沢21世紀美術館のミュージアムショップで発売し、現在は自社のネットショップでも販売する。売れ行きは好調だが、もっと多くの人に知ってもらい、販路を広げようとギフト・ショーへの出展を決めた。
カラフルでかわいらしいパッケージが目を引き、会期中はたくさんの来場者が同社の展示の前で足を止めた。会場内は火気厳禁とあって、実際に火をつけることはできなかったが、着火する様子を動画で紹介した。
「皆さん驚いてくれて、特に女性から人気を集めた。卸値を確認する人が多く、パッケージや香りを変えたOEMについてもたくさんの問い合わせが寄せられた。今後、条件をすり合わせるなど商談を進めていきたい」。西河誠人社長はそう話し、今後の販路拡大に期待を寄せる。
ギフト・ショーで紹介されている商品をプロダクトデザイナーらが審査するLIFE×DESIGNアワードで、Rotchがベストコンセプト賞に選ばれたことも自信につながった。
Rotchは現在、ラベンダー、カモミール、オレンジと3種類の香りをラインアップし、インスタグラムで募集した意見をもとに、今秋にはキンモクセイの香りを追加するほか、無香料のものも商品化する予定だ。
西河社長はギフト・ショーを足がかりに、新たな販売ルートの確立に手応えを感じており、「これからも捨てられるもの、捨てられずに眠っているものを活用して、ほかの誰かが必要とするものを作っていきたい」と新商品開発にも一層力を入れる考えだ。
企業名 | 株式会社 リクラ |
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創業・設立 | 設立 2018年10月 |
事業内容 | アップサイクル商品の企画、開発、販売 |
関連URL | 情報誌ISICO vol.125 |
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備考 | 情報誌「ISICO」vol.125より抜粋 |
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掲載号 | vol.125 |