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ラリーセール、観月会などの参加型イベントや体験観光を核に、街の賑わい創出に腐心

印刷ページ表示 更新日:2017年12月1日更新

片山津商工振興会

ラリーセール、観月会などの参加型イベントや体験観光を核に、街の賑わい創出に腐心-片山津商工振興会

片山津商工振興会は、片山津温泉の温泉旅館と共に栄え、地元客はもちろんのこと、観光客にも魅力ある商店街づくりをめざし、様々なイベントを開催してきている。バブル崩壊以降、片山津温泉への入り込み客数が減少し、厳しい環境が続いていたが、ここへ来て北陸新幹線の開業効果もあり、活気が戻ってきている。その流れに対応し、商店街に人を呼び込むと同時に、さらなる魅力を創出すべく、日々商店街の活性化に邁進する片山津商工振興会の打出浩敏会長にお話を伺った。

あゆみ

片山津商工振興会は、加賀市政発足に伴い片山津商工会から昭和35年に加賀商工会議所の傘下片山津商工振興会に改組され、最盛期には200店舗近い加盟店があったが、バブル崩壊以降、店主の高齢化や後継者不足等で廃業する店舗が増加。近年は商工振興会を挙げて、新店舗の誘致に努め、現在では107店が加盟。バブル崩壊を機に、商店街活性化に向けて本格的な取り組みをスタート、当初は、地元のお客さんをターゲットとした売り出しやイベントを実施していたが、近年は片山津温泉観光協会と協力しながら、観光客や宿泊客の人たちも参加しやすいイベントに変えている。

 

片山津と言えば・・・晶子染めと源泉豆腐の体験が人気

片山津温泉の魅力の一つとして定着しているのが、柴山潟の湖底土と片山津温泉の源泉を使って染める晶子(あきこ)染めと源泉をにがり代わりに使う源泉豆腐づくり体験。

・晶子染めとは

平成16年、地球環境科学が専門の金沢大学名誉教授の田崎和江氏が、奄美大島の特産である「大島紬」を染める泥に似た粒度の細かさをもつ柴山潟の湖底土のほか、ミネラルやナトリウム、鉄分を多く含む源泉に着目し、色止めに使えるのではないかと研究を重ねた。その結果、化学薬品を一切使わず、ここでしか出せない色合いの染め物が誕生した。染め方はいたって簡単で、絹の生地を数カ所輪ゴムで縛り、源泉で煎じた緑茶と柴山潟の湖底土の中で交互に揉み込むこと約30分。染め上がった布は一つとして同じものはなく、作り手の個性が反映された文字通りの一点物。手軽に自分だけのオリジナルハンカチやスカーフを染められることから、とりわけ女性観光客に人気で、自分の手で自分のための思い出の品を作れる魅力が、旅行雑誌や旅行者のブログで情報発信され、根強い人気になっている。晶子染めというネーミングは、歌人・与謝野晶子が片山津で詠んだ和歌「風起こり 薄紫の 波動く 春の初めの 片山津かな」に因んだもの。

・源泉豆腐とは

片山津温泉の源泉は、ナトリウム、カルシウム等のミネラルを多く含むことから、これを豆乳に混ぜることで源泉がにがりの役割を果たし、豆乳がうまく固まり、温泉豆腐が20分あまりで簡単にできあがることを温泉豆腐研究で著名な金沢高校四ヶ浦弘教諭から指導を受けて実現したものである。豆腐づくり体験は、女性観光客だけでなく地元の家族連れがリピートするほどの人気である。日頃スーパーでパックに入った豆腐しか見たことがない子供たちは、目の前でみるみる豆腐ができ上がっていく過程に歓声をあげた。自分で作ったできたて豆腐に笑顔がこぼれ、中にはあまりの美味しさにおかわりをするちびっ子もいるほどである。豆腐の味覚に敏感な関西の方々からも高い評価を得ている。


商工振興会と観光協会が連携し、活性化に邁進

片山津温泉では8月中は毎晩花火を打ち上げている。これを目当てにしている地元の人や宿泊客がイベント会場である湯の元公園に集まることで、盛り上がりをみせる。特に平成28年は、同公園の工事が終了したこともあり、多くの人で賑わった。片山津を訪れる交流人口を増やすことが、旅館にとっても商店街にとっても不可欠であることから、観光協会と商工振興会が手を携え、共同で様々なイベントに取り組んでいる。その情報発信の一環として、観光協会に加盟する旅館の各部屋に、商工振興会が行っている晶子染めや源泉豆腐づくりの体験を告知する卓上POPを置いたり、体験を告知するポスターを館内に貼ったりしてもらったほか、旅館の売店では晶子染めの商品を販売してもらっている。温泉旅館は観光協会だけでなく、商工振興会の会員にもなっており、持ちつ持たれつのいい関係が構築されている。


