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石川の地域資源・イノシシ革を活用し、革製品のオリジナルブランドを旗揚げ!

印刷用ページを表示する更新日:2017年12月1日更新

ハタブネコンサルティング株式会社

地球温暖化に代表される人類による自然環境破壊が原因で、生態系が年々変化し、石川県内でも年間何百頭というイノシシが、田畑を荒らす害獣として捕獲殺処分されている。そんな状況を目の当たりにした北陸先端科学技術大学院大学に在籍する吉村祐紀氏を中心とした数人の学生たちが、害獣を益獣に変えていくことで、新たなビジネスチャンスが生まれると考えた。まずはイノシシ肉の美味しさを知ってもらおうと、ジビエ料理の食材としてイノシシ肉の販売を手がけたことが、今日のイノシシ革を使ったオリジナルブランドの皮革製品販売ビジネスにつながっている。吉村氏にビジネスに賭ける思いを伺った。

イノシシ肉の販売に取り組むきっかけ

そもそもの始まりは、吉村氏が先端大の知識科学研究科の授業の一環として、地域の問題を掘り起こし、その解決案を提示するというグループワークに取り組んだ際、吉村氏が所属する6人のグループは、県内の鹿やイノシシなどの獣害対応に取り組む。北海道出身の吉村氏にすれば、北海道では蝦夷鹿を中心としたジビエ肉がスーパーの店頭で販売されているにもかかわらず、北海道より歴史のある石川県では鹿やイノシシが害獣扱いされていることに素朴な疑問を抱き、石川でもイノシシや鹿の肉を販売してみようと思い立つ。「私は若造なので、地元の猟師のみなさんに認めてもらえるよう、狩猟免許を取得し、実際の猟に一緒について回るなどしました。新しい事業には地元のみなさんの理解と協力が欠かせません。」と吉村氏は当時を振り返る。

イノシシ肉の販売→イノシシ革の商品化に発展

石川県内でイノシシが急激に増えたことで、さまざまな被害をもたらすため、害獣として駆除されているイノシシが実は大切な地域資源であることに気付き、これを石川県の新たな名物として活用できないか、そんな発想からイノシシの肉を販売し、地域に還元できる事業をやるべくスタート。ある程度事業として成長してきた段階で地域の人に任せていくというのが吉村氏の考えていたビジネスモデルだった。一方、吉村氏はイノシシ革に着目、イノシシ革を使った商品開発であれば、革を鞣してしまえば濡らさない限りは腐ることもなく、付加価値がつけやすいと判断した。


石川県産は「能登レザー」ブランドで販売

石川県内で捕獲されたイノシシの革を加工し「能登レザー」のブランドを付して販売している。能登レザーは、専門業者の協力のもと、植物タンニンを使用して鞣しを施している。また、フェザーモチーフのアクセサリーとのコラボレーションで付加価値を高めている。このアクセサリーは、北海道にある全国的にも有名なレザー&アクセサリーショップ「buff」のデザイナーである大谷弘樹氏の手によって作られるシルバーアクセサリーとのコラボ製品である。イノシシ革を鞣す工程は、東京や姫路の工房でやってもらい、その革を柏や大阪、姫路の職人に財布等の革製品に加工してもらい、それを全国に向けて販売している。店名のCOLEGIUM(コレギウム)は、ラテン語で組合を意味する言葉で、いろんな業者や職人の協力により、一つの組合(ギルド)のような成り立ちでできたショップであることから命名したという。


販路開拓への取り組み

イノシシ革という特殊な商品ということで注目され、雑誌に掲載されたり、テレビや新聞で紹介され、少しずつ認知度は上がってきている。そのほかSNSを活用した情報発信にも取り組み、東京や大阪で開催される皮革製品の展示会やファッション関連のイベントにも積極的に出展し、石川県からイノシシ革を使った商品を発信していることをアピールしている。事業をスタートさせた当初、クラウドファンディングを活用して投資を募ったところ予想以上の支援金が集まり、「そうした多くの方々の支えがあったおかげで今日まで続けてくることができたと感謝しています」と吉村氏は振り返る。イノシシ革の商品は、デザイナー大谷氏のジュエリーが置かれているショップ、柏市内のアクセサリーショップ、ネット販売、金沢市内の本店、県内外の催事への出店などを通じて販売されている。

