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多業種の個店力で顧客を惹きつける商店街づくりに腐心ー武蔵商店街振興組合

印刷ページ表示 更新日:2017年12月1日更新

武蔵商店街振興組合

多業種の個店力で顧客を惹きつける商店街づくりに腐心-武蔵商店街振興組合

武蔵商店街は、近江町市場・めいてつエムザ・かなざわはこまち・マンションが四つ角にある武蔵ヶ辻交差点を中心に62店舗が加盟する金沢市内を代表する商店街の一つである。北陸新幹線の開業以来、県外はもとより海外からの観光客が急増し、武蔵界隈は人通りも増え活気に溢れている。藩政時代から金沢の中心地として賑わってきた武蔵地区、消費者ニーズが多様化する中、来街者を増やすべく様々な切り口でのイベントを開催し、個店の魅力発信に力を注ぐ武蔵商店街振興組合の中島祥博理事長にお話を伺った。

武蔵ヶ辻交差点(四つ葉のクローバー)を核に武蔵は一つ

武蔵商店街振興組合商店街の組合組織は、通りに面した店同士が一緒に売り出しをし、集客に繋げるという発想でスタートしているところが殆どで、昭和40年~50年頃は、金沢市内でも浅野川振興会と犀川振興会という二つの振興会が、年2回売り出しの抽選会をやって集客に努めていた。そうした時代を経て、武蔵店街振興組合は、武蔵が辻交差点を核に上堤町、下堤町、武蔵町、彦三町の一部までを含む広域な地域の商店主たちが、武蔵地区の活性化に向けて一緒にやるまいかとスタートしたユニークな生い立ちを有する。その気運がさらに強まり、昭和58年に、近江町市場商店街、横安江町商店街、武蔵商店街、尾張町商店街、彦三商店街、めいてつエムザが協力し、武蔵活性化協議会が設立され、武蔵地区が一体となって街づくりに取り組む体制が構築された。

組合活動は会員店舗の売上増に貢献することが鍵

中島理事長は、幼い頃から武蔵の地で生まれ育っただけに武蔵への思い入れは熱い。地元の仲間たちと折に触れて武蔵地区には何が必要なのか話し合い、そうした問題意識を常に持ち続けていた中で、何か活性化に向けた起爆剤的なイベントをしたいと考えるようになる。商店街振興組合は、会員店舗から賦課金を集めて運営しているため、その賦課金をいかに有効活用し、会員店舗の売上増につなげ還元できるか、それが基本と捉えている。そのため、これまで行ってきたイベント等について、その都度費用対効果を検証し、単なるイベントで終わり、その後、商店街への誘客につながる成果が見られないものは、即見直しを行い、常に会員店舗の目線に立ち、振興組合に加盟していて良かったと思ってもらえる組合運営に邁進している。武蔵商店街振興組合の場合は、広域にわたっていることがある意味奏功し、ハード整備にお金を費やすウエイトが低いことから、その分ソフト面の充実に力を注いでいる。その一例が、賑わい創出のイベント。まず手がけたのは、袋町の会員企業の駐車場を借り、地元の新鮮な野菜を販売する朝市や夜には屋台を出して近隣の住民が集まってビールを飲む夏祭りから手がけた。これは、出店した飲食店の料理をイベント会場で食べたお客様が、今度はその実店舗へ足を運んでくれるきっかけづくりになればと企画したが、実際にはそのイベントの時だけで終わり、当初の目論み通りにはいかなかった。これでは組合員にメリットがないことから10年で中止。次に考えたのは、小学生を対象とした伝統文化フェアの開催である。これは、武蔵商店街には伝統文化にかかわる店舗が多くあることから、金箔、和菓子、干支の起上り等々の制作体験を子供たちにしてもらい、武蔵商店街に親近感を持ってもらう体験型イベントを企画。毎年多くの子供たちが参加し、好評を得ていることから武蔵商店街にとって意義あるイベントとして定着している。伝統文化フェアは、小学生を対象に開催しているため、その子たちが成長した時に、子供の時に武蔵商店街でこんなことをやったなぁと思い出し、それが来街動機につながればという願いも込められている。

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他県視察で知ったまちゼミを導入

中島理事長が先進商店街視察で静岡県に行った際に、20年あまり前からまちゼミをしていることを聞かされ、この事業は武蔵商店街でもできると直感した。それは、武蔵商店街には新しい店もあれば、老舗と言われる歴史ある店もあり、飲食店も多く、お客様がいろんな業種の店で体験できる選択肢が多いことから、早速まちゼミの準備に取りかかる。会員の店舗を回り、店主に各店の自慢の技をお客様に伝授するまちゼミの趣旨を説明し、賛同を得た店舗を会場に第1回まちゼミの開催にこぎつける。お客様と店の親密度が深まり、その後の来店にもつながることから、初回は武蔵商店街のみで開催したが、武蔵には生鮮産品の市場である近江町市場、東別院の門前町として栄える横安江町商店街があることから、2年目からは武蔵活性化協議会が主催団体となり、より広域に、より多くの店舗が参加して開催されまちゼミの輪が広がっている。