うきうきラリーセール

商工振興会では毎夏の恒例イベントとして、サマーフェスティバル「うきうき縁日」を開催している。そのスタート日である8月1日から8月31日までの1ヶ月あまりの期間を「うきうきラリーセール」と銘打ち、商工振興会の加盟店で500円以上の買い物をするとスタンプが1つもらえ、5店舗以上回ってスタンプが一杯になった用紙を応募箱に投函すると、抽選でいろんな商品が当たるという企画を実施。スタンプラリー形式にすることで、お客さんにまだ行ったことのない店にも行ってもらいたいとの思いが込められている。なお、温泉旅館だけでなくコンビニで買い物した場合でもスタンプがもらえることから、当選者の中には地元客だけでなく、市外や県外からの観光客も少なくない。

イベントの締め括りは「十五夜観月会」

サマーフェスティバルの締め括りとして開催されるのが、「十五夜観月会」である。十五夜観月会は湯の元公園に、地元で茶道を教える先生方による無料の呈茶席を設けたほか、無料で乗船できる屋形船を用意し、柴山潟の湖上から月を眺めてもらうという趣向を凝らしたイベントである。これは夜間のイベントとあって、地元客だけでなく温泉旅館の宿泊客も数多く訪れ、片山津温泉の新たな魅力になっている。さらに、観月会のステージ上で、うきうきラリーセールの公開抽選会が行われ、当選者の名前が発表されるごとに歓声が沸き上がる賑わいぶり。

商店街の景観美化にも取り組む

晶子染めの灯籠で夜の商店街を彩った紫灯籠のイベントが終了したことから、昼間の商店街を花で飾り、お客さんを迎えようと、あたらしいおもてなし企画も始まっている。商工振興会の会員がボランティアでプランターに季節の花を植え、商店街のあちこちに飾ることで、観光客を花でもてなす景観に配慮した街並みづくりに取り組んでいる。

ICカードを導入し、情報発信を強化

商工振興会では、従来から商店街で発行している「ゆーでるかーど」をICカードにリニューアルすべく先進地の商店街を視察に行くなど、検討を進めているところで、ICカード化を機会に加盟店をさらに増やしたいと考えている。現在のカード会員数は5,000人あまりいることから、このスケールメリットを最大限に発揮すべく、ICカード化に合わせて、情報発信の手法やカードの活用法など、様々な可能性を模索していく考えだ。まずは、ホームページやfacebook、twitterなどのソーシャルメディアを活用し、片山津ならではの魅力をより効果的に情報発信していくため、商工振興会のホームページをスマートフォン対応にすべく準備を進めている。

次代へつなぐ取り組みも

商工振興会の会員店では、世代交代が順調に進んでおり、50代前半の商店主たちが商店街活動の旗振り役として頑張っている。「何をするにも人です」と打出会長が強調するように、同振興会には20歳~40歳で構成される「あすなろ会」なる若手の集まりがあり、次の世代も巻き込みながら、商店街を挙げてのイベントを開催できる点が強みである。この「あすなろ会」は、必ずしも商売しているところの子息にこだわらず、サラリーマンであっても片山津の活性化に資する活動をしたいとの志があれば、加入できる形である。現在30名あまりが次代を見据えた活動を進めるともに、商工振興会が行う様々なイベントの助っ人として大いに活躍するなど、世代間の連携もうまく取れている。

商工振興会を挙げて、活気を醸成

平成22年から商工振興会を挙げて空き店舗対策に取り組み、加賀市からの助成も受け、これまで飲食店や雑貨店、マッサージ店、お好み焼き店など8店舗の新規出店に結びつけている。閉ざされていたシャッターが開くことで、商店街の店の明かりが増え、街が明るくなり、来街者が増え、活気と賑わいが創出されている。「町の魅力づくり、賑わい創出、情報発信にとにかく力を注いでいきたい。温泉旅館と共に栄えてきた町だけに、観光協会さんとも協力しながら様々な試みを展開し、温泉街に活気を呼び込むことに努めていきたい」と語る打出会長は、少しでも多くの人に片山津温泉に興味・感心を持ってもらえるよう、より一層の情報発信と魅力づくりに力を注いでいく考えを強調する。

 

商店街メモ

名称 片山津商工振興会
会長 打出浩敏
所在地 加賀市片山津温泉一帯
設立 昭和52年
加盟店 107店舗