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CASE02 半導体製造装置向けの溶接構造部品を受注 対応力強化へ、3次元レーザー切断機を導入 ~(株)旭ウエルテック

印刷ページ表示 更新日:2022年11月28日更新

チャンスをつかみミライをひらく

溶接、機械加工を手掛ける旭ウエルテックは、ISICOの受注開拓支援を受け、従来の石川・富山にとどまらず、全国各地の企業から注文を獲得している。半導体製造装置向けの部品など、新たなニーズに応えるため、中小企業庁の「事業再構築補助金」を活用して設備も増強。2022年7月期は過去最高の売上高を達成した。​

手のひらサイズから、長尺部品まで幅広く加工

3次元レーザー切断機の写真。レーザーで切断する様子の写真。熱による変形が少なく、薄板を高い精度で切断できるのが特徴。

 旭ウエルテックは材料の調達から切断、溶接、機械加工までを自社で一貫生産できるのが強みだ。主に工作機械や食品製造用などの産業機械に使われる精密溶接構造部品を製造している。鉄はもちろん、アルミやステンレスの加工にも対応する。
 ここ数年は、中小企業庁の「ものづくり補助金」を活用して、五面加工機や横型マシニングセンタを導入。手のひらに乗るくらいの小さな部品から、長さ4メートルの長尺部品まで、幅広いサイズの加工に対応できる体制を整えた。
 なお、ものづくり補助金の申請にあたっては、ISICOが事業計画の策定などを支援した。
 これほど幅広いサイズの溶接構造部品を一貫生産できる企業は全国的にも貴重な存在だが、コロナ禍には苦しめられた。ひどい月には前期比の5割近くまで売り上げが低下。こうした状況を何とか打開しようと考えた山田裕樹社長は、これまで営業エリアとしていた石川・富山だけでなく、全国から受注を呼び込もうと、営業活動を展開した。

県外での取引先開拓をISICOがサポート

 営業活動において助けとなったのがISICOの受注開拓支援である。ISICOでは、県内中小企業の安定的な受注確保と将来有望な分野への進出を後押しするため、県外発注企業に対する取引あっせん活動に取り組んでいる。企業訪問数は例年、延べ600社を超え、その中から、県内中小企業が保有する技術や設備とマッチしそうな発注企業を紹介するのだ。
製品の写真。半導体製造装置や搬送装置向けの製品を新たに獲得した 「新規の取引先を開拓する際には、企業の中で当社の技術を必要としている担当者にたどり着くことが重要だが、企業の規模が大きくなるほど、それが難しくなる。その点、ISICOのスタッフは発注企業をよく分かっていて、最適の担当者と商談の機会を作ってくれて本当に助かった。担当者に直接、自社の強みなどをアピールできるので、商談が成約する確率も高かった」と山田社長は振り返る。
 営業活動が実り、同社ではここ2年で、半導体製造装置や搬送装置のメーカーなどから受注を獲得。既存の取引先からの受注も徐々に回復しており、2022年7月期にはコロナ前の業績を上回る過去最高の売上高を記録した。

新分野の受注拡大目指し事業再構築補助金を活用

 とはいえ、県外発注企業からの受注が増えてくると別の問題が持ち上がった。
工場内に設置されたタッチパネル式モニターを操作する人の写真。 半導体製造装置や搬送装置には金属パイプのほか、L字型やコの字型の鋼材が数多く用いられる。こうした鋼材は、同社が持っている既存の設備でも切断や穴開け加工、ねじ切り加工が可能だが、板材の加工と違い生産性が悪かった。時間がかかるため、他品目の製造に影響が出ることもあった。県内に専用の加工設備を持っている企業はわずかで、特に短納期が求められる半導体製造装置向けの部品は、外注するのも難しかった。
 問題を解決するため、同社は今年6月、事業再構築補助金を活用して3次元レーザー切断機を導入した。補助金の申請にあたっては、ISICOが事業計画の策定をサポートした。
 この3次元レーザー切断機は、長尺の金属パイプやL字鋼などを加工するための専用機で、切断はもちろん、穴開け加工やねじ切り加工も一台でこなす優れものだ。従来、同社で使っていた切断機に比べると精度が高いため、溶接時の微調整なども不要になり、工数削減が期待できる。
 「レーザー切断機は薄くて軽量の素材を切るのに適している。しかも、板材だけでなく、立体的な素材をいろんな形に切ることができる。こうした特長をフルに使いこなして、より多くの注文に対応していきたい」と山田社長は話す。

優秀な人材を獲得するためテレワーク可能な体制づくり

 事業再構築補助金を申請する際、同社では、テレワークによってCAD/CAMを使った加工プログラムを製作するための体制づくりも事業計画に盛り込んだ。現在、事務所の一角で行っている業務を自宅でできるようにし、働く場所や時間の制限を取り払うことで、子育て中の技術者や県外の優秀な人材を獲得するのが狙いだ。
山田 裕樹社長の写真 実現に向け、今後必要となるのが、社内システムのクラウド化だ。このシステムは山田社長自身が開発し、受注管理や進捗管理をはじめ、ノウハウ情報の共有に役立て、生産性や技術力の向上につなげている。今は社内のタッチパネル式モニターやタブレット端末からしかアクセスできないが、クラウド化し、加工プログラムの製作時に、社外からも過去の生産情報などを参照できるようにする。
 石川・富山以外からの受注は順調に増え、全体の3~4割を占めるまでになってきた。工場が手狭になってきたため、3年後をめどに、近隣で拡張される工業団地に社屋と工場を新築移転する計画だ。「溶接、機械加工を中心にもっとお客様の役に立てる仕事をしたい」。山田社長はそう話し、新たな強みを生かし、全国の需要をさらに開拓する考えだ。

企業情報

企業名 株式会社 旭ウエルテック
創業・設立 創業 1987年7月
事業内容 社内一貫生産による溶接構造部品の製作

企業情報詳細の表示

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関連URL 情報誌ISICO vol.125
備考 情報誌「ISICO」vol.125より抜粋
添付ファイル
掲載号 vol.125


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