イノシシ革の魅力と価値を知ってもらうことに邁進

イノシシ革はサイズが小さいことから、大きな商品を作るのは難しいため、小銭入れ、札入れ、スマートフォンケース、クラッチバッグが商品展開のメインになる。それでも、小型のボストンバッグやビジネスバッグぐらいのサイズまでであれば、受注生産で対応可能とのこと。長財布は、35,000円~65,000円の価格帯で販売している。ヨーロッパではイノシシ革は高級素材で、牛革やクロコダイル革よりもワンランク上の商材として取引されており、祖父が愛用していたイノシシ革のカバンをばらして財布などに作り替え、それを孫が受け継ぐといったことが嗜みとして受け継がれているそうだ。向こうでは単なる皮革製品としてだけでなく、財産として認知されているだけに、イノシシ革の価値の高さを日本でも定着させていきたいと意気込む。イノシシ革は、牛革に比べ5~10倍長持ちし、同じものを作っても牛革よりもイノシシ革の方が3分の2ぐらいの重さで作ることができるため、軽くて丈夫(キズが付きにくい)で、水に強いと三拍子揃っている。その革にさらに独自の加工を施すことで、イノシシ革本来の良さがより一層引き立っている。

県内産と県外産を差別化して販売

石川県産のイノシシ革を使った商品に関してのみ「能登レザー」の商標を使用し、それ以外の産地のイノシシ革を使用した商品は「STY(ステイ)」ブランドで販売することで、差別化を図っている。県外産のイノシシ革を使用した商品に付されているブランド名「STY」は、英語のSTAYと北欧神話に出てくる勝利の神の相棒である金色のイノシシ(グリンブルステイ)の二つの単語から成る造語で、常に寄り沿い願い事が叶うまで相棒として使ってもらいたいとの思いが込められている。石川県人の感覚では、イノシシは害獣=価値がないという固定観念があり、そうした間違ったイメージを払拭するためにも、他にない魅力ある商品を世に送り出していくことが自らの使命と捉え、吉村氏は日々邁進している。

メンテナンスにも対応

愛着のある財布も長く使えば、当然ファスナーが傷んだり、縫製がほつれるなどの劣化が心配されるが、同店の場合は、職人に直接修理を依頼できるため、その程度の補修であれば5,000円前後で対応でき、メンテナンスについても心配無用である。さらにこだわりの自分だけのものを作りたい方には、色、形、デザインを全てフルオーダーすることも可能だ。ただし、1点ものになるため、価格は自ずと割高にはなるが、世界に一つしかないオリジナルを手にすることができ、人とは違った価値観を大切にするこだわりの人にとっては、たまらない一品でもある。

さらなる事業展開に向け

吉村氏は、大学でコミュニケーション論を学び、その分野の資格も有していることから、企業に出向いて上司と部下のコミュニケーションの円滑化をサポートする講師としても活躍している。そうした活動も吉村氏のライフワークの一端であることから、社名にコンサルティングを付している。ちなみにハタブネは、船隊の先頭を航行する旗艦船となることに由来。さらに、経営士の資格も取得したことから、これからいろんな事業展開をしていく上で、より一層守備範囲が広がったと言える。これまで学生と経営者の二足のわらじを履いての日々だったため、時間が足りず大変だったようだが、29年3月に卒業を迎え、これからはイノシシ革ビジネスに全力投球できる体制に。この事業が軌道に乗り、順調に経営できるようになれば、その時点でショップ経営をやりたい人に譲渡したいと考えている。将来的にはコンサルティングの事業も分社化し、それぞれにやりたい人を社長に据え、グループ全体を束ねる役目を自分が果たすことを思い描いており、オールマイティーに様々な事業を展開できる総合プロデューサーが目標だ。イノシシ革の商品がいかに魅力的であるかを一人でも多くの人にまずは知ってもらうこと、地道ではあるが、一歩一歩着実に夢の実現に向けて歩を進める吉村氏である。

店舗概要

商号ハタブネコンサルティング(株)
店名COLLEGIUM(コレギュウム)
住所金沢市寺町2-1-1
TEL(076)287-3795
URLhttps://collegium.buyshop.jp