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県とISICOは今年度、新事業・新産業の創出に向け、全国最大となる700億円の基金「成長戦略ファンド」を創設しました。このファンドは県内企業の支援を目的としており、運用益を活用し、DX(※1)やGX(※2)を推進する研究開発、地域資源を活用した新商品開発などを後押しします。今号では、成長戦略ファンドの概要のほか、前身である「いしかわ次世代産業創造ファンド」「いしかわ中小企業チャレンジ支援ファンド」を活用した支援事例を紹介します。
(※1) デジタルトランスフォーメーションの略。企業がデジタル技術を活用し、製品やサービス、ビジネスモデル、業務などを変革すること。
(※2) グリーントランスフォーメーションの略。産業・社会を化石エネルギー中心からクリーンエネルギー中心へと転換していくための活動。
成長戦略ファンドは、従来あった次世代ファンド(基金規模:300億円)とチャレンジファンド(同400億円)を統合して誕生しました。基金は県や中小企業基盤整備機構、地元の金融機関が出資し、その運用益で意欲ある県内企業の取り組みに最大3,000万円を補助します。
成長戦略ファンドでは、「DX推進」「GX推進」「国プロジェクト採択への準備支援」「スタートアップ創出支援」「地域資源活用支援」「社会課題解決支援」という6つの支援枠を用意しました。
社会環境を取り巻く重要なテーマであるデジタル化や脱炭素化の推進に向け、新たな事業展開を試みる企業を支援するなど、現在、県が策定作業を進めている新たな産業振興指針の方向性に歩調を合わせた内容となっています。
成長戦略ファンドでは、従来のファンドを見直し、より企業が使いやすいよう制度を改善しました。例えば、海外へ販路を拡大する場合、従来は現地のパートナー企業が決まっていることが応募要件となっていましたが、成長戦略ファンドでは、決まっていなくても応募が可能です。研究開発関係の事業では、納期に時間がかかる機械装置を、発注から納品まで年度をまたいで購入できるようにするなど、運用面で見直しを行っています。
また、産学官金が連携し、県経済を牽引する新事業の創出や成長戦略ファンドによる支援のあり方を検討するため、「いしかわ新事業創出支援コンソーシアム」を設置。PDCA(計画・実行・評価・改善)のサイクルで、支援案件の進ちょくや成果を確認しながら、必要に応じて支援メニューを見直します。
研究開発の新たなシーズやスタートアップ案件の発掘、事業化までのフォローアップについては、コンソーシアムのメンバーである県とISICO、工業試験場、大学・高専、金融機関が連携して取り組むほか、支援強化に向け、民間コンサルタント会社のネットワークやノウハウも活用します。
従来のファンドと同じく、採択企業の取り組みを最大3年間にわたって支援するのも特徴の一つで、じっくりと腰を落ち着けて開発等に取り組むことができます。
成長戦略ファンドは8月1日から公募を開始しており、既に金沢、能登、加賀で公募説明会と個別相談会を開催しました。9月25日に公募を締め切り、11月中旬に採択企業を決定します。
なお、従来の次世代ファンドは「炭素繊維」「航空機」「ライフサイエンス」「エネルギー・脱炭素化」の4分野の研究開発を集中支援してきました。2010年の創設以降、354件を採択し、約22億円を補助。事業化された案件は44件に上り、累計約80億円を売り上げました。
また、2008年に創設したチャレンジファンド(旧いしかわ産業化資源活用推進ファンド)は、地域資源を生かした商品やサービスの開発など1,200件以上を採択し、商品化率が約9割に上るなど、県内企業の意欲的な取り組みをサポートし、大きな成果を挙げてきました。
企業名 | 公益財団法人 石川県産業創出支援機構 |
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創業・設立 | 設立 1999年4月1日 |
事業内容 | 新産業創出のための総合的支援、産学・産業間のコーディネート機関 |
関連URL | 情報誌ISICO vol.130 |
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備考 | 情報誌「ISICO」vol.130より抜粋 |
添付ファイル | |
掲載号 | vol.130 |