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まちゼミを通じ、店同士の横のつながりの必要性を痛感

まちゼミの反省点を伺うと、「事務局任せになっている懸念があり、もっと各店舗の店主自らが中心となってイベントの運営にかかわっていく方向にしていくことが重要です。というのは、まちゼミを開催することで、事務局と各店のつながりは緊密になってきているのに対し、店同士の横のつながりがほとんどないのが現状で、将来的には自分の店に来てくれたお客様に他の店の魅力を紹介できるぐらいの仲にならないといけない」と自省する。そうした課題を解決すべく、より多くの人が企画、運営に参画する方向に少しずつ移行させるべく邁進中。まちゼミの真のポイントは、お店の魅力をお客様に知ってもらうことにとどまらず、商店街の店舗同士の横の連携を緊密化させていくことと痛感しており、「元気な商店街とそうでない商店街の違いは、リーダーシップをとれる人がいるかいないかで決まると言っても過言ではなく、そうしたリーダー的人材の育成にもつなげていきたい」と熱く語る。

商店街の店で実現できる七夕夢短冊を募集

武蔵商店街に加盟しているお店で叶えられる夢をお客様に短冊に書いてもらい、七夕の日にその夢を実現させてあげようというもの。「街の中に季節感があることが大事である」が中島理事長の持論で、「商店街の通りに七夕の笹が風に揺れていると、七夕の時期なんだと感じてもらえる。ただ、短冊に願い事を書いて飾るだけでは面白みがないことから、その短冊に書いてもらった夢を商店街で実現させてあげたい」というのが、このイベントの真骨頂。毎年、その夢を叶える際に中島理事長もその場に立ち合っている。28年の七夕夢短冊では、武蔵地区のマンションに住む老夫婦のご主人が、奥さんに手作りのパンを作って食べさせてあげたいというもの。商店街のベーカリーの協力を得て、ご主人がパン作りに挑戦し、焼き上がった手作りパンを奥さんに食べてもらい、大変喜んでもらえた。その後、ご夫婦がその店の常連客になっている。ほかにも、ケーキづくりや蕎麦打ち体験など、様々な体験をしてもらっているとのこと。商店街で実現できる夢短冊の集まりが今ひとつなのが悩みの種とか。

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まちゼミを進化させた武蔵めぐり

いつも店の前は通るけど入ったことがない、どんな店か分からない、店主を知らないといったお客様に、一度その店に入ってもらおうという思いから、27年に武蔵めぐりを企画。これはまちゼミのようにその店一軒だけで終了ではなく、老舗、グルメ、レディース等々七つのテーマに分け、そのキーワードに関連のある数店舗を中島理事長が武蔵の町の歴史も説明しながら案内して回る。これは、お客様と店のつながり創出はもちろんのこと、商店街の店と店の横のつながりを深めていくことに大きな意義がある。28年はさらに500円の商品券を付けたことで、参加したお客様が各店で買い物もし、お店にとっても売上が上がりハッピーなイベントとなり、お客様、個店、商店街の三方良しの仕組みが出来上がった格好だ。

新しい飲食店を紹介する食話祭

北陸新幹線が開業したことで、金沢駅を降りた観光客がまず近江町市場をめざし、そこからひがし茶屋街へと向かう際、武蔵商店街は必ず通過する通りだけに、少なからず新幹線効果も出ている。飲食関係の新店が増えているのも当然そうした人の流れが増えていることを見越してのこと。28年2月、武蔵地区に飲食関係の新店が増えていることから、そうしたニューフェイスの店をお客様に紹介する一助になればとの思いから食話祭を開催したところ、大変好評を得たことから、今年はフードピア金沢に協賛する形で継続開催した。武蔵地区には、新しいマンションが次々とでき、定住人口が増えている。本来であれば、地元商店街にとっては、願ってもないプラス効果になるかと思いきや、車社会の現代では、地元商店街ではなく、郊外のショッピングセンターに買い物に行く傾向が否めない。武蔵地区で生活している人たちに、地元の商店街で買い物をしてもらえるような動機付け、仕掛けづくりがこれからの課題でもある。

武蔵商店街の課題と展望

武蔵商店街振興組合武蔵商店街の中にも次の世代が商売を手伝い始めているところが少しずつ出てきていることから、商店街の会合等に若手を積極的に参加させるよう声をかけ、担当できる仕事や役割を分担させていくことで、世代間のギャップを補いながら、なおかつお客様との顔つなぎをしていくことも大切だと捉えている。29年には袋町通りの街路整備が実施されることから、それを機に新たな街づくりに取り組む考えで、袋町の通りに飲食店が増えてきていることから、相乗効果が期待できるような核施設が何かできないか、これが武蔵商店街の次なる飛躍への鍵を握ると中島理事長は考えている。幸いにして武蔵商店街の各店舗は、一店、一店が強い個性をもっており、画一化されていないところが魅力であり、そうした情報をITをはじめとしたあらゆる手法を活用しながら積極的に発信し、今後のさらなる飛躍につなげてもらいたい。

 

組合概要

武蔵商店街振興組合

名称 武蔵商店街振興組合
理事長 中島祥博
住所 金沢市武蔵町15-1 金沢名鉄丸越3階
設立 昭和38年11月13日
加盟店 65店舗
TEL 076-231-4831