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令和6年能登半島地震で被災しながらも、試練を乗り越え、明日への一歩を踏み出した地元企業の奮闘ぶりを紹介します。
谷口は、能登産木材の集積地として知られる穴水町で創業し、79年にわたり木工業を営んできた。食器や家具といった木工品の製造のほか、近年は、薄くスライスした天然木と本革を組み合わせたバッグブランド「wBOIS(ワールドボイス)」の展開や、ISICOの支援を受けた建築内装材の開発など、独自の製品づくりにも力を入れてきた。
能登半島地震では、これらの製造拠点だった穴水工場が全壊した。原材料や在庫の多くを失い、避難に伴う社員の離職も相次いだ。
5人いた職人のうち残ったのは、当時入社1年半だった寺田和樹さんただ1人だった。見習い期間を終え、本格的に製品づくりができると胸を膨らませていた矢先の出来事であり、「木工を続けたい一心で、穴水での生産継続を社長へ訴えた」と振り返る。谷口正晴社長は熱意に応え、生産体制の立て直しを決断した。
寺田さんは製造拠点の再建に向け、2024年3月にクラウドファンディングによる資金調達を開始。「多くの方からご支援と応援の言葉をいただき、大きな力をもらった」と語る。
集まった支援金で、空き倉庫を改装し、がれきの下から機械を救い出してメンテナンスした。寺田さんの知人だった畠中勇樹さんが社員に加わり、24年10月に生産を再開した。
しかし、震災前に先輩の職人たちから教わったことだけでは、高品質の製品を作り上げるのは容易でなく、「毎日が試行錯誤の連続です」と寺田さんは話す。同社で受け継がれてきた技術を自分たちのものとし、次世代へつないでいくため、加工の手順や判断のポイントを整理し、図面として残す取り組みを進めている。
今年からは新たな挑戦として、ふくべ鍛冶(能登町)からの依頼を受けて包丁の柄づくりを始めた。包丁は、中子(なかご)と呼ばれる金属部分を柄に差し込んで固定する。
その穴を、木を割ることなく精密に開けるのは難度が高かったが、試作と改良を何度も重ね、安定した品質で加工する技術を確立した。
情報発信にも力を入れ、SNSで木材加工の様子を積極的に紹介している。「この工場を、木の温かさを伝える拠点にしていきたい」。目を輝かせて夢を語る若き職人たちの挑戦は、まだ始まったばかりだ。
| 企業名 | 株式会社谷口 |
|---|---|
| 創業・設立 | 創業 1947年4月 |
| 事業内容 | 木製工芸品等の製造 |
| 関連URL | 情報誌ISICO vol.148 |
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| 備考 | 情報誌「ISICO」vol.148より抜粋 |
| 添付ファイル | |
| 掲載号 | vol.148 |